ニオイタチツボスミレ

最近、近隣の雑木林や里山の反日陰になるような山肌では、タチツボスミレが咲き誇っているのだが、ほとんどの人達は、そんな事を注目もしていないと思う。

そんなタチツボスミレの中に、時たま、花や葉の色合いが違ったり、株の形が違ったりと、一風変わったスミレ(タチツボスミレ)が混じっている事がある。

以下の写真のスミレも、そんなひとつであった。

比較用に以下に、私がよく見かけるタチツボスミレの写真をアップしてみる。

パッと見てわかるように、タチツボスミレの一般的なイメージは、花色が薄い。葉っぱの葉緑素も薄い。そして、葉の先が少し尖り気味。

逆に上の写真の個体は、花色は濃く、葉の色も濃く、葉の先もタチツボスミレほど尖ってないように見える。

こうした事実を照合すると、ニオイタチツボスミレという種類として紹介したく思った。ニオイタチツボスミレというだけあって、花に匂いがあるという事(匂いがない個体群もあるらしい)なので、近々時間があれば、同じ場所に立ち戻り、その植物に匂いが有るか確認して来ようと思う。

ただ、不思議なのは、パッと見で、濃い花色だったのは、この一株だけで、少し離れたところに点在しているスミレ達は、タチツボスミレの花色であった。

おそらく、交配の歴史の中で、ニオイタチツボスミレの要素が濃く出る個体がたまに現れるのかなとも想像したいが、他の場所でも混生していると思しき場所を知っているので、今後は、ニオイタチツボスミレとタチツボスミレの関係性みたいなものに着目して、4月の野山のスミレの開花を楽しんでいこうと思う。

楽しみがひとつ増えた。

ジロボウエンゴサク

こないだの日曜の夕方に、子供達と近所の里山を散策した時に見つけた。この植物は、その一画(2メートル四方)にだけ生えていた。因みに、辺りを見回すと、同じ仲間のムラサキケマンは、あちらこちらに群落を作っていた。

エンゴサクの仲間も数種類あるが、おそらく関東以西に生息地があるジロボウエンゴサクだと思われる。

ジロボウエンゴサクを漢字で書くと、次郎坊延胡索となり、次郎坊のパートは、伊勢地方の方言でこの植物の事を次郎坊と呼んでいたところから来ている。因みに、その地域での太郎坊はスミレだったとのことである。一方、延胡索のパートは、中国でのこのキケマン属の植物の総称の延胡索から来ているらしい。

この植物も、アルカロイドを含む有毒植物のひとつであり、昔は薬用に用いられていたみたいである。もちろん、多用は毒となる。

ムラサキケマンとキケマン以外は、エンゴサクの仲間は多年草とことであるが、夏前には地上部は枯れて、土中の根茎の姿で生存するらしい。

たまたま、花が咲いているグッドタイミングに、このジロボウエンゴサクが目に付く場所を通ることが出来たことは幸運だったのかもしれない。