クロシタシャチホコ 成虫 Mesophalera sigmata (Butler, 1877)

最近、近隣で見かけ、写真に撮っていた。

大きさは、前翅長25ミリぐらい。大きい部類の蛾である。

名前は、クロシタシャチホコ。確かに、この蛾が地面で羽ばたいた時に、下翅が黒灰色をしているのは確認している。その時に、既に種名を知っていたならば、その下翅が確認できる写真を絶対に撮っていたのにと悔やまれる。

幼虫の食草は、所謂、ツバキと言われている。

ところで、この蛾は写真だと分かりづらいが、ちょっと翅の表面に筋の突起のようなものがあり、遠目にはデコボコ感がある蛾に見える。例えて言うなら、キノカワガの雰囲気に近いかもしれない。

フタジマネグロシャチホコ 成虫 Neodrymonia delia (Leech, [1889])

昨晩、我家の外灯下に来ていた蛾のひとつである。

一瞬で、大きい方だなと感じたが、実際の前翅長は2センチぐらい。ふっくらこんもりした体型が、この蛾の大きさを助長させている。

我家の外灯下では、最近数回ほど、ウスベリケンモンというやはりふっくらした蛾に出会っていた事もあり、ヤガ科のケンモンヤガ亜科辺りから探し始めるが、妥当な種を見つけれず、少し途方に暮れている時に、頭部から肩部にかけてが特徴的だった事に着目してみる事にした。

横から見た翅のシルエットと、フサフサの毛が付いた前脚を前方に伸ばして止まっている姿から、「そうか」と閃き、シャチホコガ科を当たると、フタジマネグロシャチホコとオオネグロシャチホコという2種が候補に上がった。

紋様的にもフタジマネグロシャチホコが臭いかなと思ったが、2種の食草の違いも種の特定の考慮に入れた。フタジマネグロシャチホコの幼虫の食草はサワフタギ……一方で、オオネグロシャチホコの幼虫の食草は、ヒメシャラやナツツバキ。

ヒメシャラやナツツバキは、一昔前の庭木人気で、近所の住宅に植わっていることはあっても、私が暮らすような平地の自然下には存在しないぞと思った。逆に、サワフタギは、標高20-30メートルぐらいの低地の雑木林から、少し離れた山の標高400メートルぐらいまで結構お目に掛かれる落葉低木である。(標高200-300メートルぐらいに沢山ある気がして、当然ホタルガ達の楽園になっている。)

こうなって来ると、上の写真の個体は、フタジマネグロシャチホコかなと考える。

ちなみに、ネット上で、投稿の中に灯に遅い時間帯に飛来する種との記事がを見つけたが、愚然かもしれないが、昨晩、本種と出会ったのは、何か未だ昆虫達が現れないかと就寝を引っ張っていた深夜0時過ぎだった。

灯に蛾達の現れる時間帯……この視点は、個人的にノーマークだったが、今後は、その視点も頭の片隅に入れて、外灯下に集まる昆虫達の観察を続けて行きたい。

プライヤエグリシャチホコ 成虫 Lophontosia pryeri (Butler, 1879)

最近、近隣で、この蛾を見かけ、写真に撮っていた。

大きさは、前翅長13ミリぐらいだったと思う。

随分ほっそりと止まっている。前翅の後縁から翅頂にかけての角度が鋭角な気がしたが、この写真を撮った直後に、飛び立ってしまった。

気持ちを切り替え、他の蛾を探そうと、辺りを見回すと、水溜りに茶色い蛾が浮いている。うん?……もしかして、飛んで逃げた蛾であろうか?

随分、雰囲気が変わったが、以下が、その蛾の写真である。

そして、この蛾が生きている事も見てとった。この時点で、壁面に止まっていた蛾と同じ個体であることを確信した。この蛾がいる場所は、既にチェック済みだったので、この生きてる蛾を見逃すはずがない。チェック後に飛んで来れるのは、直前に壁面にいた蛾しか考えられないとなったのである。

さて、上の翅を広げた写真を見ると、ヤガ科の蛾にしか見えない。決して大きくなかったサイズも考えると、ヤガ科のヨトウガ亜科を総当たりしてみた。(ヤガ科のヨトウガ亜科には、相当な数の蛾が名を連ねているので、骨の折れる作業である。)

結果は、坊主である。そして気がつく。ヤガ科の蛾にしては、触角が立派過ぎるし、頭部の形も少し特徴的であると。

こうなって来ると、次に私が選んだのは、立派な触角が売りのドクガ科とシャチホコガ科である。ドクガ科でも外れ、次にシャチホコガ科を当たる中で、とうとうプライヤエグリシャチホコに辿り着いたのである。長い道のりだった。

プライヤエグリシャチホコの幼虫の食草は、ニレ科のケヤキらしい。先ほど投稿したウンモンスズメの投稿の際も触れたが、ケヤキがこの場所の近くにあったかなぁという疑問が残る。

ちなみに、プライヤエグリシャチホコのプライヤは、19世紀にいた昆虫学者の名前から採られてるとの事である。