オオオナモミ

近隣に生えているオナモミは、外来種のオオオナモミが殆どであると思われる。

本来、オナモミという在来固有種が生えていたらしい。近隣のこのオオオナモミと思われる種も、場所によって形態に地域差があるのか、微妙に違う個体群もあるような気はする。(この投稿を書きながら、同じように外来のイガオナモミやトゲオナモミの存在を知ることになった。)

ただ、近隣のオナモミの仲間は、全部、オオオナモミなのではと、今のところ、私は感じている。

以下は、昨年の10月下旬に近隣の小川沿いで写真に撮ったオオオナモミである。

このオオオナモミの個人的印象だが、近隣だと僅かな例外もあるが、河川沿いの土手なんかでしか見かけない。そして、ネット情報で有りがちな爆発的な繁殖はしていないような気がする。

謙虚に小さな群落(4,5株)が、ポツンポツンとあるぐらいで、たまにそれらの群落が固まって、ちょっと集中的に生えているかなという印象を受ける場所があるぐらいである。

生えている場所も川沿い等に限定されているので、人間が気合を入れて引き抜き始めたら、結構直ぐに減らせるような気はする。こういった点では、アメリカオニアザミなんかも、似た状況だが、アメリカオニアザミの方が様々な環境下に順応しているので、自生している場所を全部探し出すのに苦労すると予想できる。

さてさて、このオオオナモミの種子は、所謂、ひっつき虫のタイプで、人間含む動物にくっ付いて移動することで生息範囲を拡げる目論見を持っていると予想出来るが、ただ、落ちた種子はどんな環境下でも発芽出来たり、発芽して、その場所で元気に代を重ねていけるわけでも無さそうである。

とにかく小川や川沿いの直ぐそばの土手なんかに多い。場所によっては、台風による増水などで水没する場所であり、その時に種子も多数下流へと流されている事が予想出来るが、水分が多すぎる土壌には生えていない。反対に乾燥しすぎる場所にも見ないので、好む環境に微妙なラインが存在しているんだと思う。

あとは、このオオオナモミは、人間の着ている洋服とかには簡単にくっ付く(棘の先端がカギ状になっている)けど、風や振動等で茎から容易に種子が外れるタイプではない。この辺も、このオオオナモミが急速に繁殖場所を広げて行けない理由の背後に有るのかなとも思う。そして、冬に枯れた後も、種子の付いた枯れ茎を地上にピンと伸ばしてただ踏んでいる姿を見ると、もっぱら動物にくっ付いて種子を運ばせるのを遺伝子に組み込んでいるのかなと思う。

このオオオナモミは、夏に大きく育った姿や、その群落の小ささから多年草のように思いたくなるが、1年草である。

本来は北アメリカ大陸が原産で、1929年に岡山県で初めて確認された外来帰化種である。2016年時点の特定外来生物による生態系被害防止対策種リストの中では、その他の総合対策外来種に指定されており、緊急や重点対策外来種ではないものの、日本に居なくても良いと考えられている植物である。在来のオナモミの減少との因果関係が気にされているのかと思いたい。また、日本生態学会の日本の侵略的外来種ワースト100にも指定されている植物である。

まぁ、現代人の殆どは、職場と寝ぐらの間を行ったり来たりである。身の回りの環境のことなんか、誰もそんな事を気にしていない。気にしなくても生きていける時代なのかもしれない。大概の人が考えるのは、目先のことだけである。

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