エントツドロバチ
Orancistrocerus drewseni
(Saussure,1857)

数日前に近隣で見かけて写真に撮っていたドロバチの一種である。

大きさは、体長20ミリぐらいだったであろうか。

少し接写出来た写真を以下に。

種名は、エントツドロバチだと思う。

上の2枚の写真は、この蜂が地面に降りて来て、乾燥した泥を運ぼうとしている瞬間を写したものである。

エントツドロバチの名の由来は、この手の蜂が泥で作る巣の入り口を煙突状に作る習性から来ている。

さて、このエントツドロバチの生息分布は、国内は、本州以南…‥対馬含む九州そして大隈諸島まで。海外の生息分布は、朝鮮半島の南側と台湾と中国の沿岸よりの一部といったところであろうか。

ヤナギルリハムシ  Plagiodera versicolora (Laicharting, 1781)

昨日、霞ヶ浦の護岸で見かけたハムシの一種である。

大きさは、体長6ミリぐらいだった。

見つけた場所が、大きな湖沼の護岸というか、樹木の根が水中に生えているような場所なので、自ずと生えている樹木も限定され、近くにはヤナギとクルミしかなかった。

形態的特徴としては、触角の先端から6節ぐらいが少し膨らみ色が変わっているところと、横から見た時の腹部に当たるパートの体高が高いのが記憶に残った。

そして、このハムシが居たのが、何かしらのヤナギであったのだが、ヤナギしか生えていないような場所で、ヤナギにいた事から、ヤナギを好むハムシを調べていたら、ヤナギルリハムシという種が浮上して来た。

おそらく、上の写真の個体は、ヤナギルリハムシで合っていると思う。

このヤナギルリハムシの生息分布は、海外は、ヨーロッパには北から南から全土にいて、動物地理学における新北区である北米大陸の東海岸にも濃く生息しており、ヨーロッパと同じ旧北区に入る極東アジアでは、日本、台湾、朝鮮半島、中国の東岸に生息しているのが分かる。

モンムラサキクチバ? 成虫  Ercheia umbrosa Butler, 1881

数日前に我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

大きさは、前翅長22ミリぐらいあって、大きめの蛾だなと感じた。

後翅を少し見せながら静止する習性があるとの記載が幾つか目に付いたが、確かにそのような形で止まることも多かった。

種名は、モンムラサキクチバとモンシロムラサキクチバとで迷ったが、モンムラサキクチバの方ではないかと、私は睨んでいる。一見、前翅の後縁の中央辺りに、白い条(スリット)が見えて、モンシロムラサキクチバと片付けたくなるが、そこに惑わされる事なく、この個体を、モンムラサキクチバと思いたがっているのである。その根拠は、翅全体の紫がかった雰囲気以外は、現時点では、勘と言わざるを得ないかもしれない。

ちなみに、モンシロムラサキクチバは、2年前の4月8日に投稿済みである。ただ、その個体も、モンシロムラサキクチバの特徴と言われる白いスリットがハッキリと見て取れると感じたから、モンシロムラサキクチバとしたのであり、このモンムラサキクチバとモンシロムラサキクチバとの識別は、単なる外見上の小さな特徴以外に、多くの側面からのアプローチを経て判断する慎重さが求められると感じている。もっと多くの個体に出会い様々な側面からの共通性を見出していきたいと思っている。

さて、上の写真の個体をモンムラサキクチバとして、生息分布を紹介すると、国内は、北海道から、対馬含む九州まで。このパターンだと海外も、自ずと朝鮮半島を経て北海道の対岸のロシア沿海州南部辺りまでと、調べる前に予測が付くのだが、予想に反して、台湾、そして、更に南の東南アジアからの報告もあるようである。

ちなみに、モンシロムラサキクチバErcheia niveostrigata Warren, 1913の方も似たような海外の生息分布であり、この両種に関しては、混同も視野に、もっと慎重な観察が求められている種達の気がする。

最後に、モンムラサキクチバの幼虫は、マメ科のネムノキが食草で、モンシロムラサキクチバの幼虫の食草は、キンポウゲ科のボタンズルやセンニンソウと言われている。どちらも近隣には生えている。