ヌマチチブ

最近の事だが、近所の小川で、かなり久々にガサガサをしてみた。氷点下近い気温の中でのガサガサだったが、数種類の生物が網に入った。

この小川の水系ではお馴染みのヨシノボリが数匹採れたかと、当初思っていたが、バケツに入れて持ち帰ったものを見て、少し違和感のある個体が混ざっている事に気が付いた。

要は、ヨシノボリより頭が大きくズングリとしていると思った。以下が、その魚である。

直ぐに、ヌマチチブかと予測は立ったが、前知識として、似た種にチチブという種がいる事は知っていたので、この際、チチブの路線も視野に入れて2種の違いを少し確認してみた。

確認の結果、この写真の魚種は、ヌマチチブとの結論に至ったのだが、今回、私が一番興味を抱いた点は、このヌマチチブを捕まえた場所であった。

これまでの近隣のヌマチチブの生息場所の個人的イメージと言えば、そもそも汽水域と言えるような河口近くのゴロゴロと石が沈んでいる水域や、少し拡大解釈しても、霞ヶ浦本湖といったような広大で水量豊富な水域のゴロタ周りといった感じであった。

過去に霞ヶ浦に注ぐ桜川水系で、随分と谷津田を遡った上流の池でヌマチチブを捕まえた時には、こんなところまで遡上して来ているのかとビックリした記憶もある。驚きの理由の背景には、このヌマチチブの稚魚が海や汽水域まで一度下り、再遡上してくるという習性を知っていたからである。この時にも、ヌマチチブって陸封されても繁殖出来るんではないかという疑念はよぎった。

さて、今回の発見場所は、汽水とは言い難い中流域の小川であったが、それよりも興味を持ったのは、水深が浅くかなり流れのあるスポットに溜まっていたからである。この小川は、基本的に粘土質の自然の土が川底や川縁を形成しているのだが、私がヌマチチブの楽園と言いたいそのスポットだけは、人工的に石が多く入れられて、まさにその川では珍しいゴロタエリアなのである。

ここからも、ヌマチチブと言えば、やはりゴロタ周りかとのイメージを更に私の中では強める事にはなったのは確かである。

因みに、このスポットは、昨年の夏の炎天下に、子供達が水遊びを楽しんだ場所であった。綺麗な川(水)だと言って、無邪気に水と戯れていた(もっと綺麗な川を沢山見てきている身としては、少し切ない気持ちもあった)が、確かに、水底の石の上を縦横無尽に張り付き滑りながら泳ぎまくるハゼ科の魚が、ヨシノボリとは違う気はしていた。きっと、今思えば、ヌマチチブだったんだと思う。

最後に、このヌマチチブの語源が気になり、調べたところ、ヌマは沼であろう事が直ぐに連想出来るが、チチは、子供のオチンチンから来ているらしい。ブは、魚を表す接尾語とのことである。分からなくもない。

もう一つ、最後に、このヌマチチブの方言にハラフクレというのがあるが、これは頷ける。過去に、ヌマチチブを水槽で飼育したことがあったが、かなりの大食漢であり、自らと同じぐらいの魚を次から次に食べてしまい、常にお腹がパンパンになっていたのを記憶している。

“ヌマチチブ” への1件の返信

コメントを残す