ジョウカイボン

昨年までの私なら、絶対この手の昆虫はカミキリムシと断言していた。なぜなら、カミキリムシにとても似てるけと少し遠縁の科のジョウカイボンなる昆虫達の存在を知らなかったからである。

約1年前にブログを始めたときも、普通種のジョウカイボンを、チチブニセリンゴカミキリと誤って同定して投稿した思い出がある。

ただ、1年という期間は、自然とそれなりに知識を身に付けさせてくれるものだ。

春先の早い時期から活動を始めているカミキリムシみたいに見えるものは、ジョウカイボン科の昆虫の可能性がある事を学ぶ事が出来た。

さて、前置きが長くなったが、私がカミキリの仲間に勘違いしていた昆虫のひとつが以下の昆虫である。

名前は、ジョウカイボン。カミキリの仲間が、カブトムシ亜目ハムシ上科に属するのに対して、ジョウカイボンの仲間は、同じカブトムシ亜目ホタル上科に属する。

特徴としては、カミキリムシを掴んだりすると固い実感があるが、このジョウカイボンの仲間は、掴んだ感触がフニャクシャみたいに柔らかいらしい。今のところ意識して掴んだ事はないので、私個人の感想は言えない。

そして、何となく個人的にジョウカイボンの仲間を見ていて感じ始めた事があるとしたら、同じような外見のカミキリムシの仲間より早い時期に活動しているという事である。今年、私が自然界で出会っているカミキリムシは、キクスイカミキリと、昨日庭でベニカミキリに出会ったぐらいである。

あと、もうひとつ気が付いた点は、我が家の庭で見られるジョウカイボンの仲間(ジョウカイボンとセボシジョウカイ)は、かなり灯火に寄って来る。果たして、カミキリムシの仲間って、こんなに灯火に寄って来たか?という感じである。

ただ、ジョウカイボンの仲間を紹介するページを色々とネットで拝見させて頂く中で、生態に触れられている投稿は少なかった。

一体、どんな幼虫なのであろうかとか、どんな1年のライフサイクルを送っているのであろうかとか興味が湧いて来た。

キンラン

このラン科の植物との出会いは、かれこれ10年ぐらい前だった気がする。仕事でよく出入りする施設の駐車場に車を停めて昼休憩をしようとしたところ、フロントガラスの目と鼻の先に、黄色い豆粒みたいな花を咲かせる植物が目に止まった。

日陰で薄暗く、鬱蒼とした森に凛と立つその植物が気になり、後日一株を掘り取り、当時、賃貸で住んでいた家の庭に植えた思い出がある。花の時期はとても短いが、翌年も無事に開花を見届けた時点で、その家からは引っ越してしまった。そして、そのキンランを新しい引越し先へ移植する心の余裕は持ち合わせていなかった。

それからも、毎年、その施設の敷地内では決まった場所で、キンランの開花を見届けて来ている。場所によっては、ギンランも一緒に咲き誇っている。

ただ、このキンランは、ラン科の植物という事もあり、高値で取引されていたりしているのを見る事があるし、実際に他の場所で乱獲しているエピソードなんかを聞いたりしていたので、その敷地内で、毎年見る事ができる事が幸せであった。毎年、毎年、乱獲されて、年々見かけなくなるのは嫌な気分になるからである。

そんな先日、10年ぶりに、生まれて初めてキンランを見た同じ場所に、一輪だけ花を咲かせているキンランを見つけた。結構だだっ広いスペースにたった一輪だけである。ただ、これがキンランという植物の持つ神秘的な一面かもしれない。

その時撮った写真を以下に。

そして、ちょうど1年ぐらい前からブログ開設と同時に、家の近所の自然を意識して見つめるようになり、いつしか近所でもキンランに出会い、キンランの投稿をする事が出来ればなと思う日々が続いていた。

そんな昨日、子供達のリクエストで近所を徒歩で探検してみることになった。大概は、数分の距離でも車で移動して、散策となるのだが、昨日は、家から全部徒歩であった。

道中、色々な発見がある中、長男が山林を上へと登る舗装された小道を見つける。年に2回ぐらいは、好奇心で車で通行する細い道だったが、車では、その道から派生する更なる謎のその横道の存在には気が付いていなかった。

当然、冒険心に駆り立てられ登り始めた一行だったが、どんどんと日が暮れる中、薄暗い山林の中に、2輪だけキンランが視界に入ってきた。施設の敷地内ではなく、近所の自然下で、キンランに出会えたのは本当に嬉しかった。それと同時に、キンランの短い花期を考えると、ラッキーな出会いであった。なぜなら、花が咲いていなかったら、キンランに気が付けて無かったと思うからである。

その時撮った写真が以下である。

さて、このキンランをウィキペディアで調べていて面白い事を知ったが、同時に納得であった。要は、土中の菌類と絶妙な共生関係が保たれていて、その関係が保たれた場所以外では長く生存出来ないとの記事であった。

これは、近所の山野でキンランを当たり前に見かけない理由になっていると思う。要は、コナラが生えている雑木林は多々あれど、絶妙な土中菌類がある場所でしか生育していないのである。この辺が、私がキンランを繊細で神秘的に感じる所以である。

ただ、見かけない(環境省のレッドデータで、絶滅危惧Ⅱ類に指定されている)と言っても、人間が判断基準にしているのは地上部の基準だけであり、土中の中までは見ていない。意外と休眠しているだけで、多くの場所で土中には生き残っているのかもしれない。そして、条件が揃った時に、地表に姿を現している可能性はある。

というのも、嘘みたいな話だが、毎年、キンランやギンランを見る施設内の敷地で、ある年(東日本大震災の年ではなかった気がする)、普段見かけない林内の此処もあそこも文字通り至る所から、キンランやギンランが芽生えて来たシーズンがあった。まさしく、神秘的な現象と感じた。

故に、このキンラン……自宅の庭に植える植物というよりは、自然下での絶妙なバランスでしか生えてこない神秘的な植物として接する方が望ましい植物の気がする。

ユウマダラエダシャク 成虫

GWという事もあり、自宅庭を清掃中に発見。

前翅上半分の中央辺りの大きなグレーの斑の中に、歪な小さな輪っかが見て取れるが、ヒメマダラエダシャクの場合は、同じ場所のこれがもっと円に近いと認識している。

翅を広げたサイズで、4センチ弱というところ。ここのところ、小さな蛾を頻繁に目にしてる身としては、中型の分かり易い蛾に久しぶりに出会った感じである。

種名は、ユウマダラエダシャクなのかなと思う。幼虫の食草のマサキは生垣で使っているし……。ただ、マサキの木に、この幼虫を見つけたり、食害の痕を見つけたことは今のところ無い。

そして、ちょっと気になって来たのは、昨年、投稿しているヒメマダラエダシャクも、このユウマダラエダシャクの誤同定の可能性は無いかなという事である。当時、ブログ始めたばかりで、蛾を含め昆虫に対する知識が今と比べて歴然に無かった当時の事である。

我が家の庭に出現する蛾達のライフサイクルを掴み、誤同定と確証したら、ヒメマダラエダシャクの投稿の方も訂正させて頂こうと思う。(2022年5月6日現在、既にその投稿を削除しているのを確認した。)