ヨトウガ Mamestra brassicae (Linnaeus, 1758) 2nd

昨晩、我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

大きさは、案外大きく、前翅長で20ミリちょっとぐらいありそう。

ヤガ科ヨトウガ亜科のこの手の蛾達(ハガタヨトウと分類されそうな種達)は、色彩の変異も大きく、本当に見分けるのが紛らわしいが、近隣で、この時期に現れるのは、先ずは、1番お馴染みのヨトウガと思って良いのではないだろうか。

上の写真の個体もヨトウガだと思う。2年前の同じ時期に、ヨトウガの投稿はしている事を確認したが、過去の自分にしては珍しく、種の同定を間違っていない気がする。

さて、このヨトウガの幼虫は、イネ科の植物以外なんでも食べてしまう害虫的扱いを受けている蛾の幼虫である。

このヨトウガの生息分布は、国内は、北海道から屋久島まで。海外の生息分布は、ヨーロッパに幅広く濃く繁栄している蛾である。その流れが、ロシアを転々と横切り、極東の日本や朝鮮半島やロシア沿海州南部まで到達した感じである。北米大陸に飛び火していないのが、個人的には奇跡に感じてしまう蛾かもしれない。

シロヘリキリガ 成虫 Orthosia limbata (Butler, 1879)

先ほど、我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

大きさは、前翅長17ミリぐらいだったと思う。

一目見て、目星が付いた蛾があったのだが、調べたところ、その付けた目星は正解であったと分かった。

この蛾の名前は、シロヘリキリガ。幼虫の方には、過去に何回か出会って来ているが、成虫との出会いは、初めてであった。

幼虫の食草は、バラ科のサクラやブナ科のクヌギやコナラとの事である。確かに、過去に、サクラの木で幼虫を見つけた記憶がある。

生息分布は、国内は、北海道から本州を経て、九州近海まで。海外の生息分布の方は、朝鮮半島と台湾では、目撃されるようである。

春先に現れる蛾のようである。

ハマオモトヨトウ 成虫 Brithys crini crini (Fabricius, 1775)

本日、我家の庭で、樹木に止まっている蛾を発見。薄めの色の幹肌に、黒っぽい体色は、とても目立っていた。

大きさは、前翅長20ミリぐらい。

調べたところ、ハマオモトヨトウという種ではないかなと思った。

ハマオモトヨトウという蛾は、何処でも誰でも見れる訳ではないのか、私が蛾の情報を参照する他の方々のサイトでも、紹介されていないケースが多いと感じた。

名前に、ハマオモトと付くが、漢字で書くと、浜万年青。所謂、ハマユウ(浜木綿)のことである。この温暖な海岸地域に自生するヒガンバナ科の植物を好むことから、ハマオモトヨトウの名が付けられたものと思われるが、この蛾の幼虫は、ハマオモトだけでなく、ヒガンバナ科の植物ならある程度何でも食べれるようである。

この蛾の生息範囲だが、学名の登録年が古いことから、ヨーロッパを中心として、世界各地に広がっていそうな予感がして調べたところ、確かに世界の広範囲に拡がってはいたが、少し興味深い拡がりのようにも見て取れた。先ずは、ヨーロッパに関しては、地中海沿岸の南部に集中しており、アフリカ大陸は最南端の南アフリカの辺りやマダガスカル諸島に集中しており、オーストラリアの東岸の沿岸部にも拡がりが見えた。これだけだと、人間の人為的移動と共に近年拡がって行ったとも推測したくなるが、オーストラリアの北岸やインド南部や台湾や中国南東部沿岸部を経て日本の西部に達している。この辺の拡がりは、大きく潮流の影響で、ホストであるハマユウ等の拡がりと同調しているようにも感じたくなる。

ちなみに、ハマユウCrinum asiaticumの世界分布とハマオモトヨトウの分布域は、かなり被っているのは確認したが、植物のハマユウの方は、南太平洋の島々や、中央アメリカの国々にも拡がっているが、ハマオモトヨトウという蛾の方は、まだ、そちら方面には、拡がっていないようである。

いずれにせよ、ハマオモトもハマオモトヨトウも、温暖な気候を好む生物のようなので、今回の投稿の主役であるハマオモトヨトウも、昨今の温暖化の影響で、少しづつ北上中の蛾なのかもしれない。

一応、各都道府県が独自に定めるレッドデータでは、神奈川が絶滅危惧種に、兵庫県が注目種(情報不足)に指定している蛾である。