マダラコウラナメクジ 子供

最近、長さ30メートルぐらいのトンネルの中で、彼らを見つけてしまった。

暗いながらも、このナメクジっぽい生物は、マダラコウラナメクジの幼体であろうとの見当は付いた。撮った写真を、その場で見返して確信した……やっぱりなと。

大きさは、4センチぐらい。長く伸びて這い回っている時の長さなので、丸まっている時は、2センチぐらいと結構小さいはずである。

こちらは、マダラコウラナメクジの幼体で良いと思う。

そして、その付近を眺めていると、直ぐ近くに、色の薄い一般的なナメクジに見える個体が居たので、写真に撮ってみる事にした。

その時撮った写真が以下である。

そして、流れ的に考えると、この直前の個体も、マダラコウラナメクジの幼体と思いたいのだが、随分色合いが薄めで、紋様もボヤけた個体も居るんだなとの知識を得る事になった。

ヤマナメクジ 一亜種C群

最近、近隣で、このヤマナメクジの写真を撮っていた。

大きさは、上の写真の状態で、10センチないぐらいだったと思う。一見して、ヤマナメクジと分かる紋様と雰囲気である。

この日は、ナメクジ類が好みそうな雨の日ではなかったが、日中にもかかわらず、ニワウルシの樹皮の地衣類を舐めていたように見えた。このこじんまりとした同じ森では、その日、たまたまキノコの種類を調べようと、傘の後ろのひだの部分を見ようと柄を折ったところ、ヤマナメクジの幼体にも出会うことができた。以下がその写真。一瞬、マダラコウラナメクジの幼体と思いそうだが、ヤマナメクジの幼体である。

そして、この小さな森を去り際に、もう一度、最初のヤマナメクジが居た木をみると、先程のヤマナメクジが移動中であった。ヤマナメクジも移動しようとすると、思った以上に細長くなれて、触角も長くなるんだなと思った。

さてさて、今回の写真の個体群は、明らかにヤマナメクジと分類できるが、近隣には、ヤマナメクジともフタスジナメクジとも言い切れない大型のナメクジが存在する事に気が付き始めている。もちろん、外来で大型のマダラコウラナメクジでもない。棲んでいる環境が、ヤマナメクジとは違う。

今回のヤマナメクジと思われる個体は、周りのこれまでの開墾の歴史の中で少し孤立してしまったと言える小さな森にいた。今まで、近隣で、所謂ヤマナメクジと分類できる個体群に出会う場所は、どれも台地上の森の中であり、それらの台地上は、過去に縄文海進によって海面下には降ったことがないエリアだと推測している。一方で、約6500年前頃をピークに海岸線が後退し始めて出来た近隣の沖積平野に新しく生まれた小さな森に、台地上のヤマナメクジは移動しているのかも調べたいところである。

そして、このヤマナメクジを調べていて気が付いたのは、南西諸島にもヤマナメクジの亜種がいる事である。これは、南西諸島が大陸や本土から孤立し始めた2万年前には、現在の日本の国土にあたるであろう地域には、ヤマナメクジが広くいた事を意味していると思われる。おそらく、森伝いに長い時間をかけて各地域に広がってゆき、もし森が分断された時等には、森毎に独自の進化をゆっくりと始めたんだと推測できる。

言い換えると、現在近隣で、ヤマナメクジを見かける森も、道路や住宅や農地等で分断されているものが殆どである。同時に、それらのヤマナメクジは、おそらく何万年も前からその地で育って来ている系統の可能性が大であり、まさに今、人為的な原因による森の孤立によって独自の進化を遂げている真っ最中なのかもしれない。

マダラコウラナメクジ

この写真を撮ったのは、昨年の秋。メディアのデータでは、昨年の9月28日となっている。

それまでの知識から、この巨大なナメクジが、マダラコウラナメクジという種である事は、直ぐに結びついた。

遭遇は、2度目で、1回目は、今から10年ほど前に、やはり同じく茨城県つくば市のとある国の施設内の林の中だった。その時の印象も、茨城の平野部にも変わった種類の大きなナメクジ(ヤマナメクジ)が居るんだね、誰かが放したのかなというものだった。

それから、程無くして、当時、まだ保育園だった息子と、茨城県坂東市に在る自然史博物館を訪れた時に、2006年に国内で初めて茨城県土浦市で見つかった外来種のマダラコウラナメクジの情報求むの展示を見て、その少し前に目撃した大きなナメクジは、マダラコウラナメクジだった可能性が大きなと思った次第である。残念ながら、当時のその大きなナメクジを撮った写真は無いので、その時に私が見たものは、大きなヤマナメクジだった可能性も有るが、ヤマナメクジは、九州北部に住んでいた時に、よく目撃していたので、それとは何か違う印象を持っていたのは覚えている。

