キボシカミキリ Psacothea hilaris subsp. maculata (Breuning, 1954)or Psacothea hilaris (Pascoe, 1857)

数日前に我家の外灯下で見かけて写真に撮っていたカミキリムシである。

近隣のフィールドで普通に時々見かける事が出来るカミキリムシであるが、我家の外灯下で見たのは初めてかもしれない。

過去に2回ほど投稿しているが、その時に使った写真がお粗末だと思うので、もうちょっと良い写真への差し替えの意味合いを含めて再投稿してみる。

また、今回、再投稿するに当たって、キボシカミキリをもう一度調べていたら、東日本型と西日本型と2種類が存在(取り敢えず東日本型は亜種だと思う)しており,どちらも日本の人類史といった短いスパンでは、外来種の可能性が指摘されているという興味深いテーマに出会してしまったのである。

では、以下に最近我家の外灯下に現れた個体の写真を………。

大きさは、体長30ミリぐらいであろう。

種名は、キボシカミキリ。

このカミキリが好む植物がクワ(コウゾなんかも行けると思う)やイチジクといったクワ科の植物なので、日本の歴史において養蚕業が重要な仕事であった名残で、桑が近隣の里山に植栽や自生問わず沢山現存している限り,出会えるカミキリムシかもしれない。

そして、今回、キボシカミキリをインターネットで調べるにあたって、国立環境研の外来生物データベースが一番にヒットして来たおかげで、この東日本や九州南部で見かけるキボシカミキリというのが、ハッキリとは断定出来ないがおそらく台湾とルーツを同じくする南西諸島経由の国内外来種であるとの紹介を目にしたのであった。また、この系統は、伊豆諸島の三宅島と御蔵島には、かなり古来より住み着いていたらしい。同じ伊豆諸島でも,八丈島の個体群は、比較的新しい近年の移入群である。東日本型には、中国北部産の系統も混じってる可能性も示唆されていた。ちなみに,関東いわゆる東日本で、このキボシカミキリが初確認されたのは1930年頃の東京と書いてある記事も目にした。また鹿児島県の薩摩半島の南端の方の枕崎でトカラ列島産系の東日本型が発見されたのは、1959年と言われている。

では、一方で西日本にいるキボシカミキリはと言うと、これは、大陸の中国全土にいるキボシカミキリと同系で、日本に古来よりいるのか、それとも比較的新しく移入してきたのか分からないような事が書いてあった。ただ、このキボシカミキリが初めて確認されたのは、1870年頃の九州長崎の材木置き場だったらしい。そして九州産の一般的な西日本型は、対馬や韓国の鬱陵(ウルルン)島のものと同じ系統と言われている。他の地域の西日本型は、ルーツ不明のようである。

そこで、上の写真の個体は、どっちなんだろうと考えるのだが、正直写真だけだと、今の自分には分からない。西日本型と東日本型の具体的な違いとしては、外見上としては、胸部背側の端に見える黄色い縦のラインの雰囲気がある。東日本型は、薄目で真っ直ぐ縦のラインが貫いているらしく,西日本型は、その縦のラインが途中で途切れるとのことである。上の写真の個体だと、途切れているようにも見えるし、薄ら繋がっているようにも見えるし……ただ、東日本型のルーツと思われている南西諸島の島ごとの亜種達は、上の写真のような個体が多い気はしたので、東日本型なのかなぁとも思う。

外見上の見分け方からのアプローチは、もっと各地のサンプルを沢山見ないと、確かなことは言えないが、他に,生態的な違いもあるらしい。西日本型は、幼虫で越冬して、翌年の6月ごろに羽化する事が多いらしいが、東日本型は主に卵で越冬して、西日本型より時期的に少し遅れて羽化して来るとのことである。この違いの背後にある原理は、今の私の知識では簡単には連想できないが、理にかなった理由がきっとあるはずである。

身近に、なかなか興味深いカミキリムシがいる事を知ってしまった感じである。次回の出会いが凄い楽しみである。

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