クロネハイイロヒメハマキ 成虫 Rhopobota naevana (Hübner, [1814-1817])

昨晩、我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

大きさは、前翅長8ミリぐらいだった。

種名は、紛らわしい種が多かったが、慎重な検討を経て、クロネハイイロヒメハマキという種であろうとの結論に至った。

幼虫の食草は、バラ科の樹木が多く確認されているようで、他には、モクセイ科の樹木も確認されているようである。

情報では、5月から10月ぐらいに見られる蛾らしいが、11月も半ばに差し掛かった現在見られるという事は、越冬した個体が、春に活動を再開するサイクルかと思いたいのだが、まだ確証は得ていない。ただ、晩秋に活動的な蛾は、越冬個体が、春先から活動している種が多いような気はする。

生息分布の方は、国内は、北海道から九州近海の島嶼を経て、奄美大島辺りまで生息しているようである。海外の方は、ちょっと興味深かった。この蛾は、寒い地方に特化した蛾であり、ヨーロッパでは南部より北極圏の方に集中しているのが明らかである。そして、カナダの北極圏の方にも濃く生息しているのである。これは、凄い珍しい事だと思う。また、ポルトガルの西方に浮かぶアゾーレス諸島に濃く生息が確認出来て、その流れで、アメリカ合衆国のニューイングランド地方に上陸している気がする。その後は南部沿岸に広がっていったのが分かる。もう一つの流れは、アラスカから南下してきている動きがある事である。そして、勿論、極東の日本、朝鮮半島、ロシア沿海州には、生息しているのである。

ただ、私が、今回見た個体と、他の地域で目撃される個体との間に、少し外見的紋様のパターンに違いがあるようにも思えるので、ある程度の歳月の間に、極東の個体群が亜種化している可能性は視野に入れたい。

最後に、最近、気づいてきたことだが、寒い時期にも活動している昆虫達には、寒い地域に特化している昆虫達も多い気がする。これらが、日本の暑い夏を、どうやって乗り切っているのか、今後、もっと暑くなると、どうなるのか等、好奇心が湧く。