朝の散歩で、ふと上を見上げたら、松の木が目に飛び込んできた。
近隣の里山の自然下で、松の木なんかまず見ないので、感動して、近付き何枚か写真を撮り、「立派なクロマツが未だ残っているんだー」とその場を立ち去ろうとしたときに、足元に大きな松ぼっくりが転がっていた。
その松ぼっくりを見た瞬間、待てよ………クロマツか?という疑念が生まれた。
そして、帰宅後に調べたところ、アメリカ南部原産の大王松(ダイオウショウ)だろうとの結論に至った。日本に入ってきたのは、大正末期と言われている。
そして、この時代に、記念樹なり街路樹なり、目的を持って植樹された歴史があるらしい。自分が仕事で時々訪れるつくば市の研究学園駅周辺にも、大きな松並木の名残が保存されている場所がある。(ずっと、クロマツだと今の今まで思っていたが…大王松なんだと思う)。
さて、今朝散歩したエリアには、狭い区画に6本ほど幹径1,2メートルぐらいの巨大なダイオウショウがあった。辺りを見回すと左右対になる形で、一本だけ50メートルぐらい離れた所にポツンと植っていた。
もし、本当に大正末期もしくは昭和の初めに植えられたものだとしたら、樹齢は100年ちょっと。今回散歩した里山の使われ方をみると、明らかに区画の境に植えられている気がする。
それにしても、立派な貫禄のある松だこと。
ここで、ふと疑問が芽生えた。元々の近隣の里山は、今みたいな雑木の林ではなく、遠い昔は(少なくとも戦前までは)キッチリと区画によって樹木の管理はされていたはずである。そして、里山のメインになる樹木は、松であったのは、古地図などから分かるのだが、もはや松林なんて全然ない。
松林が消えた理由は、アメリカから入って来たマツノザイセンチュウが木を弱らせるからだと言われている。その弱った木に、カミキリムシ等が産卵し穿孔して、結局は枯れてしまうんだと思う。たまに枯れたアカマツの細幹を見ると、この無数の穴は何が穿孔したんだろうと思うような現場に出くわす。
そこで、不思議に思った。在来の松達は、松を食い物にする外来の虫達に殺られるのに、アメリカ南部原産のダイオウショウは、生き残っている。
近年は、風害被害で大木が嫌がられ始めているので、このダイオウショウは、マツの中では大きく育つ部類だと思うので、毛嫌いされそうだが、松林のある昔風の里山を、もう一度見てみたいなと思う今日この頃である。