オオフタホシヒラタアブ?  Syrphus ribesii
(Linnaeus, 1758)

最近、近隣で見かけて写真に撮っていたヒラタアブの仲間である。

大きさは、案外と大きくて、体長17ミリぐらいあったと思う。

随分と冷え込んできたこの時期に、雑木林の林縁で見れるアブの仲間も激減しているが、このアブは、この秋の冷え込んできた時期に目撃できるヒラタアブの気がする。

候補に上がった種は、オオフタホシヒラタアブとケブカヒラタアブがいたが、ネット上での情報や画像を見る限り、この2種の違いや説明を鵜呑みにするのは、慎重になった方が良いと思い、取り敢えず、タイトルの方は、オオフタホシヒラタアブ?の形にした。

おそらく、成虫越冬して、春先にも見ることが出来るタイプのヒラタアブかと思われる。(ネット上では、ケブカヒラタアブに関しては、成虫越冬すると書かれているサイトに幾つか出くわす。)

さて、上の写真の個体を、オオフタホシヒラタアブSyrphus ribesii
(Linnaeus, 1758)
として、世界の生息分布を眺めると、動物地理学的に旧北区には拡がっていて、スカンジナビア半島の北限の方まで、ヨーロッパには濃く生息しているのが分かる。そして旧北区の極東の日本近辺にも居り、ベーリング海峡を渡ったというか、北極圏をショートカットしたり、グリーンランド経由もありで、新北区のカナダやアメリカ合衆国がある北アメリカ大陸の高緯度地域にも比較的濃く生息しているのが分かった。

ちなみに、このオオフタホシヒラタアブに外見が似ている仲間としては、海外のウキペディアでは、ケブカヒラタアブSyrphus torvus (Osten Sacken, 1875)とコガタノヒラタアブSyrphus vitripennis (Meigen, 1822)が言及されているが、全て、同じような世界分布を見せてくれる。

なお、コガタノヒラタアブSyrphus vitripennis (Meigen, 1822)という種は、この通りの和名では日本ではほとんど認識されておらず、和名が変わったか、別種として扱われている可能性も感じる。

以上のような3種の世界分布を眺めた時に、共通しているのは、南半球には基本的に進出していないのである。幼虫は、アブラムシを食べるらしいが、アブラムシが宿る植物の拡がりと一緒だったのか、その拡がり人間が早める手助けをしたのであろうかとか、どのように、世界へと拡がっていったのか、凄く興味深い昆虫だと感じた。

オオハナアブ Phytomia zonata (Fabricius, 1787)

最近、近隣で見かけて写真に撮っていた昆虫である。

大きさは、体長16ミリぐらい。

丸っこい体型が、マルハナバチの仲間を連想させたが、写真で見ると、蜂特有の長めの触角が見てとれない。こうなると、ハエの仲間のハナアブの一種であろうと調べてみたところ、オオハナアブという種だと判明。

4月から11月ぐらいまで見ることの出来るハナアブのようである。幼虫が、水中生活のため、湿地の近くにいるとの事だが、確かにいた場所は、水田地帯の中の常に水が滲み出ているような休耕田の近くにいた。

生息分布の方は、国内は、殆ど日本全土に生息しているようである。海外の生息分布は、韓国、台湾、中国全土、東南アジアにも生息している模様である。

ヒゲナガヤチバエ Sepedon aenescens (Wiedemann, 1830)

昨晩、我家の外灯下に来ていたハエ(?)の一種である。複数匹来ていたと記憶している。

大きさは、体長1センチぐらい。

種名は、ヒゲナガヤチバエ。

決して触角が長いようには見えないが、そもそも一般的なハエの触角は短いという前提からの比較なんだと思われる。

さて、このヒゲナガヤチバエの習性として興味深いのは、水辺に居て、幼虫は水辺にいるヒメオカモノアラガイ等を食べているということである。この水辺にいるという習性から、ヤチバエ(谷地蝿)の由来があるのかもしれないと想像したくもなる。

ところで、この時点で、肝蛭(カンテツ……牛の肝臓の胆管に寄生する……人間にも寄生する)の中間寄主であるヒメオカモノアラガイを減らす益虫の側面があるのだが、更に、このヒゲナガヤチバエの幼虫は、高確率で、ズイムシアカタマゴバチに寄生されるとのことである。

そして、このズイムシアカタマゴバチは、稲の害虫であるニカメイガの卵を食べる益虫なのである。

こうして、知らないうちに、絶妙のバランスの生態系が維持されるのが自然下の流れかと思うが、この自然下のバランスを崩す原因の一つに、人間の人間視点での行動や価値観があるのは言うまでもないことである。

このヒゲナガヤチバエの生息分布は、日本以外は、韓国全土や中国の一部から報告されている。

ちなみに、昨晩、複数匹が我家の外灯下に来ていた事を考えると、我家のメダカ鉢とかで発生している可能性もあるが、我家のメダカ鉢には、サカマキガイが常に発生はしている。ヒメオカモノアラガイが好むような乾き気味の湿った場所のような環境は、我家の敷地内には無い気はする。