イネカメムシ Lagynotomus elongatus(Dallas 1851)or Niphe elongata(DALLAS, 1851)

このカメムシは、近隣で時々見かけるカメムシである。

この個体で、大きさは体長12ミリぐらいだったのではないだろうか。

種名は、イネカメムシ。5年前の9月17日にも投稿している種である。

稲を嗜好するカメムシらしく,稲を吸汁することによって、斑点米の原因になるカメムシの一つとして知られているが、太平洋戦争後に全国に拡がり,その被害を軽視しなかった農業関係者達の努力によって、ほぼ絶滅みたいな状況になっていたカメムシである。

しかし,近年、再び,田んぼに増え始めているカメムシとのことである。イネを吸汁するカメムシ達の中では、稲への嗜好性が高いカメムシと言われている記事というか情報を見かけたが、一時ほぼ絶滅状態みたいになっていた状況を考えると,田んぼ周りの他のイネ科雑草ではなく、稲に集まる習性が仇となりピンポイントの農薬散布等で死滅していった可能性も考えてみたくなってしまう。田んぼの周りのイネ科雑草に分散していれば、そんなに絶滅みたいにはならないのではということである。

そして、最近,何故増え始めたかというと,強力な農薬を使わなくなった田んぼも現れ始めたのではないかなーとも勝手に想像してみたい。

さて、生息分布の方は、国内は本州以南……南西諸島まで。昔は、北限は、どこまでいたのか情報がなかったが、現在は,まだ東北地方とかには、少ないのではと推測したい。根拠は、昨年2023年に、福島県が、「いわき市でとうとうイネカメムシ発見」みたいな記事を紹介しているので……。一方,海外の生息分布は,Niphe elongataとLagynotomus elongatusの両学名で調べるたところ、両方とも海外での生息情報が、簡単には分からなかった。ただ、海外にはいないはずがないと思うので、学名違い等も視野に、時間がある時に、もうちょっと深く調べてみようとも思う。

ところで、イネカメムシに結構似ているシロヘリカメムシAenaria lewisi (Scott, 1874)という種が属は違うが、カメムシ科カメムシ亜科には存在して、シロヘリカメムシの食草は、イネ科のササ類とのことである。ただ、このカメムシも、海外での生息分布の情報を容易く見つける事が出来なかった。両種とも,ちょっと起源が、どこにあるのか好奇心を唆るカメムシ達かもしれない。

ツマジロカメムシMenida violacea (Motschulsky, 1861) 群馬県 嬬恋プリンスホテル 標高 1150メートル

先日、群馬県嬬恋のプリンスホテルに宿泊した時に、露天風呂と室内を隔てるドアの室内側に、このカメムシが沢山いた。

冬に向けて、越冬場所を求めて、迷い込んだ可能性を感じる。

大きさは体長9ミリぐらい。

種名は、ツマジロカメムシだと思う。

上の写真の個体は、小盾板の爪の方が白いだけでなく、上の方にも小さな白いポッチみたいなものが見て取れるが、これは、他の個体には付いていなかった。現段階では、何なのか不明である。

山地のコナラやクヌギに集まるとのことだが、上の写真の個体がいた標高1150メートル辺りでは、コナラはミズナラに、クヌギはクリに置き換えれそうである。

生息分布の方は、国内は、北海道から九州まで。海外の生息分布は、朝鮮半島、台湾、中国の東部一帯に生息しているようである。

チャバネアオカメムシ 褐色タイプ Plautia stali Scott, 1874

最近、近隣で、こんなカメムシを見かけた。

大きさは、体長で10-12ミリぐらいだった気がする。

近隣でこの色合いだと、クサギカメムシだが、細部が少し違うのは、肉眼で見ていた時にも感じていた。

しかし、この色合いのカメムシを調べても、中々、同じカメムシを見つけることができなかった。そして、この手のカメムシは、どんな亜科のカメムシなんだろうという切り口から正解へ近づこうと考えた時に、カメムシ亜科の近隣では、お馴染みのチャバネアオカメムシと色合い以外は瓜二つということに気が付いた。

そして、チャバネアオカメムシの紹介をするサイトを、幾つか読むうちに、秋に現れる個体に、褐色の個体が居るとの情報に複数出会うことが出来た。

上の写真の個体は、チャバネアオカメムシの秋に誕生した個体が、越冬に向かって褐色に変化したものだと思う。ここで、チャバネアオカメムシのよく見かける緑色のタイプと、上の写真のような褐色タイプとの違いを調べたところ、日照時間の長短によって体色が変化する光受性のあるカメムシだと知った。

要は、日が短くなって来ると、褐色に変わり、落ち葉の下で越冬し、来春になり暖かくなるにつれて緑色に戻り、春の終わりや初夏に産卵して一生を終えるようである。そして、夏の終わりや秋の初めに生まれた個体が、日が短くなるにつれて褐色へと変化するとのことである。(これは、日長時間を人為的に調整する実験で証明されているようである。)

ここで、驚いたのは、あんな小さなカメムシが、約一年弱も生存していたのかということであった。ちょっと昆虫の寿命について、認識が変わったかもしれない。

さて、チャバネアオカメムシの生息分布の方は、国内は、北海道から対馬含む九州を経て、沖縄本島含む南西諸島まで。海外の分布は、朝鮮半島からロシア沿海州南部まで。他には、台湾や、珍しいところでは、ハワイからも生息報告があるようである。