クロヨシノボリ

一つ前に投稿したヌマチチブを捕まえた同じ日に、ヌマチチブより多くのヨシノボリも捕まえていた。

そして、この際、数あるヨシノボリの種の中で、今回捕まえたヨシノボリが、正確には何というヨシノボリなのかを突き止めてみることにした。

今回捕まえたヨシノボリの写真は以下に。

先ず、その日捕まえたヨシノボリ達は、多少の誤差はあるにせよ、概して色が黒い。春から夏にかけて水温が緩み、雄の婚姻色が色濃く出る時期ならともかく、この極寒の時期に真っ黒に近い体色を考えると、クロヨシノボリという種が臭いと思い始めた。

そして、クロヨシノボリの細部の特徴と照合した結果、頬に殆ど紋様が無いことや、胸鰭基部の三日月状の紋様の雰囲気等から、やはりクロヨシノボリなのではとの結論に至った。

少し、色の薄いメスの写真も以下に載せてみようと思うが、そちらの写真では、薄らではあるが、クロヨシノボリの特徴である体側を縦(頭部の方から尾の方に)に貫く線のようなものが辛うじて見て取れる気がする。

さて、このクロヨシノボリの更なる特徴の一つとしては、短めの小河川に多いという報告がある。この点も合致していて、捕まえた河川は、本当に数キロ登れば細流になってしまうような環境である。

ただ、このクロヨシノボリが淵を好んでいるとのことだが、ここには共通点を見出せず、流速の速い瀬や急流にも沢山いる。

ここで、このクロヨシノボリを調べていて知った事実に、このクロヨシノボリをレッドリストに入れている都道県が想像以上に多く、絶滅危惧Ⅰ類に指定している都道府県が、新潟県に富山県に山口県。絶滅危惧Ⅱ類に指定している都道府県は、福井県に佐賀県に大阪府。他にも、準絶滅危惧種に指定している県が2県といった具合に、身近にいる割には、他県では数を減らしているようである。

ここで、幼少よりあまりにも馴染みであったヨシノボリ達ののレッドデータを調べたところ、このクロヨシノボリがダントツで、続いて、オオヨシノボリがグッと後方を追走しているといった感じであった。

近隣・近所では、頬に明らかに赤い斑点や波紋様が見えるカワヨシノボリやシマヨシノボリも見かける記憶があるので、今後は、ちょっとこのヨシノボリ属の棲み分けを探ってみたくもなった。

ヌマチチブ

最近の事だが、近所の小川で、かなり久々にガサガサをしてみた。氷点下近い気温の中でのガサガサだったが、数種類の生物が網に入った。

この小川の水系ではお馴染みのヨシノボリが数匹採れたかと、当初思っていたが、バケツに入れて持ち帰ったものを見て、少し違和感のある個体が混ざっている事に気が付いた。

要は、ヨシノボリより頭が大きくズングリとしていると思った。以下が、その魚である。

直ぐに、ヌマチチブかと予測は立ったが、前知識として、似た種にチチブという種がいる事は知っていたので、この際、チチブの路線も視野に入れて2種の違いを少し確認してみた。

確認の結果、この写真の魚種は、ヌマチチブとの結論に至ったのだが、今回、私が一番興味を抱いた点は、このヌマチチブを捕まえた場所であった。

これまでの近隣のヌマチチブの生息場所の個人的イメージと言えば、そもそも汽水域と言えるような河口近くのゴロゴロと石が沈んでいる水域や、少し拡大解釈しても、霞ヶ浦本湖といったような広大で水量豊富な水域のゴロタ周りといった感じであった。

過去に霞ヶ浦に注ぐ桜川水系で、随分と谷津田を遡った上流の池でヌマチチブを捕まえた時には、こんなところまで遡上して来ているのかとビックリした記憶もある。驚きの理由の背景には、このヌマチチブの稚魚が海や汽水域まで一度下り、再遡上してくるという習性を知っていたからである。この時にも、ヌマチチブって陸封されても繁殖出来るんではないかという疑念はよぎった。

