この植物は、近隣の薄暗い林縁とかに普通に生えてくる植物である。
我家の庭にも知らないうちに生えてくる。鳥が実を食べ、糞と一緒に、あちこちへと散布されて行くようである。
名前は、シュロ(棕櫚)。似た種類にトウジュロという中国原産のシュロもあるが、トウジュロの方は、葉先が垂れ下がらない等の幾つかの違いがあるようである。
シュロ自体は、元々は九州南部までは自生していたらしく、近代において、関東以西ぐらいまでは庭木として植えられる事で広がっていたとの事である。
シュロのエピソードとしては、二つ紹介しようと思う。シュロの樹皮というかあの毛は、タワシや箒の材料になるのだが、シュロのタワシの洗浄効果(効率)は侮れない。台所では、もはや、化学繊維のスポンジとかが主流であるが、あれはあれで使い勝手があるものの、木のまな板や臼や杵にこびりついた物を傷つけることなくこそげ落とす時に、シュロのタワシは、威力を発揮してくれる。もちろん、鉄のお釜の中を洗う時などにも、良い感じではあるが、鉄は、多少傷がついても大丈夫なので、色々な素材のスポンジのタワシが使えるは使える。
もう一つのエピソードは、シュロの近くで焚き火をしない方が安全ということである。過去に、5、6メートルの高さに育ったシュロの近くで焚き火をしていた際、まさか生木に火が付く事はないとたかを括っていたら、思いっきり火が付いてしまった事がある。要は、外のモシャモシャの毛のところが豪快に燃えるのだが、一瞬で、5、6メートルまで火は駆け登り、火柱は更に樹上から数メートルは燃え上がるので、本当に悍ましい恐怖の瞬間である。
ただ、茎というか芯や外皮の硬いところは燃えないので、暫くしてモシャモシャの毛が燃え尽きると火柱は収まるので、何事も無かったかのようになるのだが、とにかく、シュロの毛は、燃えやすい物だと認識しておいた方が良いのは間違いない。