オニベニシタバ 成虫 Catocala dula (Bremer, 1861)2

最近、近隣の雑木林で見かけて写真に撮っていた蛾である。

大きさは、前翅長で3センチちょっとぐらいあったと思う。

下翅に鮮やかな色の紋様が見えているのと、このサイズと形状から、ヤガ科シタバガ(下翅蛾)亜科の蛾なのは分かるが、今年出会って来ている下翅がオレンジ色のキシタバ達とは違う色合いを持っているのが一目で分かった。

この下翅の色を形容するには黄色ではなく、なんて表現するであろうと考えながら調べたところ、ベニ(紅)という表現があるのに気が付くのと同時に、種名もオニベニシタバと判明した。

幼虫の食草は、ブナ科のコナラ、クヌギ、アベマキ、カシワ、常緑だけどアラカシなんかが、確認されているようである。取り敢えず、この写真を撮った雑木林には、アラカシをシラカシに置き換えるなら、アベマキとカシワ以外は生えている。もちろん、アベマキとクヌギ、カシワとコナラは、かなりの近縁なのは、周知の事実である。

この蛾の生息分布としては、国内は北海道から九州近海まで。一応、各都道府県が独自に定めるレッドデータでは、高知県と熊本県が、準絶滅危惧種に、長崎県が絶滅危惧Ⅱ類に、福岡県と大分県が、注視種?みたいなカテゴリーに入れている。

ただ、海外の生息範囲は、大雑把に、朝鮮半島と一部のロシアと中国の地域という事なので、寒い地域にも順応している蛾のようなので、形状的生息環境が奪われたというよりは、地球温暖化傾向といった感覚的環境が失われ始めていることにも原因があるはずである。一応、日本国内には、他にも近似のベニシタバの仲間は、ベニシタバとエゾベニシタバという種がいるらしいが、どちらも国内では北海道のみの生息のようである。

キシタバ 成虫 Catocala patala (Felder & Rogenhofer, 1874.)2

数日前に我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

大きさは、前翅長35ミリぐらい。

最初、この蛾を下から眺めている時点では、大きさからスズメガの仲間だと思っていた。しかし、実際、写真を撮ろうと脚立に上り近くで見ると、「あぁ、ヤガ科シタバガ亜科の蛾だな。」と分かった。

同時に、随分大きなカトカラ(シタバガ亜科の学名)だなと思い、自分が出会ったカトカラの蛾だとシロシタバという蛾が大きかったなと思ったが、シロシタバではないと直ぐに分かった。

では、シタバガ亜科の何という蛾かと言うと、キシタバだと思う。キシタバは、3年前の蛾のことなんか殆ど分かってなかった頃にも投稿しているが、その時にも、やはり大きい蛾だとの感想を述べている。ちなみに、3年前にキシタバの写真を撮った雑木林に、最近も出向いていたが、フシキキシタバという少し小型のキシタバしか出会えなかった。

我家の外灯下には、基本的にシタバガ亜科の蛾達は、殆ど現れないので、今回は少し嬉しい出会いであった。

さて、幼虫の食草は、マメ科のフジやブナ科のコナラやクヌギ等のようである。キシタバの生息分布は、国内は、本州以南、九州、四国、対馬辺りまで。海外は、韓国からの生息報告が上がっている。

最後に、違う角度からのキシタバの写真をもう一枚。

フシキキシタバ 成虫 Catocala separans Leech, [1889]

先週末の猛暑の晩に、近所の雑木林を散策しに行った時に、写真に撮っていた蛾の一つである。

大きさは、前翅長22ミリぐらいであったであろうか。

オレンジの下翅が見えているので、その色合いから、ヤガ科シタバガ亜科のキシタバであろうとの推測は付いたが、いざ投稿しようとの段階で、キシタバが何種類もいる事実を知ることになった。そして、上の写真の個体が、何キシタバか分からないでいたのである。

しかし、とうとう、フシキキシタバという種だと突き止めた。フシキという単語は、フシキアツバのように他の蛾にも使われているが、イマイチ、“フシキ“の正確な意味合いを掴めていない自分が居る。伏木?縁黄?不思議?……何だろう?

幼虫の食草は、ブナ科クヌギ類のようである。まさに、クヌギだらけの森に沢山いたのが頷ける。

国内の生息分布は、本州以南……九州の近接する島まで。海外は、ネットで見た情報をそのまま書くなら、中国東部やロシア南東部に朝鮮半島に生息している模様。

ただ、分かったのは、この下翅がオレンジ色のシタバガ亜科(Catocala)の仲間は、ヨーロッパ大陸と北米大陸に非常に濃く生息している事を知った。逆にアジアの分布は、弱い方だと感じた。

最後に、このフシキキシタバは、少し前まで結構減っている蛾と捉えられていたらしく、各都道府県が独自に定めるレッドデータでは、絶滅危惧II類に指定しているのが、滋賀県。準絶滅危惧種に指定しているのが、栃木県、富山県、兵庫県、広島県、長崎県の6県である。