ウワミズザクラ

この植物というか樹木は、私が暮らす地域ではよく見かける樹木である。近隣の雑木林の中で樹高15メートルぐらいの大木へと成長したウワミズザクラによく出逢う。また、辺りを見渡せば、中小様々なサイズのウワミズザクラの苗木が芽生えている事に気がつく筈である。

この原因は、実が美味しいのか鳥達の餌として食べられ、やがて糞として各地に拡散される結果、あちらこちらで芽生えている気もするのだが、どうなのであろうか?同じような繁殖拡大のスタイルを取っている身近な樹木に、エノキとムクノキなんかもある気がするが、どうなのであろうか?

ちなみに、似た種にイヌザクラという樹木もあるのだが、上の写真の実の形状からウワミズザクラであろうとの結論に至れる。と言うのは、イヌザクラの実は、もっと丸に近い球形であり、実の付け根に萼片と呼ばれるヘタが残っているとの事である。写真のものはどうであるかというと、球ではなくポチッとした突起も見て取れるし、実に萼片らしき物も見当たらない。ゆえに、上の写真の樹木は、ウワミズザクラであると思う。

このウワミズザクラ、5月頃にまるで試験管を洗うのにピッタリのような白いブラシ状の花序を伸ばした花姿がを目立たせ、遠くからもウワミズザクラの存在を、私達に知らしめてくれる。

ただ、私が、一番ウワミズザクラに魅力を感じる季節は、何と言っても紅葉の時期である。他の木々が、赤や黄色やオレンジに染まる中、ウワミズザクラは、なんとも言えない淡いクリーム色に葉の色を変える。そして、葉や場所のムラなく、すべての葉が、この淡い柔らかなクリーム色一色に変わる気がする。

毎年、ウワズミザクラの紅葉には、見惚れさせられてしまう自分が居る。

ゴンズイ

この木は、我家の近辺始め関東近県の林の中でたまに出くわす木である。沢山密集して生えてるというわけではなく、たまーにヒョコンと出くわす印象の木である。

下の写真も、我家から車で5、6分の里山の林縁で目に留まり、写真に撮ったものである。撮影年月日は、昨年の8月10日。この木が、ゴンズイと気が付いたのは、写真にも写っている印象的な実の存在によってである。この後、この赤ピンクの種皮は向けて、小さな黒い種子が現れることになるのだが……

さて、ネット上で調べていて、興味を持ったゴンズイの情報としては、太平洋岸の北限が茨城県か福島県辺りで、日本海側は富山県辺りの植物という事である。確かに、落葉樹だけど、落葉樹っぽくない少し葉厚のある照葉は、暖かい地方の樹木のイメージは兼ね備えている気はする。

また、上の写真だと赤ピンクの実の状態だが、この後に赤ピンクの種皮が裂けて剥けて、中から黒い実が現れるのである。サイズこそ違えど、同じような似た雰囲気の種を持つ樹木にクサギという木が有るが、クサギの種は青っぽく、このゴンズイの種は黒い事から、青い実のクサギに対して、ゴンズイは黒臭木(クロクサギ)との別名も持っているようである。そして、ゴンズイの葉も、クサギ同様に揉むと、何かしらの臭気を漂わすらしい。

クサギの投稿のところで、身近にクサギには殆ど出会した事がないと書いたが、個人的な主観としては、このゴンズイは、クサギよりは身近にたまに出くわす樹木の気はする。

最後に、このゴンズイという名前の由来は、諸説あり、私的には、どれも決め手に欠くのだが、この植物のゴンズイも魚のゴンズイも、中部地方の方言のクズ物を指すゴズもしくはゴンズリから来ているのではと思いたい気はする。