さて、今回のマダラコウラナメクジとの遭遇は、やはり、茨城県つくば市中北部の大きなホームセンターの駐車場だった。1時間ほど駐車場に停めた車中で休憩した後、トイレを借りようと歩き始めた時に、まだまだ陽射しの強かった9月の終わりの熱いアスファルトの上に、コイツが居た。

そこで、興味深かったのは、このナメクジの這った跡が、近くの植え込みとかから続いているのでは無く、突然広大な駐車場の真ん中から始まってる事だった。そして、その始まってる場所には、少し前まで、農業関係と思われる軽トラが停まっていたのをはっきり記憶していた。

同時に、はぁ〜、こうやってナメクジって、自力では無く、長距離を移動出来てしまうんだとの現場を見た感じだった。私の推理では、軽トラのホイールとかに入っていたこのナメクジが、ある程度車が停まった際に、這い出してきたのかとの推理だった。

その時の巨大ナメクジの写真は、撮ってある。それが、下の一枚。

この大きなナメクジが、全国に拡大しつつあるとの記事も目にする事が有る。今後の拡がりに注視しよう。

この記事を書いている2019年6月現在、このマダラコウラナメクジは、環境省の定める特定外来生物法の特定外来生物や要注意外来生物(2015年3月からは、こうした外来生物を、一括りに生態系被害防止外来種と呼ぶようになっている)には指定されていない。ゆえに、法的観点からは、この生物を飼育・保管・運搬・輸入・販売・譲渡・野外に放つ行為をしても、罰則は無い。

2006年に、茨城県土浦市で発見されてから、かれこれ13年。環境省は、この生物に関して、殆ど紹介言及してきてない。日本での生息初確認から13年、お役所は、まだ日本の環境に与える影響と広がりを、慎重に調査している段階なのかな。だかと言って、ボーッとしてては、後の祭り。お役所に頼り、指示を待つだけで無く、市民の一人一人が、環境というものに意識を持ち、この生物が身近な環境にどういう影響を与えているかを冷静に分析していける知識と能力を身に付ける事が必要なのでは無いかな。

これからの将来のバランスのとれた良い環境を作り上げていくのは、市民一人一人の正しい知識(教育される事や自ら学ぶこと)と、市民一人一人の行動力と信じ、今回の投稿を締め括る。

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2021年7月17日追記

近隣の色々な環境で、色々な種類のナメクジに出会うが、マダラコウラナメクジには、案外出会わないものである。

しかし、昨年の今頃、我が家から車で10分ぐらいの里山で、明らかにマダラコウラナメクジが繁殖しているエリアを発見した。マダラコウラナメクジが繁殖していると思ったのは、大人の親指程度の子供のマダラコウラナメクジが、複数居たからである。障害物を退ければ居るみたいな感じであった。残念ながら、マダラコウラナメクジにしては小さいそのナメクジ達の写真を撮り損ねていた。

そこで、今年は、調査を兼ねて、夕方に近所を通りかかった際に、2回ほど、ほんの数分だが、障害物を退けてみるのだが、昨年とは違って見つけられないでいた。

3度目の正直、本日の炎天下の中、少し時間の余裕を持って、その場所の生き物を観察していた。幾つかの障害物を退けるのだが、不発。モグラのつがいに癒されたぐらいで、後は、トンボの写真なんかを撮りながら楽しんでいた。

すると、少し先にジャガイモとサツマイモが捨てられているのが目に留まった。一応、チェックしてみるかと近づくと、1匹だけマダラコウラナメクジが一心不乱に食事中であった。

それほど大きくない気がしたので、芋から引っ張り出してみようと、頭が有りそうな位置を予測して、近くにあった小枝で芋を切り開くと、8センチぐらいのズングリした塊がお目見えした。因みに、腹側は、全くの無紋様だった。

ただ、想像以上に逃げ足が速く、一瞬で枯れ枝の中へと消えていった。伸びると、随分長くなるなと感じたが、15センチ以上に伸びた印象である。

前もそうだったが、このナメクジは、ネバネバが目立つ気がする。

さて、本日の収穫……マダラコウラナメクジは、芋で呼べば良いのかと学んだ。この方法は、調査にも駆除にも使えるなと思った。

それにしても芋の齧られ方が深い。一つ落ちていたジャガイモなんかは、外の皮だけで中身は無かったのも転がっていた。これだと、野菜農家には、嫌がられる運命が待っているな。