タケトラカミキリ Chlorophorus annularis (Fabricius, 1787)

最近、近隣で見かけて写真に撮っていたカミキリムシである。

大きさは、体長15ミリぐらいであったであろうか。

この手の紋様のカミキリムシは多いが、このカミキリは近年の記憶の中では初めて出会うカミキリだと思った。近年の記憶の中ではと前置きをしたのには理由があって、カミキリの名前など気にしていない時代には、よく出会っていたカミキリだよなと思ったからである。

そして、なんとなくこんな名前だったよなという記憶を頼りに調べてみたが、やはり、なんとなくの記憶の中にあるタケトラカミキリという名前が、このカミキリの種名であった。

さて、このタケトラカミキリは、伐採された竹や加工された竹に発生するカミキリであるが、近隣には、伐採されたり、自然倒壊したりの竹が結構放置されていて、見かける度に、タケトラカミキリは居ないかなと探していたのだが、これまで出会えないでいた。

正直、今回、この個体の写真を撮った場所の側にも、伐採された竹が山積みになっている場所があり、幾度となく何か居ないかなと通り過ぎながら眺めていたが、タケトラカミキリを見たことはなかった。

ただ、とうとう出会えて、写真にも撮ることができた。待てば、海路の日よりありである。

さて、このタケトラカミキリの生息分布は、国内は、本州以南……四国/九州……。おそらく南西諸島にも居るんだと思われる。というのは、海外の分布は、基本的に広く東南アジアには生息しており、暑い地域のカミキリと思ったからである。ただ、ヨーロッパ、北米大陸の西海岸、ブラジルの海岸沿い、南アフリカ、オーストラリア東部といった具合に、世界各地の沿岸主要都市に拡がっているようである。おそらく、竹製品の貿易や、竹の移植等で、人為的に移動させられた個体群と思われる。

モモブトシデムシ Necrodes nigricornis (HAROLD 1875)

昨晩、我家の庭で見かけたシデムシの一種である。

大きさは、体長20ミリぐらいであったであろうか。

このシデムシは、最近、庭の一画に故意に放置した釣った魚のアラに集まっていた。

一瞬、近隣でよく出会うオオヒラタシデムシかと思いそうになったが、少し幅が細いのと頭部の印象も大きな複眼が目立ち、こちらもオオヒラタシデムシとは印象が微妙に違うと思った。

そして、もう一つ、逃げるスピードが凄く速いと感じた。その後、オオヒラタシデムシを見つけたので、わざと棒で突き、走らせてみたが、やはり明らかにオオヒラタシデムシの方は、可愛いレベルの並の速度である。

こうした条件から、オオヒラタシデムシではないと確信して、調べたところ、モモブトシデムシという種だと分かった。上の写真も、逃げ惑う個体を写したので、フレームの真ん中にも収められず、少しピンボケであるが、後脚腿節の太さは見てとれる。(雌の場合は、こんなに太くないらしいので、今回は運良くオスの写真が撮れて幸運だった。)

似た種に、オオモモブトシデムシという種がいるらしく、ネット上では、圧倒的にモモブトシデムシの投稿よりも、オオモモブトシデムシの投稿が多かったが、この2種の大きな違いは触角の先端の色合いであろうか。オオモモブトシデムシの触角は、第3節までオレンジ色のようである。

さて、このモモブトシデムシの生息範囲は、国内は、北海道から九州近海まで辺りであろうか。海外は、日本以外は、韓国からの生息報告が上がっている。

ちなみに、一方で、オオモモブトシデムシNecrodes littoralis, (Linnaeus, 1758)の生息範囲が気になり、調べたところ、日本と韓国にはいるようだが、遠くヨーロッパにも濃く生息しているシデムシと分かった。

こうなって来ると、このモモブトシデムシという種の枝分かれの歴史が気になり始めた。どうして、極東の果ての日本に、ヨーロッパにもいるオオモモブトシデムシとヨーロッパにはいないモモブトシデムシが共存しているのか不思議でたまらない。そして、モモブトシデムシというのが極東で固有に進化し始めている種なら、我家の庭にいる根拠(過去にどんな地質地殻的変遷があったか)に、凄く関心が生まれる。

興味深いシデムシを、身近に発見したぞと、嬉しく思う。

クロシデムシ Nicrophorus concolor (Kraatz, 1887)

昨晩、我家の庭で見かけた甲虫の一つである。

大きさは、体長3センチ弱ぐらいあったと思う。ちょっと大袈裟に例えると、貧栄養下で育ってきたと思しき小さなカブトムシのメスぐらいの大きさである。体長はともかく、体高は同じぐらいあるのではないだろうか。

種名は、クロシデムシ。

国内のシデムシの類では最大級の大きさになるシデムシとの事である。

このシデムシの特徴としては、私は複眼の大きさがあると思う。あとは、上の写真でも、頭部にネバネバしたものが付着しているが、これは、腐敗した動物質を食べていた直後で汚れているだけでなく、危険を感じて敢えて出した物質ではないかと、ネット上の情報を参考に推測するに至っている。多くのシデムシやゴミムシの一部やオサムシの一部のように、尾端からも出ているはずである。

そして、腐敗したものを食べているだけあって、その液体(粘体)の臭いは、不快な臭い臭いである。ここで気になるのは、人間は、この臭いに挫けて、この虫を捕まえるのを避ける流れが出来るのは分かるが、この虫を自然下で捕獲しようと試みる他の生物達も、同じ考えになるのであろうかということである。きっと、少なからず、効果はあるんだと思いたい。

さて、このクロシデムシの生息分布は、国内は、北海道から九州近海まで。海外は、台湾や中国各地からの生息報告があるようだが、基本的に日本と韓国からの生息報告が圧倒的に多いようである。