アメリカオニアザミ (つくば市中南部)

先日、仕事の昼休み時に、仕事先の施設内の所々にある草むらに生えている植物のロゼットの写真を次から次に撮っていた時に、ひとつだけ見慣れない気になるロゼットがあった。大きさは、直径40センチぐらい。

刺が生えてるところから、直ぐにアザミの仲間で、前知識もあったことから、外来種のアメリカオニアザミという種に行き着いたが、この写真の植物は、アメリカオニアザミで合ってるのではと思う。

さて、このアメリカオニアザミという種を簡単に説明すると、日本に入って来たのは1960年代。北米から輸入した牧草に種が混じっており、北海道から拡がりが始まった外来種ということである。北米から移入された事実から、アメリカの名前が付いたのかと想像するが、原産地はヨーロッパのようである。

国立環境研究所の公表では、九州にはまだ侵出していないようである。

因みに、上の写真を撮った時に、今後の知見のためにも、刺の感触はどれぐらいのものであるか確かめようと、葉を握ろうとしたのだが、一瞬で、とても触れれるような植物でないことに気が付いた。それぐらいに、刺の鋭さと強度が半端無い。その刺の凄さが分かって貰えるように、刺のアップの写真を以下に載せてみる。

この刺の凄さを物語る事実としては、このアメリカオニアザミが牧草地に生えていても、鹿や牛等の動物達は口にしないようである。

では、この外来種のアメリカオニアザミを国が法的にどういう扱いに指定しているかというと、その他の総合対策外来種の括りに入れている、所謂、現段階では様子見の外来種という事である。因みにその他の総合対策外来種の上に、重点的対策外来種があり、その上に、緊急対策外来種という括りが存在する。

一方、ネット上で、アメリカオニアザミの事を調べていた際に、沢山の自治体のこのアメリカオニアザミ駆除をお願いするページがヒットして来た。強い繁殖力を持つ危険な外来生物と、ほぼ全てのページで紹介されていた。私が使うGoogleの検索では、近隣自治体では、坂東市のアメリカオニアザミ対策のページが上位に出て来た。

ここで、私の見解を結論から書くと、国が、このアメリカオニアザミに関して、その他の総合対策外来種として調査段階の種であり、緊急対策の呼びかけはしていないのも理解は出来る。何事も慎重さが必要であり、私も、このアメリカオニアザミが強い繁殖力を持っているという各自治体の宣伝には誇張がある気がする。私は、今回アメリカオニアザミのロゼットの写真を撮った場所に10年近く通っているが、このアメリカオニアザミがどんどん増えていっていたり、近辺の定期的な草刈りが出来ない場所に、このアメリカオニアザミの群落が出来ているような場所は見つけれない。また、このトゲトゲの植物が、身近な場所に強い繁殖力で増えて行っていたら、市民は黙っていない。芝生に寝転がれない、ペットが傷だらけになっている、子供を外遊びさせれない等の苦情が殺到して、毎日ニュースを賑わせてる可能性もある。

ただ一方で、末端に近い市民との接点である自治体の呼びかけも正しい気がする。強い繁殖力があるかないかは別にして、市民生活に脅威を感じさせるほどの刺を備えた植物を、自治体の独自の将来を見据えた環境分析で、駆除していくのも賢明な動きなのではないかなと思う。

ただ、人を管理する立場のものや団体は、市民に正しい知識を与える努力はしてほしい。もしくは、市民自身がが正しい知識を身に付けて行って欲しい。先程の坂東市の例を挙げるなら、私が調べた限り、国が緊急対策外来種に指定しているアレチウリの対策を呼びかけるページは見つけられなかった。なぜ、国の指針に沿わずに、アレチウリより先にアメリカオニアザミなのか、ちゃんとした理由と説明があってこそ、日本に未来を感じる。

例として、近隣の坂東市の名前を出したが、別に一般論の中での例であって、坂東市だけを非難したり、坂東市の市政を悪く思う気持ちは微塵もありません。

ヒメツチハンミョウ?

昨日、帰宅した際に玄関テラスに、人生の中で見た記憶の無い昆虫が素早く移動しているのが目に止まる。

直ぐに、強力な懐中電灯を片手に、スマホで撮影を試みる。なんとか撮れた写真が以下のものである。

大きさは2センチぐらい。アリにしては大きすぎる。そして、印象に残るのは触角にある瘤みたいな存在。

早速、〝触角に瘤のある黒い昆虫〟でネット検索すると、比較的簡単に、ツチハンミョウの仲間であることが分かった。

では、種類は?

ツチハンミョウの仲間は、国内で7種類が知られているとの記事をどこかで目にした記憶が有るのだが、触角の瘤の位置や全身の色合い(ツチハンミョウの種類によっては、藍色の色合いが明らかに見て取れるものたちもいるようである)や腹部の太さや腹部横面の雰囲気から、ツチハンミョウとしてはよく紹介されているヒメツチハンミョウなのではと思うのだが、どうなのであろうか………

まぁ、ツチハンミョウとして、私達が持っておくべき知識としては、触角の瘤は、雄の特徴であり、雌にはない。他には、春先に、数千個の卵を地中に産み、孵化した極小の幼虫達は、様々な花の茎を登り、花の上で待機する習性があると言う事であろうか。この目的は、蜜を集めに飛んできたハナバチ(クマンバチやミツバチ等)の身体になんとかしがみ付いて、彼らの巣まで辿り着く為である。巣に辿り着いた後は、運ばれて来る蜜団子等を食べて成長していくとの事である。そして、一風変わった変態のステージを経て成虫へとなっていくようである。ここで、繋がったことが有るのだが、たまに、春先に、キク科の花の中心の雄しべのところが、胡麻をまぶしたみたいになっていて、それらの花の変種なのかと思っていた事があったのをハッキリ覚えている。あの時目にしていた超極小の細いゴマ文様が、このツチハンミョウの仲間の幼虫達であったのではと思われる。

また、上の写真でも見て取れるが微妙に翅の名残が有るが、飛ぶ事は出来ない。もっぱら歩くのみである。

そして、ツチハンミョウの仲間のこの特徴は絶対紹介しておこうと思うが、カンタリジンという毒成分を体内に保有しており、捕まえた際に腹部から出る黄色い液体に触れると、皮膚が水膨れみたいになってしまうとの事である。このカンタリジンという成分を主成分とするカンタリスという薬は、昔は外用・内服共に利用されていたらしいが、現在では、日本では、カンタリジンは毒薬に、カンタリスは、劇薬に指定されている。

また、古い歴史の中では、このカンタリジンという成分(含有する虫をすり潰したもの等)は、暗殺薬や媚薬や発毛薬として使われて来たらしい。

最後に、最近、同じような皮膚に炎症を起こす虫として、アオバアリガタハネカクシの投稿をしたのを覚えているので、関心がある方は、そちらも参照してみてください。