エゾカタビロオサムシ

昨晩、家から車で5分ぐらいのところにある田園地帯に立つ外灯下で見かけた。

一目見た瞬間、上翅の穴ぼこの点列が見えたので、オサムシの仲間と分かったが、身近な自然下でオサムシの仲間には、それほど出会えないので、とても嬉しい気持ちになった。

そして、絶対に写真に撮ると意気込んだが、その場で上手に撮れる自信がなかったので、咄嗟に捕まえて、なんとか車から持ち帰るための容器のようなものを見つけて、詰め込んで持ち帰ってきた。(余談だが、捕まえた時に、この手の甲虫にしては初めての匂いが漂って来た。甘い香りである。そして、初めて嗅ぐ匂いではない気がしたので、その場で、懸命に記憶を辿り始めたのだが、案外スパッと辿り着けた。子供の頃に舐めていた飴の匂いである。榮太棲の紅茶飴か黒飴の匂い。)

そして、撮った写真が以下のものである。

大きさは、定規で測ったので、結構正確だと思うが、体長23ミリといったところ。

調べたところ、エゾカタビロオサムシという種と分かった。同時に、蛾の幼虫、ヨトウガ類の幼虫を餌にしている甲虫だと分かった。おそらく、ヨトウガの幼虫でも、ヨトウムシ(夜盗虫)と言われるような地表間際の植物を食べている幼虫達を捕食していると思いたい。

ところで、名前にエゾ(蝦夷)が付いている昆虫が、大体、北方系の種であると最近理解してきたが、こうした北方系と私が個人的に思っている昆虫は、暖かい地方では気温が低くなる山地に残る傾向があると、私は考えている。

ゆえに、現代の気候では、決して寒いイメージのない我家の周りの環境(平地)で、このエゾが種名に付く昆虫達の繁殖を見れることは、とても意義のあることのように感じる。

年々、夏場の平均気温が高くなって来ているように感じられる昨今、こうしたエゾが名に付く北方系と思しき昆虫達が暖地の平地で見れる機会は、減って来ているのではないかとも推測したい。

因みに、近所で見かけた昆虫で、エゾが種名に付くものを思い出してみると……エゾヨツメという蛾も居たなと思い出した。

フタオビキヨトウ 成虫 2

先ほど、我家から徒歩でも行けるところにある外灯下で見かけて、写真に撮っていた。

大きさは、前翅長2センチぐらいだった。調べたところ、フタオビキヨトウだと思う。

類似種に、ミヤマフタオビキヨトウとナガフタオビキヨトウがいるが、上の写真の個体は、フタオビキヨトウだと思う。理由の一つは、腎状紋の形が、白く横に細長いところである。

幼虫の食草は、イネ科のヌマガヤ、ヨシ、オギにカヤツリグサ科のビロードスゲ等との事である。

ウスオビカギバ 成虫  福島県 標高1200メートル

この蛾は、近隣近所で見た蛾ではないが、敢えて、近隣近所の身近な蛾達の比較も込めて投稿してみようと思う。

大きさは、開帳で4センチぐらいだった。カキバガの仲間であるとは分かったが、ネット上の図鑑的なものにも漏れているものが多かった。理由は、何処でもよく見られる普通種というわけではない事を物語っていると考えたい。種名は、ウスオビカギバ。

さて、この蛾を調べて知った事に、山地性の蛾という事がある。北海道から九州まで分布しており、南西に行くほど山地にしか居なくなるとのことである。私が見かけたのも、福島県の標高1200メートルの原生林の中である。

ここで、私が気になったのは、山地や山脈、もしくは単に山であっても、隣の山系に移動するには、標高の低い場所(時に海)が立ちはだかっている筈である。しかし、日本全国の山地に散らばって生息しているのは、今より気温の全然低かった氷河期真っ只中には、日本全土に広く生息していたのかと思いたい。そして、その後気温が高くなるに連れて、標高が低いままの山地に孤立していったのかと想像したい。要は、氷河期には一般的であった種であり、現在は北方系と捉えているような種の典型なのかと考えたい。

この北方系の種を証明しているのか、日本に居るのが日本亜種なら、中国北東部やヨーロッパにも、殆ど同じ基本種が生息しているとの事である。

そして、気になったのは、この蛾の幼虫の食草だが、カバノキ科のシラカンバやダケカンバとの事である。確かに山地性の樹木の気がする。

山地に生息する生物と平地に生息する生物の類似性と断絶性を見出すのが楽しくなってきた今日この頃である。