コウライギギ?  Tachysurus fulvidraco (Richardson, 1846) Pseudobagrus fulvidraco
(Richardson,
1846)

昨晩、ウナギ釣りに出かけた際に、釣れてきた。

この個体で大きさは、20センチぐらい。

上から見た写真を以下に。

実際の色合いは、写真の通りである。

アメリカナマズも、普通のナマズも釣れて来る場所なので、一瞬、色合いの変なアメリカナマズかとも思ったが、20センチ程度のアメリカナマズの幼魚は、もっと細長く魚雷みたいなシルエットなのを知っている。

そして、釣り上げた際に、ギイーギィーと鳴いているのが印象に残ったので、ギバチかギギのどちらかかと考えて、尾鰭を見ると、結構割れていた。ここで、ギギなのかなと予想したが、果たして、ギギが、こんな清流とは言い難い泥底の川に居るもんだろうかとも正直思った。(ちなみに、アメリカナマズも鳴くが、ギィーギィーではなく、グフッグフッって鳴いている気がする。)

そして、帰って写真を見返しながら、ギギに落ち着きそうになったが、ギギにしては体高があるのと、鼻先が尖っていないのが気にはなっていた。そんな矢先に、ネット上でヒットして来たのが、近年、霞ヶ浦水系で定着が確認されているコウライギギという外来種の存在であった。

おそらく、上の写真の個体は、コウライギギだと思う。

さて、このコウライギギは、2011年に、霞ヶ浦で確認されて以降、少しづつ生息範囲を広げている魚である。元々の生息域は、Pseudobagrus fulvidraco (Richardson, 1846)の学名で調べると、倒的に朝鮮半島からの報告が目立つが、Tachysurus fulvidraco (Richardson, 1846)の学名で調べると、大陸のもうちょっと広大なエリア(ロシアのアムール川から中国の東部を経てベトナム辺りまで)に生息しているようである。

現在では、2016年に特定外来生物法の下の特定外来生物に指定され、飼育、運搬、輸入、 野外への放出が厳重に禁止されており、しかしながら、生態系被害防止に関する法律の下では、1番ランクの下の総合対策外来種(様子見みたいなカテゴリーであろうか)に入れられている魚である。

マナマズ Silurus asotus (Linnaeus, 1758)

先週末、家から車で40分ぐらいの場所で釣ってきた個体である。

大きさは、45センチぐらい。

ナマズと言えば、日本全国、何処にでもいそうな気がするが、沖縄にはいない魚だと分かった。

過去には、福岡県、埼玉県、今回は千葉県で釣った事になるが、これまでに10匹も釣り上げて来ていない気がする。家の近所の小川にも居ると思われるが、数が多くないのか、家の近所で釣ったり、採ったりした事はない。ただ、浅い淀みでクネクネとしなやか過ぎるシルエットを見ると、「あれは、鯉やアメリカナマズではなく、ナマズじゃないかな。」と眺めていたりはする。

さて、今回は、どうしても、釣ったナマズの食味が再確認したかった事もあり、持ち帰って来た。再確認したかった理由は、家の近所の水系に溢れかえっているアメリカナマズが、どうしても美味しく食してあげられず、また、美味しいというまで仕上げる下処理に手間がかかるので、日本の在来のマナマズは、どうなのであろうかと自分自信で再確認したかったのである。

結論から言って、アメリカナマズと在来のマナマズは、別物だと分かった。

今回は、マナマズを食べるに当たって、出来るだけ素材の味が知りたかったので、皮も剥がずに、油で誤魔化すこともせず、蒸した後にタレを付けて焼いて、所謂、九州とかの蒲焼風にしてみた。

感想は、美味しいお魚に尽きる。ちょっと長い時間蒸した事で、生臭みも落ちたのか分からないが、魚それぞれが持つ独特の魚臭さは、ほぼ無い。身質は、ホロホロに柔らかくて、逆に、身割れが激しくて、皮と一緒じゃなかったら、バラバラに解れてしまうかもしれない。

蒸した事で、身の間に入り込んだ水分が滲み出てくるのか、蒲焼というよりは、ちょっとした煮物のような感じになったが、作り方が功を奏したのか、他に類を見ない美味しい魚の煮物が完成した。煮物が美味しい身近な魚として、金目鯛とかナメタガレイとかがあるが、マナマズの方が正直美味しいと思った。丁寧に精米した炊き立ての白米と一緒に食べたら、最高に幸せな気分になると思った。

