マダラスズ Dianemobius nigrofasciatus (Matsumura, 1904)

昨晩、我家の外灯下に来ていたコオロギの一種である。

大きさは、後脚の部分があるから大きく見えたけど、厳密には体長7ミリぐらいだったのではないだろうか。

大きさ的に、最初は何かしらのコオロギの幼体なのではとスルーしそうになったが、鳴く虫達の声が目立ち始めた秋突入の季節を考慮すると、十分成体の可能性があると思い、また同時に後脚のまだら紋様が種を特定する際のアドバンテージになる気がしたので、調べてみることにした。

結果は、ヒバリモドキ科ヤチスズ亜科のマダラスズなのではと思った。

直ぐに気になったのは、鳴き声であり、ネット上に出回っている音声データを確認してみたら、ちょっとピンと来る鳴き声ではなかった。

また、少し前に、我家の外灯下でヒバリモドキ科としては、ウスグモスズシバスズの投稿をしているが、それらの種と比べると、触角が短いなと感じた。

このマダラスズの生息範囲は、国内は、北海道から九州近海を経て、南西諸島まで。ただ、最西部の八重山諸島には、ネッタイマダラスズという別種が生息しているとの事である。海外の方は、韓国には生息しているようである。

カダヤシ Gambusia affinis (Baird et Girard, 1853)

昨日、九十九里方面に魚釣りに出かけた際に、河口から1〜2キロの内陸部にある田んぼ脇の用水路で捕まえた。

釣り餌に使うザリガニを増量する目的で、細い用水路を除いたら、水は思いの外綺麗で色々な魚が泳いでいるのが見えた。これだけ泳いでいれば、網で掬えば結構入るであろうと、車から網を取り出して、バサッとやってみた。

ザリガニは獲れなかったが、予想より、多くの魚種が入ってきた。

その中に、以下の魚がいた。

大きさは、体長で4センチ以上はある。網には、エビ以外は、ギンブナ、タイリクバラタナゴ、モツゴなんかも入ったが、それらに引けを取らない大きさである。

おそらく、カダヤシなんだろうなと思ったが、ちょうどお腹に仔魚がいる時期も重なったのか、とにかく、カダヤシってこんなに大きかったんだとビックリしてしまった。(グッピーの雌ではないと思うし、グッピーは、いくら千葉県の太平洋岸でも冬は越せないのではと思う。)

自分はよく家の近所や近隣でガサガサをする方だが、過去にカダヤシを見たのは、10年以上前に、手賀沼の水路においてだった。昨年、佐原の水路で、一風変わったメダカを見つけて、近隣で普通に見かけるミナミノメダカと違うと感じ、キタノメダカかと勝手に思っていたが、もしかしたらこのカダヤシの可能性はないかと思い始めてもいる。(その時の写真撮っていたかなぁ〜)

さて、このカダヤシの原産地は、アメリカ合衆国のミシシッピ川流域との事でる。

日本への移入は、大正時代の1913年にアメリカ合衆国から、1916年には台湾から、蚊の幼虫のボウフラの駆除のために、行われている。日本各地に拡がったのは、1970年代の事であり、福島県以南までは冬を越せる可能性があり生息しているようである。

ただ、熱帯地方の風土病や、それ以外の地域でも謎の風土病は、蚊が媒介していることは多いので、当時は、まさにカダヤシ(蚊絶やし)様様で、救世主的に、各国へと移入されていったものと推測される。

しかし、現在では、ひとつ前に投稿したスクリミンゴガイと同じく、日本生態学会の選出する日本の侵略的外来種ワースト100に、国際自然保護連合の選出する世界の侵略的外来種ワースト100にも選ばれている。

そして、重点対策外来種止まりのスクリミンゴガイと違うのは、カダヤシは、外来生物法の特定外来生物に指定されている(生態系被害防止対策種では緊急対策外来種)事から、かなり扱いに制限がかかっており、違反行為への罰則がある点である。このカダヤシを生きたまま移動させて、自宅で観察するとかは、違反行為なのである。ただ、ブラックバスやブルーギルも、同じ扱いだが、未だに、野池や工業団地の貯水地に密放流しているだろうなという現場を見かける事があるぐらいだから、ほとんどの人には、外来生物法なんかは浸透していないのかもしれない。

