昨日、九十九里方面に釣りに出かけた際に、河口から一キロぐらい遡った付近で複数匹見かけた。
というよりも、九十九里浜近くの田んぼや用水路には、この外来の巨大なタニシ(現実は、タニシとは違う科に属している)が、ウヨウヨ(?)生息しているのは、10年ぐらい前から知っている。
そして、最近見かけたものは、10年前ぐらいに見かけた個体達より、大きいように感じた。
大きさは、近隣で見かけるオオタニシかマルタニシといったいった大型のタニシよりも、更に二回りぐらい大きい。
さて、このスクリミンゴガイは、元々の産地は、南米のブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、アルゼンチン辺りを流れるラプラタ川水系のようである。
日本への移入は、1981年、台湾経由で持ち込まれ、当時は、全国35都道府県に食用目的の養殖業者が存在したとの事である。その後、1984年には、稲の苗を食害する危険性から植物防疫法の対象となり、有害動物として輸入が禁止され、事実上、スクリミンゴガイの養殖が困難になり、要らなくなった貝達が野に放たれたり、もちろん、自然に逃げてしまったケースも多々あったと思われる。
私が、初めてこのジャンボタニシの痕跡に出会ったのは、もうかれこれ30年以上前に、九州の福岡市に注ぐ小河川で釣りをしている時に、抽出植物の上の方にイクラみたいなものがへばり付いているのに気が付いた時だった。ただ、それが、今回のジャンボタニシの卵塊であったと知ったのは、随分と時が過ぎてからである。
稲の苗を食べるとの事で、現在の生態系被害防止に関する法律では、要注意外来生物のうちの緊急対策外来種に次ぐ重点対策外来種という括りに入れられている。特定外来生物法における特定外来生物ではない。また、日本生態学会が定める日本の侵略的外来種ワースト100、世界自然保護連合の定める世界の侵略的外来種ワースト100にも選ばれている。
ところで、このジャンボタニシを害のある生物として、駆除する流れや動きに反して、田んぼの雑草を初期段階で食べてくれる有益な生物としてわざと田んぼに放流する農家もいるとの事である。稲の苗が大きく育って硬くなったものは、スクリミンゴガイが食べられないという習性を利用して、その後に芽生えてくる雑草を食べてもらうというやり方である。ここで、少し、もしやと思ったのは、8月中にも、九十九里のとある町役場の隣の田んぼで見かけた際に、田んぼが綺麗だなと感じることがあった。我家の近所の茨城県南部の田んぼだと、田んぼの中や畦との境に水草やら雑草やらが無秩序に生えている光景をよく見るが、その田んぼは、泥と水と稲しかない綺麗な田んぼであった。数は多くないけど、その底を悠々と這っているジャンボタニシを網で掬うのなんか簡単な筈なのに、どうして放置しているんだろうとも少し気にはなったのを覚えている。
このスクリミンゴガイの弱点としては、寒さは苦手のようで、千葉県近辺が北限の生物のようである。冬の寒さで、大きく育った個体は死んでしまうとの事である。ただ、私が今年になって久しぶりに見たジャンボタニシは、明らかに大きい気がするので、温暖化等で越冬した個体が更に成長しているのかなとも想像したい。
とにかく、身近な淡水巻き貝としてはかなり大きいと感じる。もし、本来の食糧としての目的を取るなら、凄いポテンシャルの高さも感じる。ただ、食べるのを躊躇するとしたら、広東住血吸虫の宿主になり得る可能性や、農薬や肥料まみれの水で育っている泥臭いイメージなのかもしれない。
今度、自ら、井戸の流水で綺麗に泥を吐かせて洗ったものを、完全に下茹でしたりして寄生虫の危険性を除去した上で、食してみようかなとも考えている。食糧危機が叫ばれる中、かなり有効な食糧な気はするので……取り敢えず、味はどうなんであろうという好奇心はある。