2022年初シロヒトリ Chionarctia nivea (Ménétriès, 1859)

先週の火曜日に、今年初めてのシロヒトリに出会えた。

シロヒトリと言えば、私にとっては、晩夏の夜の外灯周りを飛び回る夏の風物詩的蛾なのである。“飛んで火に入る夏の虫“の諺の中の虫も、私的には、このシロヒトリのことなのではと思ってしまっている。

大きさは、体長で4センチ弱ぐらいだったと思う。

上の写真の個体は、触角の芯棒の両方に髭が見えているので、雄かと思われる。雌の触角は、芯棒の片側だけに櫛髭がある鋸歯状じゃなかったかとうる覚えしている。

ところで、このシロヒトリは、ヒトリガ科の似たような白をベースにした近隣で出会える近似種達と比べると、明らかに、異なる習性を持っている。

それは、出現時期である。近隣では、春先のキハラゴマダラヒトリに始まり、数は少ないが、オビヒトリが出現し、スジモンヒトリなんかも現れ、そうこうしていると、キハラゴマダラヒトリの2回目の出現が来るのである。おそらく、オビヒトリもスジモンヒトリも2回目の出現をしていると思われるが、それ以降は圧倒的に目撃出来る回数が減り、しっかりしたデータが記憶に残らないのが現実である。

そんな白いヒトリガの仲間達を見かけなくなって1ヶ月以上が過ぎ去った頃の8月の半ばに満を持して現れてくるのが、このシロヒトリなのである。そして、シロヒトリは、年にこの一回だけの羽化のサイクルしか持っていない気がする。

さて、このシロヒトリの分布は、国内は、北海道、本州、四国、九州(近海の島嶼含む)であり、海外は、朝鮮半島、ロシア沿海州、朝鮮寄りの中国なんかにも生息している模様である。ちなみに、キハラゴマダラヒトリなんかは、遠くヨーロッパなんかでも繁栄している蛾だった記憶がある。

最後に、シロヒトリの腹部や脚部や翅裏の雰囲気が見て取れる写真を貼っておく。

上の写真の個体の触角は、触角の芯の片側にだけ櫛歯が見えていて、雌と思いたいが、断言するには、もうちょっと観察データを集めたく思う。(今からの時期、幾らでも出会える蛾でもあるし……。)

ホソオビコマルハキバガ 成虫 Cryptolechia malacobyrsa (Meyrick, 1921.)

昨晩、我家の外灯下で写真に撮った蛾の一つである。

ただ、昨日、初めて目撃したというわけではなく、時々我家の外灯下には顔を出している蛾の気がする。

大きさは、前翅長が8ミリぐらいの蛾である。

種名は、ホソオビコマルハキバガやホソオビキマルハキバガやホソオビマルハキバガといった具合に、ネット上には、3つの種名が錯綜しているが、正しいのはホソオビコマルハキバガだと思われる。

2年前に私も、同じ蛾をホソオビマルハキバガとして投稿している事を確認したが、正式種名は、ホソオビコマルハキバガ。近々、過去の投稿のタイトルを修正しておこうと思う。

ホソオビキマルハキバガという種名で紹介されている方が多いが、ネット上の情報によると、2019年に日本鱗翅学会の会報誌に、Meleonoma属(コマルハキバガ属)に属するホソオビキマルハキバガ(元々は、Acryptolechia属)だと、コマルハキバガ属に属しているのが分かりづらいという事で、この属に所属する蛾達の和名の語尾をコマルハキバガに統一したみたいな内容が書かれていた。

幼虫の食草は不明と記載される事が多い種の気がしたが、枯葉であろうと突き止めている方もいた。

生息分布の方は、国内は、本州以南……九州近海を経て、沖縄本島含む南西諸島まで。海外の生息分布は、ちょっと分からなかった。

キオビベニヒメシャク 成虫 雌雄の見分け方 Idaea impexa impexa (Butler, 1879) 3

数日前に、我家の外灯下にキオビベニヒメシャクが複数匹訪れていた。

近隣で馴染みの種なので、いつものルーティンで何気なく写真を撮っただけだったが、撮った写真を見返しながら、色合いに個体差があるなという感想は抱いた。

そして、更に少し目を凝らして写真を眺めていると、撮った写真の個体達の色合いが違うだけでなく、触角の形状が違うことに気が付いた。

要は、触角の形状に関しては、櫛髭状と糸棒状の差があるということである。

では、触角が櫛髭状の個体の写真から。

触角が櫛髭状なのは確認出来て、色合いは、上のような感じで、キオビベニヒメシャクのキ(黄)の部分は、人それぞれの主観で許容範囲としても、ベニ(紅)の部分は、紅というよりは、茶色っぽく見える。

次に、触覚が糸棒状の個体の写真を以下に。

こちらは、触角が糸棒状であり、色合いは、下地が上の写真の個体より黄色っぽく見えて、帯の部分も、より紅色がかっている気がする。

以上のような比較から、触角の形状の違いで、キオビベニヒメシャクは、雌雄が見分けられる事を掴んだ。更に、色合いの違いも雌雄差と連動していないかと類推したいが、その類推をするには、まだ比較の回数が少ないとも感じている。(光源の当て方によって、蛾の色合いは随分変わるし……。)

今後も、キオビベニヒメシャクに出会った時には、色合いに意識して、観察を続けて行きたく思う。