ユミガタマダラウワバ 成虫 Abrostola abrostolina (Butler, 1879)

先ほど、我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

大きさは、前翅長11ミリ弱。

ヤガ科の蛾にしては小さいけど、ヤガ科の蛾だよなと思いながら調べ始めた。ヒメヨトウの仲間を当たり、見つけれず、片っ端から、ヨトウガやキリガの仲間を当たるが、該当種っぽい蛾に出会えず、途方に暮れていたところ、この蛾の頭部の毛が随分と逆立っているのに着目した。

ははぁ〜……キンウワバ亜科かと思い調べると、程なくユミガタマダラウワバという該当種に出会えた。キンウワバ亜科の蛾なら、この小ささが頷ける。

さて、このユミガタマダラウワバの幼虫の食草は、クワ科のクワクサという一年草との事である。そして、クワクサってどんなだっけと調べたところ、なんとなく見た事があるような、ないような。

生息分布は、国内は、本州から九州近海まで。海外の生息分布は、韓国や台湾からも生息報告が上がっているようである。

キクキンウワバ 成虫 Thysanoplusia intermixta (Warren, 1913) 3

最近、近隣でこの蛾の写真を撮っていた。

大きさは、案外に大きく、前翅長で20ミリぐらいあったと思う。

直ぐにヤガ科キンウワバ亜科の蛾である事は分かったが、種名を調べると、キクキンウワバという種だと判明。

幼虫の食草は、キク科タンポポに始まり、ハルジオン、ヒメジオン等………他にも、セリ科、イラクサ科、バラ科など……この蛾がいた付近は、幼虫の食草だらけかもしれない。

この蛾の生息分布に関しては、国内では、おそらく北海道から九州を経て南西諸島まで生息していると思われるが、GBIFのオープンデータで世界分布を眺めると、興味深いのは、台湾と東北に目撃報告が集中しているのと、インドの北部の方にも目撃報告がある。そのうち、何か繋がりが見えてくればなとも思っている。

ところで、昨年の6月に投稿しているキクキンウワバ成虫の投稿は、完全に別種の投稿をしていると思う。それから1年経った現在の知識では、それがテングイラガの仲間である事が分かる。近々、修正せねば……。

イネキンウワバ 成虫 Plusia festucae (Linnaeus, 1758) 1

最近、近隣で、この蛾を見かけて、写真に撮っていた。

大きさは、前翅長1センチぐらいだった。

頭部が特徴的で、このサイズの蛾で、今回のような場所で見かける蛾は、ヤガ科キンウワバ亜科の蛾であろうとの前知識は身について来ていたので、そのキンウワバ亜科を当たると、イネキンウワバという種だと判明した。

イネキンウワバというが、イネ科の植物全般、イグサ科、アヤメ科、アブラナ科、カヤツリグサ科というように、大概の植物は、いざとなったら食べれるようである。

ところで、この蛾も、学名の登録年が古いが、ヨーロッパ全土(興味深いのはかなり北部の方も)に生息していて、世界の中での生息分布を眺めた時に、凄く興味深い生息域に気がつく事になった。(後半出てくるトビスジアツバも、似ている。)

イネキンウワバと言うぐらいだから、調べるまでは、世界の稲作地帯に、拡がっていることを推測したが、全然そんなことはなく、かなりの高緯度(バイカル湖や樺太の北端)付近の緯度にヨーロッパからアジアへと続く道筋が見えてくるのである。ちなみに、所謂、ヨーロッパとアジアをペルシャ経由で結ぶシルクロードは、遥か南を通っている。(そのシルクロード上では、南ヨーロッパからペルシャ辺りまでは生息を確認出来ている。)

では、何の道というと、ちょうどロシアのシベリア鉄道が通ってるラインと被る気がする。

さぁ、このイネキンウワバは、日本にどうやって入って来たんだろう?

最後に、Plusia festucae (Linnaeus, 1758)の学名で認識されている蛾が、日本とヨーロッパで同一かという初歩的な視点に立ってみたく、海外の画像を調べてみた。うん、同じに見える。

この作業が、必要と思う理由は、ヨーロッパにも沢山いるトビスジアツバHerminia tarsicrinalis (Knoch, 1782)が、どう見ても、ヨーロッパと日本で、同じ蛾を指してるように見えない時があるからである。海外のトビスジアツバHerminia tarsicrinalis (Knoch, 1782)の内横線は、真っ直ぐに見える写真が多く、和名で言うところのウスキミスジアツバに近い気がするが、ウスキミスジアツバと違うのは、中横線のところのボヤけた帯は見える個体が多い気がする。今度、じっくり調べてみようと考える。

話は少し脱船したが、イネキンウワバ。イネの生育環境とは呼応せず、少し寒いところの蛾のようである。