クマスズムシ Sclerogryllus punctatus (Brunner von Wattenwyl 1893)

先ほど、我家の外灯下に来ていたコオロギの仲間である。

大きさは、体長9ミリといったところだったであろうか。

最初に、本年の我家を取り巻く鳴く虫の状況を説明しておくと、今年は、敷地内で初めて、スズムシが鳴いている。近隣のヤブでは、野生のスズムシの鳴き声はよく聞けるが、これまで我家の直ぐ側では聞いたことがなかった。昔から、スズムシの鳴き声が好きで、庭に大量に放したりした事もあったが、基本的に一代限り(運が良くて、翌年少しだけ誕生)で、庭でスズムシが歴代繁殖する事はなかった。

しかし、何故か、今年は、我家の庭でも野生のスズムシが鳴いている。誰かが逃したのではと邪推する必要は無いかと思う。理由は、簡単に放虫出来る人口繁殖スズムシ達の鳴き声とは明らかに違う鳴き声だからである。近隣の野生のスズムシの鳴き声の方が、終盤の余韻がなく、人工的に繁殖させられているスズムシの方が、私はメロディアスで美しいとは感じてしまう。

という事で、庭で鳴いている野生のスズムシの姿を一目見たいと思っていた矢先に、先ほど、上の写真の個体を見つけたのである。

ちょっと小さいけど、これが野生のスズムシかと思ったが、写真を見ながら、似てるけど、なんかスズムシではないと気が付いてしまった。

では、この虫は何という虫かというと、クマスズムシという種である。ただ、スズムシはマツムシ科に属すが、このクマスズムシは、コオロギ科に属しているようである。そして、鳴き声も、美声の部類ではあるが、スズムシの鳴き声とは全然違うのである。

ここで、近隣で鳴いているスズムシの姿を見たいという希望は、また、お預けとなったのである。

さて、このクマスズムシの生息分布の方は、本州以南……九州近海までで、南西諸島は、沖縄本島や久米島にはいるようである。また、チラッと目に入った情報で、伊豆諸島の八丈島にも居るというのが、個人的には興味深かった。海外の生息分布は、韓国や中国から生息報告が上がっているようであるが、どうも沿岸部に多かったり、長江に沿って内陸部へと拡がっているように見える。

ミツカドコオロギ

先ほど、ツヅレサセコオロギの投稿をしたので、コオロギ繋がりで、もう一種、コオロギの投稿をしようと思う。

このコオロギの写真を撮ったのは、一週間ぐらい前だったと思う。場所は、近隣の田んぼの畔だった。畔にあったブロックか石をひっくり返したら、このコオロギが動かず、ジッとしてくれていたので、写真に撮った次第である。

名前は、ミツカドコオロギ。写真を見ても分かるように、頭部の両サイドに結構な張り出した部分が存在する。これは、ミツカドコオロギの特徴と言って良い。写真では分かりにくいが、実際のところ、頭部の上にもう一つ角みたいなものがあり、ここからミツカドコオロギの名が付いていると思われる。

大きさは、15〜20ミリぐらいの間だったと思う。

比較的乾燥した草原とか畑とかに生息しているとの事だが、この個体が居た場所は、田んぼと田んぼの間の畔であり、決して乾燥したイメージの場所では無かった。このことから、種を間違ってる可能性も鑑みて、同じオカメコオロギ属のタンボオカメコオロギを調べてみたが、タンボオカメコオロギは、もっと全身黒っぽく、サイズも一回り小さいようである。

さて、このミツカドコオロギの鳴き声であるが、ツヅレサセコオロギ同様に、ちょっと現時点の自分には、自然下で泣き声を聞き分けれるまでには至っていない。ワンシーズンに一種みたいな感じで、家の中で小さなケースで飼育して、鳴き声を聴き続ければ、身体がコオロギ達の鳴き声を覚える可能性はあるので、来年からは実践してみようかなとも考える。

まぁ、現実的に実践する余裕は無さそうだが……。

最後に、ツヅレサセコオロギの投稿で触れたが、同一種のコオロギの泣き声に、幾つかのバリエーションがある点への疑問が解決した。少なくとも、コオロギの仲間達には、ひとり鳴き、口説き鳴き、脅し鳴きといった状況によって鳴き声が変わる種が多く存在するようである。また、音を出すための翅を動かす筋肉に影響が出るのか、気温によっても鳴き声のテンポが変わったりするようである。