ウバタマコメツキ

最近、近隣の雑木林でこの甲虫に出会った。

切られてから数年といったところのアカマツの切り株の外皮を一箇所バリっと剥がしたら、ポロリと地面へと落ちる明らかに虫らしき物体に気が付いた。

直ぐに、前知識で、普通のタマムシよりレアなウバタマムシかと思い、拾い上げようと摘んだ瞬間、所謂コメツキムシ特有のバッちんという動作をやられた。当然、不意打ちにビックリして、地面に再び落としてしまった。

そして、今度は、バッちんに怯む事なく、切株の上に置いて、写真に撮らせてもらう事にした。バッちんを警戒して、直ぐにスマホのカメラで連写したが、不思議と一向にバッちんをする気配はなかった。後で知った習性だが、今度は擬死を装っていたようである。

同時に、切り株の樹皮の間でじっとし過ぎて、菌糸に纏わりつかれたかのような小汚い外観が、そもそもの紋様なのか、想像通り菌糸なのか気になったが、後者だと種を断定するのに手こずるなと思った。実際のところ、このカビっぽい装いが、オリジナルの外観だと知り、調べたところ、ウバタマコメツキという種に行き着いた。

さて、大きさの方は、大きかった。このウバタマコメツキの最大長が30ミリとして紹介している記事が多かったが、30ミリを少し超えそうな感じであった。この切り株には、もう1匹、窪みでじっとしている個体が居たのだが、こちらは35ミリぐらいありそうな雰囲気であった。小さい方が雄で、大きい方がメスであろう。

そして、このウバタマコメツキを調べていて、フタモンウバタマコメツキやオオフタモンウバタマコメツキの投稿が殆どで、ウバタマコメツキなる種が存在しないかのような感覚に陥ってしまった。ただ、冷静にウバタマコメツキやオオウバタマコメツキを紹介するページから情報を拾うと、ウバタマコメツキ、オオウバタマコメツキ、フタモンウバタマコメツキ、オオフタモンウバタマコメツキの4種は存在するようである。

フタモンと名前に付く2種は、上の写真の個体よりもハッキリとした長っぽそい紋が上翅の中央両端に見て取れる。一応、上の個体も、写真によっては同じ場所に紋みたいなものは見えるが、フタモン達は、もっとハッキリとくっきりした紋を持っている個体が多い印象であった。

また、ウバタマコメツキの写真には、誰も言及していなかったが、前胸背部中央に白い一つの十字点みたいなものが見て取れる気がする。

また、好む樹木も違いがあるようで、ウバタマコメツキはマツを好むようである。他の3種の中にもマツを好む種は居ると思われるが……そうじゃない種もいるような記事を読んだ。

とにかく、大きなコメツキムシに出会えた有意義な1日であった。

アオチカラシバ

最初に今回の投稿に使った写真は、昨年の10月の下旬に写したものである。タイムリーな投稿ではない事をお許し願う。

さて、チカラシバという多年草は、ちょっとした空き地や田んぼの畦に普通に見かけることが出来るはずである。

そして、一般的に花穂は紫色に色付く。ただ、昨年、仕事でよく通る道路沿いにチカラシバが数株集まっているスポットがある事に気が付き、通る度に眺めていたのだが、花穂が赤紫ではなく、薄い緑色の株が一つだけ混じっている事に気が付いた。

そして、立ち姿はチカラシバにしか見えないのだが花穂の色が違う個体を側まで行き確認したいという衝動に駆られたのだが、その場所は、車を停車出来そうな場所ではなかった。

そんなある日、ふと他の場所で、今度は、花穂が薄い緑色しかない個体群(一株ぐらい中間型があった)に、近隣で偶然出会う事になった。以下が、その時撮った写真である。

チカラシバの個人的印象としては、多年草という事もあり、無秩序に種を飛ばして爆発的に拡大する訳ではなく、少しづつ少しづつ周りに家族を増やしていく感じで、その慎ましさが私は好きである。少し似ている花穂を持つエノコログサの破壊的な芽生え(彼らは彼らで、人間の知能よりしたたかに計算した発芽をしていると思われるが…)とは段違いである。

チカラシバの名前の由来は、引き抜くのに凄い力で引っ張らないとダメというところから来ているとのことである。

ところで、このチカラシバという植物は、花期には結構良い感じの立ち姿をしていると私は思う。特に、一般的な紫の花穂のタイプなんかは、畑や丘一面とかに群植したら、風にユラユラ結構良い景観と雰囲気になるのではと思う。

小川の土手の斜面は、今はセイタカアワダチソウが蔓延って、法面の強度を保ってくれているが、多年草だし、根張りも強いなら、このチカラシバを意図的に植えるのも、良いんじゃないかなとちょっと思ったりする………いつか、試してみたいと思う。

ツタバウンラン

何か投稿に使える写真はないかと、過去の写真を振り返ってみた。

そして以下の写真の植物が未投稿であると分かったので、投稿してみる事にする。ちなみに、写真の日付は、昨年の10月21日となっている。

この植物は、花を咲かせる前から気になっていた植物であった。理由は、ちょっと日本ぽくない葉の質感(ちょっと光沢があり厚め)で、おまけに豪快に匍匐している茎が凄く目立っていた。

この植物は、昼の散歩コースの途中に生えているのであるが、なんとなく目星を付けた植物があったので、花が咲くなら、花を確認して確証を得たいと思っていた。しかし、花は、世の殆どの植物が開花し終盤に差し掛かってきても一向に咲く気配がなかった。

秋も深まり始め、諦めの気持ちが生まれていた頃に、ふとその場を訪れた時に、その謎の蔦植物が開花しているのが目に入ってきたのであった。そして思った。やっぱり、ツタバウンランという植物であったかと。それにしても、一般的に知られているより随分と遅い開花時期であった。

ツタバウンランの存在を知っていたのは、同じく昨年人生初認識出来たトキワハゼという植物の花に似ている植物として、前知識を得ていたからであった。

そして、今、またツタバウンランの知識をネット上で得ていた時に、この植物が外来帰化種であることを知った。日本へは、1912年、大正の初めに、観賞植物として持ち込まれたようである。原産地は、ヨローッパの地中海沿岸地方とのことである。今では、九州と四国の一部を除いて、日本全国で野生化しているようである。

ただ、この植物は、近隣でここ彼処で見かけるわけではない。逆に、私の行動範囲で見かけるのは、この一箇所だけである。

ツタバウンランの生息環境のひとつとして、組まれた岩場の間とかの紹介も見たが、もしかしたら、地中海沿岸地方原産というだけあって、湿気の少ない乾燥した気候は好みなのかもしれないと少し想像を膨らませてみた。

ちなみに、今回、私がツタバウンランを見つけた場所は、実際のところ、高速道路の下で、雨の影響は受けず、常に地面も濡れない場所であった。