ここで、話は、カダヤシに戻るが、カダヤシが、メダカを駆逐するかという点だが、現時点での私には分からない。ただ、カダヤシの側からの棲み分けは出来ると思われる。というのは、今回カダヤシがいた水路にはメダカは住めないと思う。水流を遮る植物なり、隠れる場所が少な過ぎる。カダヤシは、そんな場所でも生息出来ていた。まぁ、同所にメダカとカダヤシが棲むことになったら、卵生のメダカよりも、胎性のカダヤシの方が、幼魚の生存率は絶対高くなってしまう気はする。餌を取る能力は、どっちに軍配が上がるかは、現段階では予想は付かない。ちなみに、メダカは、現在ダツ目という目に分類されているが、カダヤシは、グッピーらと同じカダヤシ目に分類されるらしい。

それにしても、綺麗な水の浅めの水路に、無数の魚影。見てて飽きなかった。

スクリミンゴガイ(ジャンボタニシ)Pomacea canaliculata (Lamarck, 1822)

昨日、九十九里方面に釣りに出かけた際に、河口から一キロぐらい遡った付近で複数匹見かけた。

というよりも、九十九里浜近くの田んぼや用水路には、この外来の巨大なタニシ(現実は、タニシとは違う科に属している)が、ウヨウヨ(?)生息しているのは、10年ぐらい前から知っている。

そして、最近見かけたものは、10年前ぐらいに見かけた個体達より、大きいように感じた。

大きさは、近隣で見かけるオオタニシかマルタニシといったいった大型のタニシよりも、更に二回りぐらい大きい。

さて、このスクリミンゴガイは、元々の産地は、南米のブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、アルゼンチン辺りを流れるラプラタ川水系のようである。

日本への移入は、1981年、台湾経由で持ち込まれ、当時は、全国35都道府県に食用目的の養殖業者が存在したとの事である。その後、1984年には、稲の苗を食害する危険性から植物防疫法の対象となり、有害動物として輸入が禁止され、事実上、スクリミンゴガイの養殖が困難になり、要らなくなった貝達が野に放たれたり、もちろん、自然に逃げてしまったケースも多々あったと思われる。

私が、初めてこのジャンボタニシの痕跡に出会ったのは、もうかれこれ30年以上前に、九州の福岡市に注ぐ小河川で釣りをしている時に、抽出植物の上の方にイクラみたいなものがへばり付いているのに気が付いた時だった。ただ、それが、今回のジャンボタニシの卵塊であったと知ったのは、随分と時が過ぎてからである。

稲の苗を食べるとの事で、現在の生態系被害防止に関する法律では、要注意外来生物のうちの緊急対策外来種に次ぐ重点対策外来種という括りに入れられている。特定外来生物法における特定外来生物ではない。また、日本生態学会が定める日本の侵略的外来種ワースト100、世界自然保護連合の定める世界の侵略的外来種ワースト100にも選ばれている。

ところで、このジャンボタニシを害のある生物として、駆除する流れや動きに反して、田んぼの雑草を初期段階で食べてくれる有益な生物としてわざと田んぼに放流する農家もいるとの事である。稲の苗が大きく育って硬くなったものは、スクリミンゴガイが食べられないという習性を利用して、その後に芽生えてくる雑草を食べてもらうというやり方である。ここで、少し、もしやと思ったのは、8月中にも、九十九里のとある町役場の隣の田んぼで見かけた際に、田んぼが綺麗だなと感じることがあった。我家の近所の茨城県南部の田んぼだと、田んぼの中や畦との境に水草やら雑草やらが無秩序に生えている光景をよく見るが、その田んぼは、泥と水と稲しかない綺麗な田んぼであった。数は多くないけど、その底を悠々と這っているジャンボタニシを網で掬うのなんか簡単な筈なのに、どうして放置しているんだろうとも少し気にはなったのを覚えている。

このスクリミンゴガイの弱点としては、寒さは苦手のようで、千葉県近辺が北限の生物のようである。冬の寒さで、大きく育った個体は死んでしまうとの事である。ただ、私が今年になって久しぶりに見たジャンボタニシは、明らかに大きい気がするので、温暖化等で越冬した個体が更に成長しているのかなとも想像したい。

とにかく、身近な淡水巻き貝としてはかなり大きいと感じる。もし、本来の食糧としての目的を取るなら、凄いポテンシャルの高さも感じる。ただ、食べるのを躊躇するとしたら、広東住血吸虫の宿主になり得る可能性や、農薬や肥料まみれの水で育っている泥臭いイメージなのかもしれない。

今度、自ら、井戸の流水で綺麗に泥を吐かせて洗ったものを、完全に下茹でしたりして寄生虫の危険性を除去した上で、食してみようかなとも考えている。食糧危機が叫ばれる中、かなり有効な食糧な気はするので……取り敢えず、味はどうなんであろうという好奇心はある。