シュロ

この植物は、近隣の薄暗い林縁とかに普通に生えてくる植物である。

我家の庭にも知らないうちに生えてくる。鳥が実を食べ、糞と一緒に、あちこちへと散布されて行くようである。

名前は、シュロ(棕櫚)。似た種類にトウジュロという中国原産のシュロもあるが、トウジュロの方は、葉先が垂れ下がらない等の幾つかの違いがあるようである。

シュロ自体は、元々は九州南部までは自生していたらしく、近代において、関東以西ぐらいまでは庭木として植えられる事で広がっていたとの事である。

シュロのエピソードとしては、二つ紹介しようと思う。シュロの樹皮というかあの毛は、タワシや箒の材料になるのだが、シュロのタワシの洗浄効果(効率)は侮れない。台所では、もはや、化学繊維のスポンジとかが主流であるが、あれはあれで使い勝手があるものの、木のまな板や臼や杵にこびりついた物を傷つけることなくこそげ落とす時に、シュロのタワシは、威力を発揮してくれる。もちろん、鉄のお釜の中を洗う時などにも、良い感じではあるが、鉄は、多少傷がついても大丈夫なので、色々な素材のスポンジのタワシが使えるは使える。

もう一つのエピソードは、シュロの近くで焚き火をしない方が安全ということである。過去に、5、6メートルの高さに育ったシュロの近くで焚き火をしていた際、まさか生木に火が付く事はないとたかを括っていたら、思いっきり火が付いてしまった事がある。要は、外のモシャモシャの毛のところが豪快に燃えるのだが、一瞬で、5、6メートルまで火は駆け登り、火柱は更に樹上から数メートルは燃え上がるので、本当に悍ましい恐怖の瞬間である。

ただ、茎というか芯や外皮の硬いところは燃えないので、暫くしてモシャモシャの毛が燃え尽きると火柱は収まるので、何事も無かったかのようになるのだが、とにかく、シュロの毛は、燃えやすい物だと認識しておいた方が良いのは間違いない。

ルリチュウレンジ

このハバチは、1日おきとかに仕事で訪れるある場所で必ず会える。

昆虫に関心を持つようになった数年前からは、ずっと意識の中にいる。その場所には、10年以上前から訪れているので、10年以上は見てることになるんだと思う。

最初は、意識の中にもなく、そのうち、ただの黒い飛ぶ虫が居るなとなり、やがて、ハバチの仲間である事を知り、色も黒ではなく、実際のところは瑠璃光りする黒である事に気が付いた。

しかし、種名は調べようとする気にはなれなかった。理由は、似たようなそっくりのハバチが五万と居て、種に辿り着けないだろうとの臆測が働いていたからだ。ただ、最近は、何から発生しているのかなという事は、常に気にかけて探っていた。

そして、普段は、なかなか静止しないのだが、死期が近いのか動きの鈍い個体が目立つ日があった。という事で、写真に撮ってみた。これまでも、何回も写真に撮ってきているが、どうしても鮮明な写真が撮れずにいたが、今回は、自分にしては、まぁまぁの写真が撮れたと思う。大きさは、1センチちょっとぐらいのハバチである。

そして、写真を見ながら、「確かにいつも瑠璃色感はある。」と呟きながら、単純にルリチュウレンジという種がいるけど、ルリチュウレンジの幼虫の食草って何と調べてみた。

すると、ツツジと出てきた。ここで、全て繋がった。前々から臭いなとは思っていたが、このルリチュウレンジを必ず見かける一角は、ツツジの植栽があちこちにあるのである。

ただ、ツツジに直ぐに結びつけられなかったのは、もちろん、ツツジの上に止まっていることもあるが、このルリチュウレンジが、あらゆる草花や樹木で休んでいる姿を見るために、幼虫の食草を絞り込めなかったのである。

また、このルリチュウレンジの成体は、いくらでも見るが、幼虫の方は、未だに見た事がない事も、寄主を絞り込めない理由であった。

灯台下暗し……解決へのヒントは、結び付かなかっただけで、案外、近くにあったのかもしれない。

トゲアシオオベッコウ(トゲアシオオクモバチ) Priocnemis irritabilis (Smith, 1873 )

この黒くて細いハチ(触角の長さから判断している)は、最近、近隣の田園地帯で不法投棄されていた布団をひっくり返したら、現れた。ただ、直ぐに飛んで何処かへと逃げていくわけではなく、布団の上を歩いたり、短い距離を飛んで移動したり、その布団からは離れようとはしなかった。

その際に、開いた翅に薄焦茶色の紋様が見えたので、これは種を特定する手がかりになると感じ、何枚か写真を撮ってみた。

写真から直ぐに、トゲアシオオベッコウという種名が分かった。体長は、15ミリぐらいだったのかな。

さて、このトゲアシオオベッコウは、蜘蛛を狩って捕食するタイプの蜂とのことである。