ハナダカノメイガ 成虫 Camptomastix hisbonalis (Walker, 1859)

昨晩、我家の外灯下に来ていた蛾のひとつである。

大きさは、前翅長で11ミリぐらいだったと思う。

この蛾を見た時に、印象に残ったのは、「下唇髭が長っ!」という点であるのと、あとは、触角も、フニャフニャではなく、力強く前方へとピンッと張っているなという点である。

このちょっと特異な特徴を頼りに調べると、ハナダカノメイガという種だと分かった。ヒメハナダカノメイガという種もいるらしいが、そちらは、ひと回り小さいようである。

幼虫の食草は知られていないとのことである。この蛾の世界分布を眺めた時に、中国の南東部の目撃報告が多く、意外なのは、南半球のオーストラリア東部でも目撃報告が集中しているところである。なんとなく、中国南東部の人や物資や文化の移動も、この蛾の拡がりとは繋がりがありそうな気もする。その辺りを推理することからも、この蛾の幼虫の食草に近付いて行ければなと思う。

スジグロキヨトウ 成虫 Mythimna nigrilinea (Leech, [1889])

昨晩、我家の外灯下に来ていた蛾のひとつである。

大きさは、前翅長サイズで18ミリぐらい。先ほど、イネヨトウの投稿をしたが、同じキヨトウ類でも、イネヨトウよりは全然大きい。

前翅の中央を縦に走り後端で裾状に広がりを見せる黒っぽい筋の存在から判断すると、種名は、スジグロキヨトウであろうと思う。

幼虫の食草は、イネ科のヌマガヤとの事であるが、ヌマガヤってどれだって考えてる自分がいる。おそらく、ヌマガヤに限定せずに、水田周りのイネ科植物を食べれるのではと思いたい。

因みに、海外での生息分布を調べたところ、台湾からの報告例が多いのと、オーストラリアの東部での報告例もある。ちなみに、オーストラリアの東部も稲作地帯がある。

先ほどのイネヨトウの投稿文を書いているときに閃いたのだが、このキヨトウの類は、稲作の伝播と密接な繋がりを持った種達の気がしてきた。

面白いテーマが見つかった気がする。

イネヨトウ 成虫 Sesamia inferens (Walker, 1856)

昨晩、我家の外灯下に来ていた蛾のひとつである。

大きさは、前翅長1センチぐらい。小指の先ぐらいの小さい蛾である。

肩のフサフサのボリューム感が特定の鍵になったが、ヤガ科のイネヨトウだと思う。

ダイメイチュウという別名で、稲の害虫としても知られている。

トウモロコシなんかも食べれるとのことであるが、どうなのであろう。というのは、この蛾の世界的分布域を眺めた時に、圧倒的に稲作地域に集中している気がした。インド北部に分布報告が集中している図も見たが、調べたら、インド北部は、西側の地方がとうもろこし産地、東側の地方が米産地で、この辺りに、この蛾の起源がありそうな気もする。

そして、その図がどれぐらい精度を持っているものなのか疑わしいが、九州と朝鮮半島南部にも分布が集中しているのが見てとれた。

ここで気になったのは、中国の長江流域で約7000年前に稲作文化があったと考えると、そこから隣接地域に浸透して行き、5000年ぐらいの時を経て紀元前300年頃には日本にも稲作文化が到達して来ていると言われているが、この日本への稲作の伝播と一緒にイネヨトウも日本へやって来た可能性があるなという事である。そして、この時代に、朝鮮南部と九州は、結構な交流を持っていた可能性も感じる。

あと気になるのは、インド北部と九州/朝鮮半島南部に、イネヨトウの分布報告が集中しているのは、たまたま気候等の生育環境が適している可能性もあるが、インド北部の稲と日本への稲作伝来時の稲と共通性や交流の可能性はないかという点であった。

人間にとっての単なる害虫が、歴史を紐解くヒントを潜めている可能性も無きにしも非ず。身近な虫達や動物達が教えてくれる事って、まだまだ沢山ありそうな気がする。