マシジミ

さて、マシジミという小型の淡水2枚貝は、身近な水路や小川には、意外と生息しているものである。

マシジミを見つけ易い環境としては、湧水から端を発した水流や水質の恩恵を受けやすい場所。ただし、落ち葉とかが長期堆積してしまって、タンニンとかが溶け出しすぎてる水質には棲めない。一番良い底質は、砂利とか小石混じりの土・砂底。植物の新陳代謝で出来る富栄養の泥底も苦手。

上の条件は、マシジミにだけ当てはまる条件では無く、殆どの淡水2枚貝が好む条件の気がする。(大型になる旧ヌマガイは、比較的富栄養の水質に耐えてる気がする。)

さて、先日、小さめのドブガイ集めをした際に、無数のマシジミも網に入ってきた。殆どは、天命を終えた死んだ殻だが、4割ぐらいは生体である。そのうちの、大きめの数匹を持ち帰って来て写真に収めた。

大きいもので、3センチ弱ぐらい有るのではないだろうか。比較的大きめのマシジミが居る小川だと思った。

ところで、マシジミに関するネット上の投稿を見ていると、色が黒っぽいのが在来種のマシジミで、クリーム黄色っぽいのが、外来種の台湾シジミであり、目下、外来の台湾シジミが在来のマシジミに取って代わろうとしているとの多数の投稿に出喰わす。

これって、本当だろうか?真実は、フィールドに出て、自らの目で、条件の違う水系で、何百というシジミを手に取って観察してみてから、自分自身で答えを見出して欲しい。自ずと、シジミの殻の色や形態に、法則が見出せる筈である。

先ず、上の写真からでも、小さめのものは黄色がかっていて、大きめのものは黒っぽいことがわかる。大き目の個体達は、蝶番みたいな役割をしている近くの殻の膨らんだ場所に欠けが目立つことがわかる。小さめのものは、無傷であるものも写っている。

要は、大きめのものは、それだけ長い年数を生きている内に、その膨らみのところが小石などに徐々に擦れて削れて来た証拠だし、もしかしたら大雨の時とかに、流され、川底を転がり傷ついたのかもしれない。極論を言うと、それだけ、災難にあったり、経年劣化にあっている結果が、殻の褐色・黒化に繋がっていると思われる。

そして、フィールドで、同じサイズのクリーム黄色の殻の個体と黒褐色の殻の個体を手に取ると、明らかにクリーム黄色の個体の方が、厚い頑丈な殻であることに気付く筈である。

そして、このクリーム黄色の個体達は、生息場所に少し共通点がある時があって、畑等の土が流れ込んだりしてる栄養分が沢山含まれた土の中に潜っている個体が、概してクリーム黄色の頑丈な殻になっていることが多い。そして、この流れ込んだ土に住む利点は、小石とか石といった障害物に邪魔されることなくマシジミが移動できるということである。例えば、深めに潜ったりとか。

ある例としては、中型のU字溝を使ったコンクリートの水路にコンクリートの欠損箇所が出来て、水路に隣接する休耕畑の土が一部流れ込んでいる場所があった。その休耕畑は、谷地の湧き水の流出場所とも言えて、少し湿った休耕畑でもあったのだが、水面から1メートル弱上に広がるその湿った休耕畑には、偶然掘った時に気が付いたんだが、凄い殻の頑丈なクリーム色の大きなマシジミが、湿った土の中に沢山生息していた。全くもって水中とは言えない場所であった。そして、興味深いのは、その土の中からは、褐色や黒の殻をしたマシジミは全然現れないのであった。

この反対の例として、石や小石の間に挟まれて身動きの出来なくなったマシジミも沢山目にするが、これらの個体は、土に埋もれていた箇所は、クリーム黄色のままで、水流に触れていた部分だけが黒褐色化してる個体にもよく出会う。

要は、酸素を含んだ水が、シジミの殻を酸化させて脆くしている感が有るのだが、この過程で、理由は分からないが、マシジミの殻が脆くなり黒褐色化するのである。

単に、外見上の殻の色や殻の内側の色で、種を判断するのは危険であると言いたい。

最後に、このマシジミのネタで、3個ほど興味を引きそうなエピソードを披露して、このマシジミの投稿を終わらせたいと思う。

エピソード1 近所で採ったマシジミを食べたことがあるが、時期にも依るのかもしれないが、泥の風味が抜け切らない。ただ、私達が普段スーパーとかで買ってくるヤマトシジミの殻の割には小さく萎んだ身とは違って、殻のサイズに見合ったプリプリの身が詰まっている。

エピソード2 数年前に近所の水路のひとつの最上流部の枡の深みで、3,5センチぐらいのとても大きな真黒い殻のマシジミを数匹見つけた事があるが、その時見つけたマシジミの軟体部分が青味がかった白色であったのが忘れられない。殆どのマシジミの軟体部はクリーム色である事から、あの大きなマシジミが同一種だったのかという疑問に始まり、マックスぐらいの大きさの老体になると、軟体部の色も変化するのか知りたい。

エピソード3 淡水にいるのはマシジミ。汽水にいるのは、ヤマトシジミ。この認識でいると、淡水の水路に居るのは、全てマシジミと思いがちだが、私の住む茨城県だと、佐原辺りの水路で採れるのは、ヤマトシジミだったりする。ハクレンやアオウオの幼魚が採れる佐原の水路で、ガサガサの網にシジミがいっぱい入ってくる水路があった事を思い出し、確認しに行った事があった。案の定、ヤマトシジミであった。

ドブガイB型

先ず最初に、私達が暮らしている近くの水路や小川や河川には、淡水2枚貝というものが、結構生息している事を、皆知ってるのだろうか?

