フタヤマエダシャク 成虫 Rikiosatoa grisea (Butler, 1878)

最近、近隣で見かけた蛾の一つである。

大きさは、前翅長17ミリぐらいあった。

肉眼では、クロクモエダシャク辺りかと思っていたが、撮った写真を見てみると、どうも違う気がする。

調べてみたところ、フタヤマエダシャクという種であろうとの結論に至った。

幼虫の食草が、興味深くて、アカマツとの事であるが、確かに、この蛾がいた辺りは、アカマツがまだ生き残っているエリアなのである。そのアカマツも、年を追うごとに枯れて本数を減らしていっているのが現状である。

余談だが、近隣の古い地図(明治初期のフランス式地積図)を見ると、近隣の集落周辺の大半は松林と記録されている。この松が黒松なのか赤松なのか分からないが、当時の村々が、灯り用の油取りのために、しっかりと松林を管理していたのが分かる。

しかし、その後に松を枯らす害虫が入ってきたのか、理由は分からないが、平地の近隣の自然下に、黒松や赤松が自生している風景には、先ず出くわせなくなってしまっている気がする。ちなみに、大正時代末期に入ってきた大王松は、農家の近くの雑木林の中に巨大に聳え立ち生き続けている光景に出くわすことはしばしばある。

さて、このフタヤマエダシャクは、年2化しているようで、5-7月と9月ぐらいに現れる蛾のようである。

生息分布の方は、国内は、北海道から、対馬含む九州を経て屋久島まで。海外の生息分布は、朝鮮半島からロシア沿海州にかけて。

スジモンコヤガ 成虫 Microxyla confusa (Wileman, 1911)

昨晩、我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

大きさは、前翅長10ミリちょっとぐらいだったと思う。

種名は、スジコヤガ亜科に属するスジモンコヤガ。旧名は、スジモンアツバで、ヤガ科のクチバ亜科に属していたらしい。

幼虫の食草は、マメ科のクズ、ヤブマメ等ということである。近隣には、どちらも沢山生えてている。

生息分布の方は、国内は、本州以南……九州を経て屋久島まで。海外の生息分布は、韓国と台湾から濃く生息報告が上がっているようである。

タイワンウスキノメイガ 成虫 Botyodes diniasalis (Walker, 1859) 群馬県 万座温泉 標高1750メートル

数日前に群馬県の万座温泉へ出かける機会があったのだが、その際に見かけた昆虫の一つである。

大きさは、前翅長22ミリぐらいであった。

直ぐに、知っている蛾だと気が付いたが、自宅の近隣にもいるこの蛾(オオキノメイガ)が、こんな標高の高い場所にも居るんだとも最初は思った。

自分の知っている蛾というのは、オオキノメイガなのだが、最近、オオキノメイガと近似種のタイワンウスキノメイガを、少し腰を落ち着けて、色々な角度から比較してみていた。

そして、その比較から得た知識を基に、上の写真の蛾の種名を考えた時に、上翅の前縁寄りの中央辺りに、ハッキリと小さな紋が見て取れる点と、標高が高く気温の低い場所にいた事を考慮すると、タイワンウスキノメイガの方ではないかなとの結論に至った。

ちなみに、一つ前の投稿で、地元の低地(標高30メートル弱)で見かけたタイワンウスキノメイガかオオキノメイガか同定しかねる個体を、タイワンウスキノメイガ?として投稿しているが、そちらでも触れたが、タイワンウスキノメイガの幼虫の食草と、タイワンウスキノメイガの生息分布を以下に、もう一度、記しておく。

幼虫の食草は、オオキノメイガと同じく、ヤナギ科のポプラやヤマナラシと紹介されていることが多いが、この標高1800メートル近辺にポプラが植えられてるとは思えなかった。ただ、近所の綺麗な沼の畔には種類は分からないがヤナギの低木が生えていたので、そうしたヤナギの低木の葉を食べて成長して来たと、私は睨んでいる。

タイワンウスキノメイガの生息分布は、国内は、北海道から九州を経て、屋久島辺りまでいるようである。海外の生息分布は、朝鮮半島からロシア沿海州南部、台湾、中国南東部、インドシナ半島、ガンジス川流域(言い換えるならヒマラヤ山脈辺り)あと、珍しいところでは、アフリカ西岸大西洋沖のポルトガル領マデイラ諸島やスペイン領カナリア諸島からの生息報告も上がっている。

一方、オオキノメイガの生息分布は、国内は、本州以南……九州を経て、沖縄本島辺りまでのようである。海外の生息分布は、朝鮮半島と台湾からの報告が多く、中国の広範囲からの生息報告も上がっているようである。オオキノメイガの方が東アジアに限定されているような気がした。