ウツギ

近隣の田園地帯を散歩していると、田んぼのすぐ傍の畔とかに、時に一株だけ、時に並んで同じ木が植っているのが目に入って来ることがよくある。

前々から、なんで?と気になっていたが、その叢生した背丈2-3メートルぐらいの株達が、5月の終わりに白い花を一斉に咲かせている瞬間を見た時に、ウツギの花だと気が付く事になる。ウツギは、漢字で書くと空木が相応しく、これは茎の内部が中空である事から来ているらしい。

今回の投稿は、全然タイムリーな投稿ではないが、どうして、田んぼや畑の端にウツギが植えられているかが先ほど分かったので、忘れないうちに、ウツギの投稿をしてみようと思った次第である。

そもそも、ウツギが田や畑の端に植えられている理由は、境木としてウツギを植える風習が過去にあったところから来ている。この境木としては、私が住む茨城県では、ウツギが一番好まれ、他にもウツギ程ではないが、カマツカやマユミやお茶の木なんかも用いられたようである。そして、これらの選ばれる木は、地域や地方によって違いがあるようである。

茨城県常総市出身の作家、長塚節の『土』の中で、ウツギを境木と描写する記述があると書かれていた方がいたので、少なくとも大正時代には、ウツギを境木として植える風習はあったと思われる。

ここで疑問が湧いてきた。現在、田園地帯で見かけれるウツギは、いつの時代に植えられたものなのであろうかと。明治や大正に植えられたものが、100年以上経つ現在も生きているのであろうかと?

とにかく、この境木を植える風習や境木の存在を知れたことは、俄然、私の田園散歩を楽しくしてくれる事は間違いないと思う。少なくとも、ある程度昔の風習を知らない限り、今のお米農家が境木を植えたり、大切にしたりはしないと予想出来る。言い換えるなら、これらを残している田んぼや畑は、昔からの繋がりを連想出来るし、その区画内の植っている場所に法則性みたいなものも見出せるのではと期待が膨らむ。

また、田んぼや畑の近くに時たま生えているマユミ(境木に使われる)の意味というか関連性も繋がった気がする。

近隣の田園地帯を廻れば、おそらく、この境木の好みの地理的法則性が見出せるのではと思うので、これによって、ある程度、村と村の交流の歴史や範囲も見えて来るのではと想像している。

俄然、田園地帯の散歩が楽しくなってきた気がする。

ヒシモンナガタマムシ

古い写真を見返す中、当時は種には行き着かなかったが、最近種名に辿り着けた昆虫の写真を見つけた。

撮影年月日は、昨年2020年の5月4日となっている。撮影場所は、家から目と鼻の先。

もはや、大きさの記憶はないのだが、調べると、5-10ミリの小さな昆虫であったようである。

名前は、ヒシモンナガタマムシ。

ここで、えっ、タマムシの仲間なのとの意外に思うのと同時に、タマムシの仲間には、こんなに小さい種類もいるんだとの新しい知識が増えたことに、凄い喜びを感じた。

さて、このヒシモンナガタマムシは、成虫で越冬し、暖かくなると、エノキやケヤキに集まるようである。

確かに、写真の個体が付いている葉は、エノキのように見える。