スクリミンゴガイ(ジャンボタニシ)Pomacea canaliculata (Lamarck, 1822)

昨日、九十九里方面に釣りに出かけた際に、河口から一キロぐらい遡った付近で複数匹見かけた。

というよりも、九十九里浜近くの田んぼや用水路には、この外来の巨大なタニシ(現実は、タニシとは違う科に属している)が、ウヨウヨ(?)生息しているのは、10年ぐらい前から知っている。

そして、最近見かけたものは、10年前ぐらいに見かけた個体達より、大きいように感じた。

大きさは、近隣で見かけるオオタニシかマルタニシといったいった大型のタニシよりも、更に二回りぐらい大きい。

さて、このスクリミンゴガイは、元々の産地は、南米のブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、アルゼンチン辺りを流れるラプラタ川水系のようである。

日本への移入は、1981年、台湾経由で持ち込まれ、当時は、全国35都道府県に食用目的の養殖業者が存在したとの事である。その後、1984年には、稲の苗を食害する危険性から植物防疫法の対象となり、有害動物として輸入が禁止され、事実上、スクリミンゴガイの養殖が困難になり、要らなくなった貝達が野に放たれたり、もちろん、自然に逃げてしまったケースも多々あったと思われる。

私が、初めてこのジャンボタニシの痕跡に出会ったのは、もうかれこれ30年以上前に、九州の福岡市に注ぐ小河川で釣りをしている時に、抽出植物の上の方にイクラみたいなものがへばり付いているのに気が付いた時だった。ただ、それが、今回のジャンボタニシの卵塊であったと知ったのは、随分と時が過ぎてからである。

稲の苗を食べるとの事で、現在の生態系被害防止に関する法律では、要注意外来生物のうちの緊急対策外来種に次ぐ重点対策外来種という括りに入れられている。特定外来生物法における特定外来生物ではない。また、日本生態学会が定める日本の侵略的外来種ワースト100、世界自然保護連合の定める世界の侵略的外来種ワースト100にも選ばれている。

ところで、このジャンボタニシを害のある生物として、駆除する流れや動きに反して、田んぼの雑草を初期段階で食べてくれる有益な生物としてわざと田んぼに放流する農家もいるとの事である。稲の苗が大きく育って硬くなったものは、スクリミンゴガイが食べられないという習性を利用して、その後に芽生えてくる雑草を食べてもらうというやり方である。ここで、少し、もしやと思ったのは、8月中にも、九十九里のとある町役場の隣の田んぼで見かけた際に、田んぼが綺麗だなと感じることがあった。我家の近所の茨城県南部の田んぼだと、田んぼの中や畦との境に水草やら雑草やらが無秩序に生えている光景をよく見るが、その田んぼは、泥と水と稲しかない綺麗な田んぼであった。数は多くないけど、その底を悠々と這っているジャンボタニシを網で掬うのなんか簡単な筈なのに、どうして放置しているんだろうとも少し気にはなったのを覚えている。

このスクリミンゴガイの弱点としては、寒さは苦手のようで、千葉県近辺が北限の生物のようである。冬の寒さで、大きく育った個体は死んでしまうとの事である。ただ、私が今年になって久しぶりに見たジャンボタニシは、明らかに大きい気がするので、温暖化等で越冬した個体が更に成長しているのかなとも想像したい。

とにかく、身近な淡水巻き貝としてはかなり大きいと感じる。もし、本来の食糧としての目的を取るなら、凄いポテンシャルの高さも感じる。ただ、食べるのを躊躇するとしたら、広東住血吸虫の宿主になり得る可能性や、農薬や肥料まみれの水で育っている泥臭いイメージなのかもしれない。

今度、自ら、井戸の流水で綺麗に泥を吐かせて洗ったものを、完全に下茹でしたりして寄生虫の危険性を除去した上で、食してみようかなとも考えている。食糧危機が叫ばれる中、かなり有効な食糧な気はするので……取り敢えず、味はどうなんであろうという好奇心はある。

2022年我家のフタスジナメクジ Meghimatium bilineatum n(Benson, 1842)