さて、今回の発見場所は、汽水とは言い難い中流域の小川であったが、それよりも興味を持ったのは、水深が浅くかなり流れのあるスポットに溜まっていたからである。この小川は、基本的に粘土質の自然の土が川底や川縁を形成しているのだが、私がヌマチチブの楽園と言いたいそのスポットだけは、人工的に石が多く入れられて、まさにその川では珍しいゴロタエリアなのである。

ここからも、ヌマチチブと言えば、やはりゴロタ周りかとのイメージを更に私の中では強める事にはなったのは確かである。

因みに、このスポットは、昨年の夏の炎天下に、子供達が水遊びを楽しんだ場所であった。綺麗な川(水)だと言って、無邪気に水と戯れていた(もっと綺麗な川を沢山見てきている身としては、少し切ない気持ちもあった)が、確かに、水底の石の上を縦横無尽に張り付き滑りながら泳ぎまくるハゼ科の魚が、ヨシノボリとは違う気はしていた。きっと、今思えば、ヌマチチブだったんだと思う。

最後に、このヌマチチブの語源が気になり、調べたところ、ヌマは沼であろう事が直ぐに連想出来るが、チチは、子供のオチンチンから来ているらしい。ブは、魚を表す接尾語とのことである。分からなくもない。

もう一つ、最後に、このヌマチチブの方言にハラフクレというのがあるが、これは頷ける。過去に、ヌマチチブを水槽で飼育したことがあったが、かなりの大食漢であり、自らと同じぐらいの魚を次から次に食べてしまい、常にお腹がパンパンになっていたのを記憶している。

マツヘリカメムシ 成虫

本日、仕事中に仕事先の施設内で発見。1月とは思えないとても暖かな陽気に誘われて、越冬中の昆虫達も活動し始めたのかと感じながら、種を確かめようとしゃがみ込み観察したが、どうも見たことのないカメムシの仲間のような気がする。そして、既に亡くなられているのにも気が付いた。

その時写した写真は以下に。

このカメムシの写真を撮りながら、気になっていたのは、大きさであった。体長2センチぐらいと、この手のカメムシにしては、大きいサイズ感であった。それと、後脚脛節の鰭(ヒレ)状の膨らみも気になった。

同時に、この大きなサイズ感を手がかりに種に結びつきやすいはずとの直感が働いたが、その直感は当たった。直ぐに、マツヘリカメムシという外来種のカメムシであることが判明した。

さてさて、マツヘリカメムシを調べていて、この北米大陸原産の外来のカメムシが、日本で発見されてから、比較的間もないことを知った。2008年に東京で初確認のようである。それから13年、日本全土とまでは言わないまでも、各県に拡がりを見せているのが報告されている。

各種、紹介ページでは、マツを好むと書いてあったが、所謂マツ科のマツ亜科の樹木だけを好むのか、それともマツ科のトウヒ亜科やモミ亜科の樹木達も好むのかは、短時間ではちょっと分からなかった。

本日、このマツヘリカメムシなる外来のカメムシに出会った敷地内には、確かにアカマツが疎らに生えている。他には、ヒマラヤスギなんかも人工的に植えられている。

因みに、この敷地内には、10年以上通っているが、敷地内のアカマツの方は、毎年、少しづつ一瞬で枯れ木になって行くのは常に目にして来た気がする。ただ、7、8年前に一斉にかなりの本数が枯れてしまい、敷地内のアカマツが全滅してしまうのではと危惧した事があったが、ここ最近の枯れ具合の進行度は目立たない程に緩やかな気がする。

このマツが枯れる原因は、これまた北米からの外来のマツノザイセンチュウという線虫とマツノマダラカミキリというカミキリムシの組み合わせで引き起こると言われているが、この7、8年前のアカマツの大量枯死と、今回のマツヘリカメムシの伝播と関係してるような時代背景だが、このマツヘリカメムシは、カミキリムシではなく、カメムシなので、松を枯死させるほどの影響力は持たないのではとも思う。

ところで、知ってました?昔の近隣の景色って、アカマツなのかクロマツなのかは分からないですが、大部分は松林だった事を。明治14年作成のフランス式迅速測量図なるもので、関東一円の田園風景が緻密に計測され、利用状況も克明に描かれているのだが、それを見ると松林の多さに、ハッとさせられる。