ヒラタグモ 雌 Uroctea compactilis L.Koch, 1878

最近、近隣で、垂直なコンクリートの壁面に居るこの蜘蛛の写真を撮っていた。

上の写真の個体は、雌であり、大きさは、体長9-10ミリぐらいである。雄の方は、ひとまわり小さいようである。

種名は、ヒラタグモ。

国内では、ヒラタグモ科には、本種一種しかいないとの事である。

このヒラタグモの巣は、小さめの平べったい袋状であり、言われてみれば、この蜘蛛がいた壁面の継ぎ目や窪みには、そんな感じの蜘蛛の巣が沢山あることにも気が付いた。

最後に、このヒラタグモの生息分布は、本州以南(標高の高い地域除く)………九州を経て南西諸島までいるようである。海外は、朝鮮半島の南の方にいるようである。

ドヨウオニグモ Neoscona adianta (Walckenaer, 1802)

最近、近隣で見かけて、写真に撮っていたクモである。

草原の中にポツンと建つコンクリートの建造物に巣を張っている蜘蛛が見えたので、近付いてみた。近付くまでは、薄い緑色の色合いが見えていたので、どうせジョロウグモか、コガネグモの仲間かと思っていた。

ただ、近くでマジマジと見ると、オニグモの一種だと気が付いた。

大きさは、体長9ミリぐらいあった。

調べる過程で、最初に似ていると思ったのは、ゴマジロオニグモという種だったが、ゴマジロオニグモの平均サイズが5-6ミリということで、どうしても合わないと思った。

そして、他に似ているオニグモはいないものかと調べたところ、ドヨウオニグモが浮上して来た。

そう。上の写真の個体は、ドヨウオニグモなのだが、オニグモとしては聞き慣れた名前だったので、てっきり過去に投稿済みと思っていたが、確認したら、未投稿の種と分かった。

ドヨウオニグモ。上の写真の個体は、雌であり、蜘蛛全般に言えることだが、雄は一回り小さく、頭部がもっと全然大きい。

年に2回発生のサイクルのある蜘蛛とのことである。

生息分布の方は、国内は、北海道から九州まで。伊豆諸島にもいるようである。海外の生息分布は、ヨーロッパでは、ごく普通種のようで、動物地理学の旧北区には、極東アジアの方まで拡がっているようである。ただ、旧北区でも、あまり緯度の高い地帯には、生息していないようである。

ワスレナグモ 雄 Calommata signata
(Karsch, 1879)

最近、近隣で、違う場所で続け様に、このクモを見かけた。

大きさは、尾端から上顎(触手か?)の先までで10ミリぐらいだったであろうか。

2回とも、垂直の壁を高速で移動している瞬間に遭遇したわけだが、一瞬、アリグモ類の雄と思いそうになる。ただ、アリグモにしては、手脚がグニャグニャして少し長い気がする。

2回違う場所で見かけたことから、絶対に種名に辿り着けると信じ、調べ続けたところ、ジグモ科のワスレナグモの雄だと判明した。

ジグモというだけあって、地面を徘徊しているクモだが、今回は、ハエトリグモのように壁面を走り回っていた。このクモは、秋に、メスに出会うために、色々な場所を彷徨っているとのことだが、雌は、雄とは雰囲気が全然違い、大きさは3倍以上大きく、身体も、もっとプックリとしている。

雌が一年中いるのに対して、雄の寿命は、秋の9月〜10月の短い一時しかないようである。

このワスレナグモの生息分布は、国内は、本州、四国、九州。海外の分布は、済州島含む韓国からの報告があるようである。

ちなみに、意外だったのが、かなり珍しいクモなのか、準絶滅危惧種に指定している都道府県が、14都道府県。絶滅危惧Ⅱ類に指定しているのが、8都道府県、絶滅危惧I類に指定しているのが、3都道府県、他にも調査中の都道府県が4県もあった。こうなると、環境省のレッドデータに引っかかりそうだが、案の定、環境省も、準絶滅危惧種に、このワスレナグモを指定している。