先週末、栃木に山釣りに行った時に、河原の水溜りで蛇が何かをしている(水溜まりのオタマジャクシを食べていた)現場に遠目に気が付いた。
マムシかと思い近づくと、鎌首を持ち上げるわけでなく、一目散に山肌を登り逃げようとする。その時に咄嗟に撮った写真を以下に。
ヘビの名前は直ぐに分かった。
ヤマカガシである。
しかし、何十年ぶりの出会いであったろうか。この蛇は、子供の頃から知っていて、千葉市の郊外の里山で、大きなヒキガエルを加えて後退りしている現場や、他にも九州の海が近い水田の畔で日光浴する個体に、結構出会って来た思い出がある。
しかし、その後の都会生活や、更にその後の自然の残る茨城県での生活の中でも、出くわす機会は無かった。シマヘビやアオダイショウ、時々ヒバカリ、そしてもっと時々、シロマダラには出会えるのに、ヤマカガシは、何処へ行ってしまったんだろうと気にはなっていた。
そして、今回栃木の山間部の標高350メートルの付近で、久しぶりの出会いとなった。
同時に、栃木の山にいて、何故茨城の平地にいない(見かけないほどに少ない)のか、その答えを出せない自分がいる。
さて、この蛇の生息分布を調べてみると、国内は、本州と四国と九州にしかいない蛇だと分かった。しかし、海外は、朝鮮半島と中国のほぼ全域にいるようである。台湾には、Rhabdophis tigrinus formosanus (Maki, 1931)というまた少し違うヤマカガシがいるのである。そして、最近のDNA解析では、大陸のものとは、結構遺伝子的に差がある事が分かったようで、日本のヤマカガシは、日本固有種のような扱われ方になっていくのかもしれない。また、更に、日本の生息地の中でも、関西以西(能登半島や佐渡島含む)の個体群と、関西以東にいる個体群と、それらの地域に跨って生息している別系統の3亜種がいるようである。この3亜種が、どうして国内に存在しているのかを推理するのは、この上なく楽しいことだが、魚類のタナゴなんかも、北海道と南西諸島には生息していない同じタイプである。
私の個人的感想として、最近見かけなくなって来た蛇だというのがあったが、各都道府県が独自に定めるレッドデータでは、日本にいる蛇の中では減少を1番注目されている種なのか、東京都が絶滅危惧種Ⅰ類、準絶滅危惧種に指定しているのが、山形県、福島県、栃木県、埼玉県、千葉県、京都府、大阪府、奈良県である。他にも、3都道府県が注視しているとの事である。
最後に、ヤマカガシは2種類の毒を保有している毒ヘビではある。積極的に毒を利用して攻撃をするタイプの蛇では無いので、事故は少ないが、過去に死亡例もあるはずである。ちなみに、2種類の毒というのは、一つが牙から出す毒であり、もう一つは、耳の辺りに溜まっている毒である。この、二つ目の毒は、同じような毒を持つヒキガエルを食べることから蓄積してゆくようである。
さて、近隣で見かけないヤマカガシ………生態系のどの辺りに位置していて、近隣では、どのような遷移の途中なのか気になるところである。