昨晩、我家の庭の庭木を這い上がっている個体を見つけて写真に撮っていた。

写真を撮った理由があるとしたら、春先には、1センチにも満たないような大きさなのに、8月に入る頃には、随分と大きくなるんだなと感動したので、その記録の意味合いも込めて写真に撮った次第である。

この個体で、大きさは、体長4センチぐらいある。

チャコウラナメクジと違って、フタスジナメクジ(ナメクジ)は、ずんぐり太く育つ傾向はある。

さて、今回、このフタスジナメクジの投稿をしようと思ったもう一つの理由は、昨年と今年の前半に家の敷地内の半分ぐらいの範囲に、除草剤を撒いてしまったため、こうした地表も徘徊するフタスジナメクジに悪影響が出ているのではないかとの不安を持っていたが、取り敢えず、影響無く成長している個体達もいるという事が知れた安心感からである。

ただ、除草剤の影響なのか、他の要因の影響なのか、昨年に比べると、ガクッと個体数は少ない。

ところで、外来種のチャコウラナメクジと在来種のフタスジナメクジとの関係だが、巷では、よくチャコウラナメクジにフタスジナメクジが取って代わられていると言われているが、我家の庭に関しては当てはまらない。確かに、庭のナメクジを意識し始めた数年前までは、チャコウラナメクジも居たが、年々、我家の庭では減ってきている気がする。そして、常に優占種は、フタスジナメクジ(ナメクジ)である。

理由は、気温なのかなぁ〜。冬の寒い日には、外気温が氷点下10°ぐらいまで下がる日もあると思うが、チャコウラナメクジよりはフタスジナメクジの方が寒さには強い気がする。あとは、フタスジナメクジよりもチャコウラナメクジを好む天敵が存在する可能性……。

それは、さておき、我家のフタスジナメクジは、グレー系が殆どだが、我家から少し離れた谷地に行くと、ベージュ系のフタスジナメクジが生息している。そして、同種と思われるこれらの個体群が、なんで色合いに違い出るのか、答えを見出せていない。

ちなみに、近隣で、グレーとベージュのどちらの色合いの個体群に出会う確率が高いかと尋ねられたら、グレーのフタスジナメクジと答えると思う。

最後に、このフタスジナメクジMeghimatium bilineatum n(Benson, 1842)の生息範囲を、 GBIFのオープンマップを参照にして眺めると、種の取り違えを考慮しても、日本の本州辺りを北限に、東アジアには広く分布しているのが分かる。ただなんとなく眺めていると、稲作文化伝播の道と生息域が被っているような気もする。

こうなってくると、このフタスジナメクジの拡がりは、人間の関与が加速させた可能性も否めない気がする。

ヒカリギセル  Zaptychopsis buschi (Pfeiffer, 1846)

近隣にいるキセルガイの一種である。

このキセルガイは生体ではないが、生体を捕まえて飼育していたものが、死んだものである。

自然下で見かける限り、大きさは、この2センチ前後の殻高がマックスサイズになると思う。

確か1年前ぐらいに死んでしまったと思うのだが、生体の時は、もう少し殻は赤みがかっていた。(多分、写真があると思うので、ただ今、過去の写真を確認中)

さて、種名はと言うと、殻口の突起の形や大きさから、ヒカリギセルという種だと推測する。

ちなみに、このキセルガイがいる場所の近くでは、もっと大きいナミギセルという種も見つけたが、このヒカリギセルの方が、断然出会える確率が高い気がする。

さて、少し前から知っていて、本当?と思っていたことに、福島県の郡山地方では、このヒカリギセルかナミコギセルを乾燥させたものを粉砕して粉にしたものを飲むという民間療法があるということである。そして、最近知ったことに、本当に肝臓の障害に効果があると言われていて、当地では、薬の材料にするために養殖も行われているとのことである。

また養殖には、生石灰を混ぜる事が効果(効率)があると研究されているのだが、私が、このヒカリギセルを大量に見つけれる森は、小さなセメント(生コン)工場の隣りなのである。近くの少し離れた森とかでも倒木下に見つけられなくはないが、セメント工場の隣りの森は圧倒的に多産している気がする。

さて、このヒカリギセルの生息分布は、東北から静岡県や長野県辺りまでと言われている。こうして国内の限られた地域で独自進化してるわけなので、海外にはいない筈と思いたいが、どうなのであろう。