ホシシャク 成虫 Naxa seriaria (Motschulsky, 1866).

昨日は、早朝から猛暑の予感がする日であったが、まだ家族が寝ている時間帯に、家の近所を散策してみた。

それとは別に、最近、10日ぐらい前から近隣で見かけて気になる蛾がいたのだが、気になるというのは、種名にどうしても辿り着けないでいた蛾なのである。

そして、昨日は、家の近所でも、その蛾に出会った。どんな蛾かと言うと……。

大きさは、案外と大きくて、前翅長で20ミリ以上はある。

他の場所で撮った個体の写真を以下に。

もう一枚。

翅が薄く、下が透けて見えてるのが分かる。

さて、この蛾の種名に行き着けなかった原因としては、形と大きさから、シャクガ科のエダシャク亜科を先ず当たった、そして、該当種を見つけられなかった時に、今度はナミシャク亜科を当たったことにある。結局、ナミシャク亜科にも、該当種を見出せなかった。

しかし、これだけのサイズでこれだけのメリハリがある紋様を持った蛾が認知されていないわけはないと調べ続けたところ、シャクガ科には、ホシシャク亜科というこの蛾しか所属していない亜科がある事を突き止めた。

そうである。この蛾は、ホシシャク亜科のホシシャクである。

名前からして、エダシャク亜科に属する蛾達は、後半がエダシャクで終わる。ナミシャク亜科もアオシャク亜科もヒメシャク亜科もフユシャク亜科も、同じルールが当てはまる。そして、このルールに則って、ホシシャク亜科の蛾なので、ホシシャクなのである。ただ、他に所属している種がいないので、前置きのないホシシャクで良いのである。

幼虫の食草は、モクセイ科のイボタノキやネズミモチらしい。常緑樹を食草にしていることから、暖かい地域の蛾を予想したが、 GBIFの生息報告のマップを眺めると、北海道にも生息しているし、更に緯度の高いロシア沿海州なんかにも生息しているようである。

北の寒い地域では、何を食べているのであろう。

カシノシマメイガ 成虫 Pyralis farinalis (Linnaeus, 1758)

先ほど、我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

大きさは、前翅長13ミリぐらいだった。

紋様のパターン含む雰囲気からメイガ科シマメイガ亜科の蛾であろうとの予測は付いたが、調べたところ、カシノシマメイガと判明。

今回は、一般的な止まり方をしているが、所謂シマメイガ亜科の蛾達に多い、あの尾部を持ち上げて止まるスタイルの時も多いようである。

ところで、カシノシマメイガのカシノの部分だが、エッって思われるかもしれないが、“菓子の“なんだと思う。

というのも、この蛾の幼虫は、貯蔵穀物、菓子、干果、動物の乾燥糞等を食べるとの事である。

さて、この蛾の生息分布なのだが、幼虫の餌が餌だけに、動物地理区なんか関係なく、世界中に拡がっている。まさに、貯蔵穀物の人為的移動と共に拡がったのは明らかだが、これほどまでに世界に拡がった蛾を見たのは初めてかもしれない。

この蛾に限らず、人類の物質文明(特に交通移動手段)の急発展に裏打ちされるグローバル化によって、地域毎の生態系は、目まぐるしい混乱を経験している。

急速過ぎる物質文明の発展と進歩の行く末を予測出来ていない人類……地球時間に身を任せて、ゆっくりと進歩する生物達。どちらが賢い生物と言えるのであろう。

シモフリスズメ 成虫 Psilogramma incretum (Walker, 1865)

最近、近隣で、この蛾を見かけて写真に撮っていた。

同じ個体の写真をもう一枚。

大きさは、前翅長5 センチ以上。かなり大きな蛾である。

種名は、シモフリスズメ。

学名で、この蛾の世界分布を調べようとすると、Psilogramma increta Walker, 1864と変換されて、かなり類似する蛾の分布が出てくる。そのマップを眺める限り、インド南部に始まって、東南アジア(とりわけタイやミャンマーのあるインドシナ半島)、北上して中国東部、台湾、朝鮮半島、日本とアジア南東部広範囲に分布の拡がりを見せる蛾だと分かった。

シモフリスズメの幼虫の食草の方は、モクセイ科に始まり、他にも草本樹木問わず、色々な葉を食べれるようである。