ウチジロマイマイ? 成虫 Parocneria furva (Leech, [1889])

最近、近隣で見かけた蛾の一つである。

大きさは、前翅長12ミリぐらいだった。写真だと大きく見えるかもしれないが、この手の形状の蛾にしては、小さい部類の蛾であった。また、現場での肉眼を通しての色合いは、もっと濃く暗い体色でもあった。

この蛾の写真を見たときに、シャチホコガ科の蛾なのかなとも感じたが、シャチホコガ科の蛾にしては小さいなとは感じていた。案の定、該当種を見つけれず。

そうなると、この毛の質感の少しバサバサとした針感は、何科の蛾であろうと路頭に迷うことになったが、偶然、ドクガ科のウチジロマイマイという似ている種がいる事に辿り着けた。

以下は、上の写真の個体が、ウチジロマイマイという前提で書き進めるが、幼虫の食草は、ヒノキ科のヒノキやカイヅカイブキやビャクシンの仲間等が知られているようである。この蛾がいた場所の近くには、何故こんなところにみたいに、ヒノキは一本だけ植わっているのだが、果たして、その木がホストであったのであろうか。

生息分布の方は、国内は、本州以南……九州まで。海外の方は、ちょっと、自分が調べても分からなかったが、中国にはいると書かれている方は多い。(おそらく、一つのソースを、そのまま書いているものと思われる。)

クマスズムシ Sclerogryllus punctatus (Brunner von Wattenwyl 1893)

先ほど、我家の外灯下に来ていたコオロギの仲間である。

大きさは、体長9ミリといったところだったであろうか。

最初に、本年の我家を取り巻く鳴く虫の状況を説明しておくと、今年は、敷地内で初めて、スズムシが鳴いている。近隣のヤブでは、野生のスズムシの鳴き声はよく聞けるが、これまで我家の直ぐ側では聞いたことがなかった。昔から、スズムシの鳴き声が好きで、庭に大量に放したりした事もあったが、基本的に一代限り(運が良くて、翌年少しだけ誕生)で、庭でスズムシが歴代繁殖する事はなかった。

しかし、何故か、今年は、我家の庭でも野生のスズムシが鳴いている。誰かが逃したのではと邪推する必要は無いかと思う。理由は、簡単に放虫出来る人口繁殖スズムシ達の鳴き声とは明らかに違う鳴き声だからである。近隣の野生のスズムシの鳴き声の方が、終盤の余韻がなく、人工的に繁殖させられているスズムシの方が、私はメロディアスで美しいとは感じてしまう。

という事で、庭で鳴いている野生のスズムシの姿を一目見たいと思っていた矢先に、先ほど、上の写真の個体を見つけたのである。

ちょっと小さいけど、これが野生のスズムシかと思ったが、写真を見ながら、似てるけど、なんかスズムシではないと気が付いてしまった。

では、この虫は何という虫かというと、クマスズムシという種である。ただ、スズムシはマツムシ科に属すが、このクマスズムシは、コオロギ科に属しているようである。そして、鳴き声も、美声の部類ではあるが、スズムシの鳴き声とは全然違うのである。

ここで、近隣で鳴いているスズムシの姿を見たいという希望は、また、お預けとなったのである。

さて、このクマスズムシの生息分布の方は、本州以南……九州近海までで、南西諸島は、沖縄本島や久米島にはいるようである。また、チラッと目に入った情報で、伊豆諸島の八丈島にも居るというのが、個人的には興味深かった。海外の生息分布は、韓国や中国から生息報告が上がっているようであるが、どうも沿岸部に多かったり、長江に沿って内陸部へと拡がっているように見える。

クロダイ (チヌ) Acanthopagrus schlegelii (Bleeker, 1854)

最近、少し車を飛ばし、海水の入るエリアに釣りに行くことが増えたのだが、下の魚種は、涸沼川という小河川で釣れてきた。飽きない程度に釣れて来る。

上の写真の個体で、体長15センチぐらい。

さて、種名はと言うと、幼魚ではあるがクロダイだと思う。子供の頃から釣りを趣味にする人達は多いが、釣りをする人には、とても馴染みのある魚である。

私は、少年時代を九州で過ごしたことがあるが、その地でも、チヌと言われて、海のウキ釣りの対象魚の王様みたいな位置付けにあった魚である。子供達には、チヌの幼魚の別名であるチンチンという愛称が、大いに受けていたのも思い出す。

私は、少年時代は、親と一緒に釣りに出かけるときは、もっぱら白砂のサーフで投げ釣りをしていたので、このクロダイが釣れて来る事はほぼ皆無であった。その環境で釣れてくるのは、クロダイではなく、真鯛の子であるチャリコである。

おそらく、子供達だけで出かける堤防での気楽なヘチ釣りで、ごくたまに釣れてきたかなという思い出ぐらいである。子供達の竿や素手竿(手釣り)には、クロダイよりも圧倒的にメジナが掛かった。そして、次に多いのはアイナメ。次に多いのは、カサゴやメバルだったであろうか。餌は、堤防にへばり付くフナムシで十分であった。

ゆえに、殆ど、我家の食卓に、クロダイが上ることはなく、しっかりとした味の記憶が残っていないのだが、1ヶ月ぐらい前だったか、近所のスーパーで、30センチぐらいのクロダイが格安で売っていたので、刺身に挽いて恐る恐る食べてみた。感想は、脂がかなり乗った美味しい味であり、へぇ〜って思った。

それでは、この日本全国津々浦々で釣りの対象魚として人気のあるクロダイ(チヌ)の生息分布はと言うと、国内は、北海道の南部から九州の奄美大島辺りまでで、海外は、朝鮮半島辺りを北限に中国沿岸や、南は台湾辺りまで生息しているらしい。そして、沖縄含む南西諸島には、クロダイではなく近縁種達が生息しているとの事である。

どうして、このクロダイの生息分布に拘ったかと言うと、今回釣行した河川では、クロダイばかりが釣れてきたが、それほど遠くない河川(例を上げるなら千葉県の太平洋岸の河川)では、同じような環境では、キチヌ(キビレ)という種が、優先種として釣れて来るのである。

当然、自分としては、このそっくりな2種の違いや、これまで辿ってきた進化の歴史が知りたくなってしまうのである。そして、2種の棲み分けに繋がる原因や環境が何処にあるのか突き止めたくなってしまうのである。

最後に、私のブログでは、基本的に家の近所で見かける事が出来る生物の投稿をしているので、今回のような海の魚を投稿するのは違うと思いそうだが、本当にそうであろうか?

私が住んでいる場所は、茨城県の洪積台地上の端にあり、今より海面が高かった縄文時代には、目と鼻の先の眼下にある現在の新田系のエリアは、海(海水が来ている)であったことが明らかである。その証拠に、近所の台地上には、ところどころ貝塚が見つかり、当然、クロダイの骨も混じっているのである。

増え続ける人口を養うために、そうした元々海であった場所は干拓されて食糧増産の水田へと姿を変えて、同時に、その地に暮らす人達のために、農地への塩害防止や、飲料水確保のために、汽水域が淡水化されていく。

日本で2番目に大きな淡水湖である霞ヶ浦が昔のような汽水湖に戻る時代がいつか来るんであろうなと予測しながら、この投稿を締めくくる。