コオニタビラコ  (つくば市中北部)

仕事で入る敷地内の林や林縁にヤブタビラコとオニタビラコが沢山生えている。ちなみに、オニタビラコの方は、条件構わず近隣の至る所に生えている。もちろん、私の家の庭にも沢山生えてくる。

オニタビラコとヤブタビラコを見飽きた身としては、コオニタビラコなる植物に出会いたく、仕事の休憩時間に散歩がてらに下を向いて歩くのだが、一向にそれらしき植物と遭遇しない。

一回、小川の土手で、あれって思う個体を見つけたが、花後の総苞の形状が丸っこく、また小花もガチャガチャ花弁が多いことから、ヤブタビラコであると判断した事があった。普段、ヤブタビラコを見かける場所が木が茂った半日陰なので、上空に何も障害物のない開けた場所で見つけた事により、期待はしたのだが、実際はヤブタビラコであった。

ただ、最近、コオニタビラコと思われる植物に初めて出会う事ができた。

花弁の数が少なくスッキリした印象で、言われてみれば、花もヤブタビラコのものよりは若干大きい気がする。そして、花後の総苞も、少し先が開いた筒状に見える。この花後の総苞は、ヤブタビラコの場合は、先窄まりの丸みのある形になる。

私的には、やっと出会えたコオニタビラコという感じだが、私は、このコオニタビラコは、今のところ、なかなかそんなに出会えない植物の印象を持っている。

この見つけた場所も、この田んぼにだけ生えていて、両隣の区画には生えていないといった感じである。

私が、このコオニタビラコとの出会いに拘ったのには、もう一つの理由があって、春の七草として、家の近所で採った七草で七草粥を楽しみたいなと思ったからである。

家から徒歩圏内で、セリ、ハコベラ(ハコベ)、ゴギョウ(ハハコグサ)、ナズナの4種は、一瞬で集められる。ただ、ホトケノザ(コオニタビラコ)は、今のところ、何処に生えているんだろう?といった感じだった。残りの2種のスズシロ、スズナも、野生でどうやって見つけようと思案している。

そして、余裕がある時に、自分で自然採取した春の七草で七草粥を作ってみたく思う。ただ、ここにも拘りがあって、やるのは、新暦を採用する事になった明治時代より前の日本人の雰囲気を少しでも思い出す為に、旧暦の2月にやってみたい。

こう思うようになったのは、草花が好きになり、また野山を散策するようになって気が付いたことに、日本の古くからの伝統行事が新暦の中で微妙に季節感にズレを生じている事を感じたからだ。春の七草を集めるのに、1月より2月の方が各段に見つけ易い。他にも3月頭の桃の節句の時に、自然下で桃の花って咲いているのであろうか?

保育園でも幼稚園でも、小学校でも、こうした古来よりの日本の伝統行事を忘れない努力をしてくれている。本当にすばらしい事だと思う。ただ、元々は旧暦で行われていた行事が新暦で行われた時の、微妙な季節感のズレに気付ける繊細な感覚は培っていって欲しい。