クロモンシタバ 成虫 Ophiusa tirhaca (Cramer, 1777)

最近、近隣で見かけた蛾の一つである。

第一印象は、派手で大きいというものだった。

サイズは、前翅長で33ミリぐらいありそう。

見た感じ,ヤガ科の蛾に見えるが、それにしては,少し大きい気がした。直ぐに調べたところ,ヤガ科シタバガ亜科に属するクロモンシタバと判明。

シタバガ亜科の蛾達は、大きい蛾が多いのを知ってるので、これなら納得である。また、下翅(シタバ)は、この亜科に属する蛾達の特徴に則り、より派手な色合いのことである。クロモンシタバの場合は、濃い山吹色をしているらしい。

さて、このクロモンシタバは、南方系の蛾である。そして、あんまり見かけることが出来ない蛾との情報もあった。私も,今回が初めての遭遇だと認識している。

6月ぐらいから現れ始め、翌年の3月ぐらいまでは目撃されるらしい。ということは、おそらく,11月のこの時期に見つけたこの写真のクロモンシタバは、成虫越冬するものと思われる。

幼虫の食草は、フトモモ科のグァバやウルシ科のヌルデなんかが知られている。

生息分布の方は、国内は、本州以南,九州を経て、沖縄本島含む南西諸島まで生息しているようである。海外の生息分布は、ヨーロッパの地中海沿岸から、アフリカは北の方にもマダガスカルふくむ南の方にも、そして、オーストラリア大陸も沿岸部には。アジアはと言うと、ペルシャ湾岸からインド……東南アジアを経て、日本の暖かい地域まで生息域がある蛾であることを知った。

そして、今回,茨城県の県南にも生息していることを自分のこの目で確かめることが出来た。

地球温暖化で北上中の蛾の一つである。

コウンモンクチバ 成虫 Blasticorhinus ussuriensis (Bremer, 1861) 2nd

数日前に我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

大きさは、前翅長23ミリぐらいだったと思う。

直ぐに、コウンモンクチバであろうと予想が付いたが、この個体は、灰色味が強いというか、そんなふうに見える。巷では、もっと薄黄色がメインになる個体も多い気がする。

一応、3年前の7月11日にもコウンモンクチバと思われる個体の投稿をしているので、そちらも確認して頂きたい。

コウンモンクチバの幼虫の食草は、マメ科の植物ということで、取り敢えず、近隣だと、ヤブマメだったり、フジだったりするのかと思う。ちなみに、タデ科のスイバも食べるとの情報もある。

生息分布の方は、国内は、北海道から対馬含む九州を経て、屋久島辺りまで。海外は、朝鮮半島、台湾。おそらく、ロシア沿海州南部にも生息しているものと思われる。

最後に、近隣では、ウンモンクチバという名前が似ており、もっと茶色味の強い少し大きめの種も生息している。他にも、ニセウンモンクチバやオオウンモンクチバという種もいるらしいが、この辺の識別に関しては、単に外見上の違いにばかりに目を向けるだけでなく、国内での棲み分けや海外での生息分布を眺める事により、種の違いを見分けるヒントを掴む事も必要かと思われる。

モンムラサキクチバ? 成虫  Ercheia umbrosa Butler, 1881

数日前に我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

大きさは、前翅長22ミリぐらいあって、大きめの蛾だなと感じた。

後翅を少し見せながら静止する習性があるとの記載が幾つか目に付いたが、確かにそのような形で止まることも多かった。

種名は、モンムラサキクチバとモンシロムラサキクチバとで迷ったが、モンムラサキクチバの方ではないかと、私は睨んでいる。一見、前翅の後縁の中央辺りに、白い条(スリット)が見えて、モンシロムラサキクチバと片付けたくなるが、そこに惑わされる事なく、この個体を、モンムラサキクチバと思いたがっているのである。その根拠は、翅全体の紫がかった雰囲気以外は、現時点では、勘と言わざるを得ないかもしれない。

ちなみに、モンシロムラサキクチバは、2年前の4月8日に投稿済みである。ただ、その個体も、モンシロムラサキクチバの特徴と言われる白いスリットがハッキリと見て取れると感じたから、モンシロムラサキクチバとしたのであり、このモンムラサキクチバとモンシロムラサキクチバとの識別は、単なる外見上の小さな特徴以外に、多くの側面からのアプローチを経て判断する慎重さが求められると感じている。もっと多くの個体に出会い様々な側面からの共通性を見出していきたいと思っている。

さて、上の写真の個体をモンムラサキクチバとして、生息分布を紹介すると、国内は、北海道から、対馬含む九州まで。このパターンだと海外も、自ずと朝鮮半島を経て北海道の対岸のロシア沿海州南部辺りまでと、調べる前に予測が付くのだが、予想に反して、台湾、そして、更に南の東南アジアからの報告もあるようである。

ちなみに、モンシロムラサキクチバErcheia niveostrigata Warren, 1913の方も似たような海外の生息分布であり、この両種に関しては、混同も視野に、もっと慎重な観察が求められている種達の気がする。

最後に、モンムラサキクチバの幼虫は、マメ科のネムノキが食草で、モンシロムラサキクチバの幼虫の食草は、キンポウゲ科のボタンズルやセンニンソウと言われている。どちらも近隣には生えている。