下の写真は、先日、近所の小川から採ってきたものだが、この小川には、かなりの高密度で、この貝達が生息している。

写真の個体は、わざと小さめのものを集めてきたのだが、小さめのもので5センチぐらい、大きいもので13センチぐらいだと思う。名前は、限りなくドブガイB型で良いと思う。もしかしたら、ドブガイA型が混じってる可能性もあるかもしれない。

ドブガイB型という種類は、一昔前の名前ではタガイと呼ばれていたもので、湧水源から間もない水深の凄い浅めで、透き通った綺麗な水が流れる水路でよく見かけるタイプである。ひと昔前の知識では、冬に産卵するタイプとの認識だったが、先程ネットで調べていたら、周年産卵出来ると書いてある記事が多くなっていた。

一方、ドブガイA型という種類は、ひと昔前の名前ではヌマガイと呼ばれていたもので、比較的水深(50センチ以上)の有る河川や、沼や池のような止水域でよく見られるタイプである。産卵時期は、昔から夏型と認識されていた。

私的意見として、この2タイプは、限りなく同一種だと思う。住む場所によって大きさが変わる理由は、一つは、餌となるクロレラみたいな植物プランクトンが、湧水直下の綺麗な水には少なく成長が遅い、一方、大きめの川や沼では、餌となる成分が豊富に有り、成長が早い等も考えられるかもしれない。もう一つは、捕食者への対応である。タニシ他貝類をバリバリ食べそうな鯉が侵入できないような浅い水路のドブガイは小さくても問題なく、逆に捕食者となる鯉がうろついているような川や沼では、食べられないサイズへと早く大きく成長していく必要性を遺伝子的に直ぐに学習してるようにも思われる。

同じような理由で、産卵時期がずれる事も、何かしらの仮説は立てれそうな気はする。ドブガイA型が、冬の水の澄み切り、餌の少なくなる時期に稚貝を誕生させない理由が、何かあるはずなのである。

ところで、この小さめのドブガイB型を持ち帰って来たのには理由があって、家で飼ってるヤリタナゴアカヒレタビラが、こうした小さなドブガイでも産卵を意識するのかが観察したかったからであった。一般的に、産卵管が短いと言われているヤリタナゴやアカヒレタビラは、小型の淡水2枚貝であるイシガイやマツカサガイ等を産卵に選ぶと言われているが、私は近所でマツカサガイを見つけた覚えは無いし、イシガイも殆ど出逢わない。

昔は茨城の水郷地帯に当たり前に居たと思われるヤリタナゴやアカヒレタビラが、もう少し復活するためにも、イシガイが好む環境は、意識的に創生・維持したいね〜。

オオスズメバチ(つくば市中部)

このスズメバチも、私が住む地区にも生息しているんだろうが、家の近所で出会う前に、取り敢えず、先日職場の近くで見つけたオオスズメバチの写真を投稿しておく。私の家の周りで見つけた時には、追記の形で報告する事を約束する。

この写真を撮った経緯は、たまたま駐車場から屋外のトイレに歩いて行く途中に、ショートカットして、アスファルトの道ではなく、下草の刈られた草むらを通った事に起因する。その草叢は、ニセアカシアの大木が所々に植えられているんだが、高木に育ったニセアカシアの1本の木の根元を掘る形で、オオスズメバチが巣作りに励んでいる真っ最中であった。

この蜂をオオスズメバチと断定した理由は、このように木の洞等を利用して巣を作るのは、オオスズメバチの特徴で有り、他に似たような習性を持つスズメバチがいるとしたら、モンスズメバチと、ひょっとしたらキイロスズメバチといった感じであり、写真の紋様も参考にして、オオスズメバチと断定した。

まさに巣作り真っ最中という感じで、次から次に木の根の下に潜って行っては、かなりの量の土粒を運び出していた。細かい土ではなく、写真でも写ってるようなバーミキュライトが更に大きくなったような土粒である。ここで、ふと疑問が生まれたのだが、潜って行った先の土が、そもそも最初から、このような大きな団塊状になっているのであろうか、それとも内部で蜂が運び出しやすいように固めているのであろうかという疑問である。自発的にであれ、多発的にであれ、そのうち解明される時が来ることを願う。

さて、このオオスズメバチの印象は、オオ(大)が付く割には、凄い大きな蜂の感じはしない。日頃、林の中で威嚇行動に出てくる超大きなスズメバチは、女王蜂とか、そういった類のものなのかなとも思ってきた。

ところで、仕事でよく出入する場所に、このスズメバチの巣が存在する事を私は知る事になったが、ここの職員さん達に、この巣の存在が発覚すると、施設内イントラで、蜂の巣の情報が載り、警戒用の蜂(虎)模様のテープで囲われ、ゆくゆくは、殺虫剤で撲滅されてしまうのを知っている。

私は、野山でスズメバチとは何千回と幾度となく遭遇してきていると思うが、時に威嚇行動はされるが、刺された事は、1度しか無い。

昔の人達の方が、蜂に寛大だったような気がすると感じているのは、私だけであろうか?

最後に、その施設内のオオスズメバチの巣から200メートルぐらい離れたところに死んでいたスズメバチの写真を載せておく。おそらく自然下の現象で死んだものと思われるが、人為的に殺されるスズメバチも昔と比べたら多い時代になったのは確かな事実なのでは無いだろうか。

ヨーロッパでは、スズメバチ(モンスズメバチ)を駆除し過ぎた結果、絶滅危惧種となり、逆に保護に奔走している国も有ると聞いた事がある。