ここ数日、近所で、このバッタの仲間をよく見かける。
大きさは、体長4センチちょっとぐらいであろうか。とにかく、シミが多く薄汚れた感を醸し出しているが、クサキリなのは分かった。
という事で、クサキリの褐色型かぐらいに考えていたら、どうもヒサゴクサキリという独立した種である事が分かった。同時に、その薄汚れた外観も、本種の種としての特徴だと知った。
さて、このヒサゴクサキリという種を調べていて、分布域の特異性を言及している方が複数いたが、私も、このヒサゴクサキリの分布域に興味が惹かれた。
元々、南方系の種らしいのだが、大隅諸島、九州、対馬、四国、伊豆諸島、本州に生息しているようである。ただ、本州の生息域が偏っている。日本海側は山口県でしか確認されておらず、太平洋側は、千葉県辺りまで生息確認されている。しかし、内陸でも見られるのは、岐阜県以西であり、それより東の地域では、海沿いで見られるとの事である。
これを推理するには、他のクサキリ類の存在を考慮しないなら、日本海とかが存在しなかった何万年も前に、元々海沿いに生息していて、その後、温暖化の影響で現在の日本海の辺りに水が溜まり始めて、日本列島が大陸から切り離されて以降は、未だ日本海側を北上出来ていない段階なのではとの仮説を立ててみたい気もする。おそらく、似たようなケースは、他の生物でも生まれている気はする。もちろん、これに、寒さにデリケートな体質も日本海側への進出を遅らせているんだと考えたい。
ところで、このヒサゴクサキリが依存する植物は、ササ類の中でもメダケらしい。最近まで、メダケもヤダケもアズマネザサも、皆、篠竹として一括りと認識してしまっていて区別出来ないでいたが、ここに来て、近隣に生えている所謂背の高い笹はメダケである事を掴んできている。要は、ヒサゴクサキリの好物は、近隣近所の至る所にあると言える。
各都道県が独自に定めるレッドデータで、千葉県が絶滅危惧I類に、また東京都が準絶滅危惧種に指定しているが、元々、北限に当たる地域であり生息数も多くなく、逆に、これからの温暖化の方向の中で少しづつヒサゴクサキリにとっては好環境が増えているような気もする。