ヒトツメアトキリゴミムシ Parena monostigma (Bates, 1873)

昨晩、我家の外灯下に来ていた極小の甲虫の一つである。

大きさは、体長8ミリぐらいだったであろうか。

似たような極小のゴミムシの仲間は、我家の外灯下でも時々見かけるため、スルーしそうになったが、この小さなアトキリゴミムシは、ヒトツメアトキリゴミムシとして種として独立して扱われているらしい。

ちなみに、私が我家の外灯下で見かける似たような種だと、ジュウジアトキリゴミムシLebia sylvarum Bates, 1883)とクロヘリアトキリゴミムシ(Parena nigrolineata nipponensis Habu, 1964)がいる。

この手のゴミムシは、樹上性のゴミムシらしいが、灯火にもよく飛来するらしい。

生息分布の方は、国内は北海道から九州まで。海外は、朝鮮半島を経てロシア沿海州南部まで生息している模様。

ホシボシゴミムシ?  Aniasodactylus punctatipennis (Morawitz, 1862)

最近、近隣で見かけたゴミムシの仲間である。

大きさは、体長13ミリぐらいだった。

一目見た時に、明らかにマルガタゴミムシやゴモクムシとは違い、ナガゴミムシ亜科のゴミムシの雰囲気がした。ただ、実際のところは、ナガゴミムシ亜科に属するゴミムシではなく、ゴモクムシ亜科に属する事を知ったが、その辺りが、このゴミムシの食性の特徴を表しているのかもしれない。

ちなみに、このゴミムシは、私がゴミムシに抱いていた印象を大きく覆してくれる事になった。

私のゴミムシの仲間への印象と言うと、昼間は、石や倒木の下に隠れていて、夜にメインに活動しているイメージがあった。だが、このゴミムシ達は、昼間から、堂々とミドリハコベの花を突いていた(食べていた)のである。

そして、もう一つイメージを覆されたのは、近付いて写真に撮ろうとした時に、飛翔して逃げたのである。しかも、かなりシッカリとした飛翔能力なのである。追いかけると、余裕で10メートルぐらいの高さへと急上昇するのである。ゴミムシの仲間って、地表徘徊性のイメージがあり、こんなに見事に飛びまくれるのかと、驚くことになったのである。勿論、このゴミムシは、危険を感じると、地面にポトっと落下し、土の中に紛れ込むという逃避方法も知っていた。

こうして、明らかに、ハコベの花に集まっていたことから、“ハコベ“と“ゴミムシ“のワードで検索すると、ホシボシゴミムシという種で、植物性の餌を好むゴミムシであるとの情報がヒットしてきたのである。

そして、ここで繋がってきたのは、我家の庭にいるマルガタゴミムシの一種との共通性である。我家の庭のマルガタゴミムシ達が、オランダミミナグサやハコベの地際に沢山生息しているのを、今まで、単に隠れ家として適しているからだと思っていたが、それだけでなく、彼らの餌の供給場所でもあったのかという事と結びついたのである。

ちなみに、今回のホシボシゴミムシと思いたいゴミムシがいた同じエリアには、二回りぐらい小さいマルガタゴミムシの一種ももいる。そして、興味深いのは、この種も、逃げる時に飛ぼうと翅を広げるのである。残念ながら、翅を広げるものの、そんなに上手くは飛べなくて、地表を這って逃げた方が効果的なのではと感じてはしまうが………。

さて、この同所にいるマルガタゴミムシの一種の翅は退化中なのか進化中なのか、私にはどっちなのか分からないが、興味深い。

最後に、このホシボシゴミムシの生息分布は、国内は、北海道から沖縄本島ぐらいまでいるようである。利尻島や礼文島、他には佐渡島といった島嶼にも生息している模様。海外の生息分布は、朝鮮半島とロシア沿海州南部。

ウンナンマルガタゴミムシ? Amara (Amara) silvestrii Baliani, 1937

2日前の夜に、我家のテラスを歩き回っていた小さなゴミムシである。

大きさは、体長9-10ミリぐらいあって、同時期に自然下で、よく見かけているマルガタゴミムシ達と比べると、明らかに少しだけだが、大きいと感じた。

光沢に関しては、金属光沢を若干感じた。触角の色が基部から3節は薄く、それより先に向けて濃くなるのは、マルガタゴミムシとニセマルガタゴミムシの特徴であり、コマルガタゴミムシの触角は単色であるので、コマルガタゴミムシは外れる。

そして、私の知る限り、ニセマルガタゴミムシもコガタマルガタゴミムシも、今回写真に撮ったゴミムシよりも、平均的に明らかに小さい気がする。

こうなって来ると、上の写真の個体をマルガタゴミムシとして紹介したいし、一昔前なら、それで大丈夫だったと思う。しかし、近年、マルガタゴミムシに似ていて、ウンナンマルガタゴミムシという種の存在に日の光が当たり始めて来ているのである。そして、このウンナンマルガタゴミムシの特徴が、まだしっかりと確立して、インターネット上では、世の中に情報として流布していないような気がするのだが………上の写真の個体は、そのウンナンマルガタゴミムシの方ではないかと思うのだが、どうなのであろう?

1番の根拠は、背胸部の後角の付近に見える篆刻である。この辺りに、篆刻が顕著にあって、艶消しのザラッとした感じに見えるのはウンナンマルガタゴミムシの特徴で、マルガタゴミムシは、篆刻が殆どなくツルツルしているとのことなのである。そうすると、上の写真は、その部位に篆刻が見える気がする。(マルガタゴミムシは、もっと全然ツルツルなんだと思われる。)

2番目の根拠は、胸部が、マルガタゴミムシより、ウンナンマルガタゴミムシの方が少し大きく丸っとしているように見えるのだが、上の写真の個体は、結構全体のバランスの中での胸部の占める割合は大きいと思う。現時点で、自分の中でのマルガタゴミムシの自身で確立した見本のようなイメージがないので、あくまでもネット上の2種の比較からの見解であるが……。

3番目の根拠は、2番目の根拠と被るような視点だが、胸部外側の湾曲が、ウンナンマルガタゴミムシの方が、丸み感があり、マルガタゴミムシの方が、もうちょっと直線的な感じがする。

4番目の根拠は、小楯板の下部の辺りの雰囲気である。ここは、ネット上にほとんど情報はなく、自分が気がつき始めた箇所であるかもしれないので、今後、マルガタゴミムシと思える個体の写真を自ら撮った暁には、じっくり比較して行ってみたい。

さて、上の写真の個体をウンナンマルガタゴミムシとして、生息分布を調べると、国内は、本州に生息しているマルガタゴミムシのようである。一方のマルガタゴミムシは、北海道から奄美大島辺りまで生息しているようである。ウンナンマルガタゴミムシの海外の生息分布の方は、ちょっと分からなかった。