ヒメタニシ

近隣で見かける所謂タニシと言えば、本種ヒメタニシだと思う。

用水路や田んぼ脇の側溝なんかに普通に居る。もっと黒くて丸くて大きいタニシ(マルタニシ?オオタニシ?………幸運な事にジャンボタニシは、見かけない)も時々出会うが、基本的に、近隣でタニシと言えば、この殻長25ミリぐらいで円錐形で色が薄めのヒメタニシである。

ただ、時々感じるのは、冬場に完全に水が干上がる側溝に今の時期に群れているヒメタニシは、水が枯れている半年ぐらいの間、何処に潜っている…潜んでいるんだろうという事である。

水が枯れない本流が近ければ、そこに移動、冬に水が無くなっても田んぼの土中、谷地の側溝なんかは、崖の落ち葉の下の腐葉土の下なんかに移動してしまうんだと考えられる。やばい……水が枯れたではなく、当たり前の年中行事のように湿った場所に、焦ることなく余裕で移動をしている気がする。言い換えるなら、半陸生と言っても良いのではと思いたくなる。こうした自然条件の変化への順応性を、果たして人類が持っているか疑問である。

また、このような行動様式の果てにカタツムリ等の陸生貝類が誕生していったのかなとも想像したくなる。

ところで、近所の水路によっては、ザクザクいるヒメタニシ。ヒメタニシに限ったことでは無いが、タニシ類を記憶を遡る中では、食した事が無いと思う。

今年は、食べてみようかな……。

ヤマナメクジ 一亜種C群

最近、近隣で、このヤマナメクジの写真を撮っていた。

大きさは、上の写真の状態で、10センチないぐらいだったと思う。一見して、ヤマナメクジと分かる紋様と雰囲気である。

この日は、ナメクジ類が好みそうな雨の日ではなかったが、日中にもかかわらず、ニワウルシの樹皮の地衣類を舐めていたように見えた。このこじんまりとした同じ森では、その日、たまたまキノコの種類を調べようと、傘の後ろのひだの部分を見ようと柄を折ったところ、ヤマナメクジの幼体にも出会うことができた。以下がその写真。一瞬、マダラコウラナメクジの幼体と思いそうだが、ヤマナメクジの幼体である。

そして、この小さな森を去り際に、もう一度、最初のヤマナメクジが居た木をみると、先程のヤマナメクジが移動中であった。ヤマナメクジも移動しようとすると、思った以上に細長くなれて、触角も長くなるんだなと思った。

さてさて、今回の写真の個体群は、明らかにヤマナメクジと分類できるが、近隣には、ヤマナメクジともフタスジナメクジとも言い切れない大型のナメクジが存在する事に気が付き始めている。もちろん、外来で大型のマダラコウラナメクジでもない。棲んでいる環境が、ヤマナメクジとは違う。

今回のヤマナメクジと思われる個体は、周りのこれまでの開墾の歴史の中で少し孤立してしまったと言える小さな森にいた。今まで、近隣で、所謂ヤマナメクジと分類できる個体群に出会う場所は、どれも台地上の森の中であり、それらの台地上は、過去に縄文海進によって海面下には降ったことがないエリアだと推測している。一方で、約6500年前頃をピークに海岸線が後退し始めて出来た近隣の沖積平野に新しく生まれた小さな森に、台地上のヤマナメクジは移動しているのかも調べたいところである。

そして、このヤマナメクジを調べていて気が付いたのは、南西諸島にもヤマナメクジの亜種がいる事である。これは、南西諸島が大陸や本土から孤立し始めた2万年前には、現在の日本の国土にあたるであろう地域には、ヤマナメクジが広くいた事を意味していると思われる。おそらく、森伝いに長い時間をかけて各地域に広がってゆき、もし森が分断された時等には、森毎に独自の進化をゆっくりと始めたんだと推測できる。

言い換えると、現在近隣で、ヤマナメクジを見かける森も、道路や住宅や農地等で分断されているものが殆どである。同時に、それらのヤマナメクジは、おそらく何万年も前からその地で育って来ている系統の可能性が大であり、まさに今、人為的な原因による森の孤立によって独自の進化を遂げている真っ最中なのかもしれない。

ヤマナメクジ or ナメクジ

さて、数日前に、小学生の娘と一緒に近所の谷地を散策したときに、以下の写真のナメクジに出会っていた。水田に隣接する湿地の脇に無造作に置かれた板の下にいた。1匹ではなく、今年生まれと思われる個体が、サイズにバラツキを持たせながら、複数匹いた。

写真だと分かりづらいが、写真の個体で大きさは、6〜7センチぐらいだったのではないだろうか。写真だと大きそうに見えるけど、チャコウラナメクジのミドルから大きめサイズといった大きさである。

ところで、この場所の板をひっくり返したのは偶然ではなく、過去にその板の下に、10センチ程度のズングリしたナメクジ(当時は、ヤマナメクジの幼体だと考えた)が居たのを覚えていて、再度出会えるかなという思いで、板をひっくり返した。

その昨年の4月に板の下にいたナメクジの写真をアップしておく。

大きさは、8センチぐらいだったのではと思う。ゆえに、ヤマナメクジの幼体と判断したのだが、果たして、本当に幼体であったのであろうかと、今となっては振り返る。というのも、数日前に同じ場所で見かけたサイズにバラツキのあるナメクジ達が、この直ぐ上の写真の種のナメクジの子供達(系統)であったとしたら、直ぐ上の写真の個体は、越冬から目覚めた成体の可能性があると思ったのである。

そして、同時に、上の写真のナメクジ達は、ヤマナメクジなのか、ナメクジ所謂フタスジナメクジなのか、分からなくなって来たのである。

ここにも、この迷いが生じ始めるキッカケになる理由があって、それは、近隣の小水系に隣接する自然環境下で、最大サイズ12センチぐらいの大きめの在来ナメクジを複数箇所で見かける機会があった事に端を発している。その大きめのナメクジは、色は薄茶色系なのだが、ヤマナメクジと思いたくなるような大きなサイズなのである。ただ、紋様は、シンプルで、我家の庭の優占種である在来のフタスジナメクジと同じパターンなのだが、色合いとマックスサイズが、我家のフタスジナメクジとは違うのである。

こうなって来ると、今回、投稿しているナメクジは、サイズ的には、近隣の小水系に隣接する開けた環境下で見れる薄茶色の大きめのナメクジと同じなのだが、色合いや紋様は違い、上の写真でも分かる様に、成体の色合いや紋様は、近隣でたまに見かけるヤマナメクジに近い気がする。

ただ、近隣の雑木林で出会うヤマナメクジと、今回の投稿のナメクジは、かなり違う環境下に生息していると言える。所謂、ヤマナメクジは、ヤマナメクジと言われている事も少し関係しているのか、水辺から少し距離のある台地上の雑木林とかに棲息していて、マックスサイズが、もうちょっと大きいのと、身体の中央の線模様が、もっと目立たないイメージがある。

そうなって来ると、近隣の水辺環境には、雑木林に居るヤマナメクジと少し違い、我家の庭のナメクジの優占種である灰色のグレーのフタスジナメクジとも一線を画す在来のナメクジが数タイプ居るのではと考え始めた。

そして、今回の投稿のナメクジは、そのタイプの中では、かなり独自の進化を遂げているタイプのひとつの気がする。

近々、近隣で見かけるもう一つの大きめの薄茶色のフタスジナメクジの投稿もしてみようと思う。