もちろん、蒲焼という点では、鰻の本来持つ脂の美味さが、ナマズには欠けるが、雑味のない上品な味で柔らかく解れやすい身は、違う方向で美味しい蒲焼だと感じた。きっと、身に色が付くほど煮て煮物にすると、素材本来の旨味をボケさせてしまう可能性もあるので、今回は、偶然だけど、美味しいレシピを発見した感じである。

そんなに美味しいナマズだけど、全く食材として注目していないのが、一般的な日本人の現在の傾向である。身近な環境に美味しい魚を殖やすことの重要性に気が付き始めても良い時代である。食料の輸入事情(未来)が、今後、日本に有利に傾いていくとは、なんとなく思えない時代である。

ところで、このマナマズSilurus asotus (Linnaeus, 1758)は、沖縄含む南西諸島にはいないが、海外では、中国東部や台湾やベトナムの方まで生息しているらしい。日本には、他に固有種として進化したナマズが琵琶湖に2種、中部地方に一種いる。

そして、日本固有種含めて、このナマズのアジアの分布を眺めた時に、マナマズは、元々は、関西以西にしか生息しておらず、江戸時代以降に関東や東北に持ち込まれて来たという推測が、なんとなく真実を物語っている気がしてくる。

たまたま、マナマズの脂の乗った美味しい時期だったのかもしれないが、少し前に投稿したニゴイと共に川魚達も侮れないなと思った。

ギバチ Pseudobagrus tokiensis (Döderlein, 1887)茨城県 標高60メートル 

今週末は、急にちょっと暑くなり過ぎである。6月の後半の気温ではない気がする。

ちょっと涼を求めて、川遊び(ガサガサ)でもしに行ってみた。珍しく、娘も付いて来ると言う。高速道路を使って、40分ぐらいの場所に、初めて行ってみた。

とにかく、障害物や注水植物が殆どない川であったが、何かはいるであろうと、少ないポイントに網を入れていく。

魚影は濃くないが、魚は泳いでいるのが見える。しかし、流れはそこそこにあり、その魚の種を特定する事は出来ない。

そんな中、数少ないポイントで、以下の魚が網に入ってきた。

ギバチだよなと思ったけど、ギギというちょっと似た魚もいる。一番の区別点は、尾鰭であろうか。ギギの方が尾鰭が普通の魚のように切れ込みが深い。

もう一枚、パンパンのお腹が見て取れる写真を。

産卵シーズンなのかもしれないが、ギバチもギギも、とにかく大食漢で、餌をたらふく食べてお腹をパンパンにしている事も多い。我家の水槽でも、過去に、近隣で捕まえてきた雷魚の子供(8センチぐらい)が一瞬で食べられてしまったことがある。

私は、この魚は、栃木の清流で何回か捕まえた事があるが、家からそれほど遠くない場所にもいる事が、今回分かった。ただ、私の中でのイメージでは、やはり冷たい水が流れ込む環境を好んでいる魚の気がする。

その証拠になるか分からないが、生息分布は、日本海側は、富山県以北……太平洋側は、神奈川以北といった感じである。では、西(メインは九州)はと言うと、アリアケギバチという種がいるようである。ヤマメとアマゴの関係に似ているかもしれないが、この分布の境界ラインは、魚類だけでなく、植物にも当てはまる事が、最近分かってきた。

ギバチも、アリアケギバチも、日本固有種のようである。

ところで、このギバチ……環境省のレッドデータで、絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されているのを知って、驚いた。環境省のレッドデータで指定を受けている種は、都道府県独自のレッドデータでは、軒並みに上位指定されている事が常だが、実際に、ギバチの本来の生息地と思われる都道県では、絶滅危惧Ⅰ類から準絶滅危惧種までレッドリストに載せている都道府県が殆どである。この魚を捕まえた場所の茨城県も、絶滅危惧Ⅱ類の指定をしている。

また、アリアケギバチの方も、環境省の絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されている。ところで、少し気になるのは、九州にメインに生息しているアリアケギバチは、四国や本州の西部には居ないのかなという疑問である。もし居ないなら、東のギバチと西の九州のアリアケギバチとの間の空白のベルトの説明をどうやって考えればいいんだという好奇心が生まれる。

今日は、家からそれほど遠くなく、安全に遊べて、のんびりできる場所を発見出来た。また、行こうと思う。