ハナダカノメイガ 成虫 Camptomastix hisbonalis (Walker, 1859)

昨晩、我家の外灯下に来ていた蛾のひとつである。

大きさは、前翅長で11ミリぐらいだったと思う。

この蛾を見た時に、印象に残ったのは、「下唇髭が長っ!」という点であるのと、あとは、触角も、フニャフニャではなく、力強く前方へとピンッと張っているなという点である。

このちょっと特異な特徴を頼りに調べると、ハナダカノメイガという種だと分かった。ヒメハナダカノメイガという種もいるらしいが、そちらは、ひと回り小さいようである。

幼虫の食草は知られていないとのことである。この蛾の世界分布を眺めた時に、中国の南東部の目撃報告が多く、意外なのは、南半球のオーストラリア東部でも目撃報告が集中しているところである。なんとなく、中国南東部の人や物資や文化の移動も、この蛾の拡がりとは繋がりがありそうな気もする。その辺りを推理することからも、この蛾の幼虫の食草に近付いて行ければなと思う。

ウスムラサキノメイガ 成虫 Agrotera nemoralis (Scopoli, 1763)

昨晩、我家の外灯下に来ていた蛾のひとつである。

ひとつ前の投稿で、クロウスムラサキノメイガという近似種の投稿もしているので、そちらと是非比較してお読み頂きたいと思う。

大きさは、前翅長で7ミリぐらいだったと思う。縁毛も擦り切れて前脚も片方欠損しているようで、自然界を生き抜いてきた日数を感じる。

種名は、あんまり紫の要素が入っているようには見えないのだが、ウスムラサキノメイガ。

ひとつ前の近似種のクロウスムラサキノメイガの投稿の中で、本種ウスムラサキノメイガとクロウスムラサキノメイガの違いを列挙したが、上の個体は、まさにウスムラサキノメイガの特徴を全て持っていると感じる。

✳️触角の付け根が白くない。

✳️前脚の脛節の付け根に毛束がない。

✳️後翅と前翅の色合いが違う。

というチェック点から、上の個体は、ウスムラサキノメイガであろうと思ったのだが、こうやって同所に、近似種が生息している事を確認する事になった。

近似種が仲良く同じペースで同所に到達する可能性もなくはないが、おそらく、どちらかが最初に来ていたんだと思われる。蛾に限らず、たまにみる光景であるが、やはり翅を持ち、ある程度の距離の飛行が出来るという能力が昆虫の進出には影響していると思われる。

このウスムラサキノメイガは、ヨーロッパからインドを経て、日本含む東アジアに拡がっている蛾である。

クロウスムラサキノメイガ? 成虫 Agrotera posticalis Wileman, 1911

昨晩、我家の外灯下に来ていた蛾のひとつである。

大きさは、前翅長で8ミリぐらいのとても小さい蛾である。

種名は、ウスムラサキノメイガと言いそうなところだっただが、クロウスムラサキノメイガという種の存在の可能性を知ると、上の写真の個体は、クロウスムラサキノメイガなのではと考えるようになった。

ネット上で、2種の違いとして挙げられてる点は、以下である。

✳️前脚の脛節付け根にふんわりした毛束があるのは、クロウスムラサキノメイガの特徴である。(この特徴に関しては、オスの特徴と書いてある記事も読んだので、この特徴での種分けには、少し慎重になっておこうとも思う。)

✳️触角の付け根が白いのが、クロウスムラサキノメイガの特徴。上の写真を見る限り、確かに白い。ネット上の写真では、この部位が白く無い個体も見つけれるので、この特徴が雌雄の違いでない事を、今後確証していく必要を感じる。

✳️前翅と後翅の紋様が同じ配色で繋がりがあるのが、クロウスムラサキノメイガの特徴のようである。確かに、上の写真は、そう見える。ウスムラサキノメイガの方は、後翅が、前翅とは違う薄い色のボヤけたものになるらしい。

以上の3点の特徴を信じるなら、上の写真の個体は、クロウスムラサキノメイガなのかなぁとなる次第である。

ただ、幸運な事に、この蛾は、我家の外灯下に時々(年に4,5匹)現れる。じっくりとそれぞれの個体を観察出来るチャンスを持っているのである。

ところで、話変わって、ウスムラサキノメイガ…Agrotera nemoralis (Scopoli, 1763)の方は、1763年には西洋の昆虫学者に認識されている種であり、ヨーロッパからインド、日本含む東アジアにも生息している蛾である。

一方のクロウスムラサキノメイガの方は、日本固有種のような位置付けなのではと勝手に考えている。本家ウスムラサキノメイガの発祥地が分からないが、世界に拡散してゆく過程で、遠く極東の日本に到達し、その後も独自進化したのがクロウスムラサキノメイガなのではと考えたい。

きっと日本にいるウスムラサキノメイガの方は、その後を再び追ってきた系統なのかなと予想する。なんか、在来タンポポと西洋タンポポの関係みたいなものを、頭に描いている自分がいる。

蛾の進化の歴史に比べたら、人類の進化の歴史なんかちっぽけなものなんだと思いたい。他の動物の世界にはない文明というものの急進化と人類そのもののゆったりとした動物的進化のギャップがどんどんと開いていっているような気がする。

そして、きっと急進化する文明を制御出来なくなり滅ぼされるのが人類の運命なのかもしれない。その際には、他の動植物達が巻き添えにならない事だけを願う。