エゾカギバ 成虫 標高1200メートル 福島県

この蛾は、近隣近所で見た蛾ではないが、敢えて、近隣近所の身近な蛾達の比較の意味合いも込めて投稿してみようと思う。

大きさは、前翅長15ミリぐらいだった。随分、標高の高い所にも見覚えのある蛾がいるもんだと思い、一応、写真に撮っていた。

見覚えのある蛾というのは、ヤマトカギバの事であり、近隣の雑木林の林縁で、まぁまぁ見かける蛾である。ただ、そう考えると、殆ど標高のない我家の近くから標高1200メートル辺りまでと、生息域に幅があり過ぎる気もするというのが正直なところであった。

という事で、もう一度調べると、殆どそっくりな外見で、エゾカギバという山地性の蛾がいる事を突き止めた。

2種の違いは、翅を裏から見た時に前縁に紋様があるか否かと、エゾカギバの方が全体の翅色が暗めというぐらいである。あとは、前翅の内横線と外横線の間が無紋かへの字状の実線になるという点である。(ヤマトカギバは、この場所に二つの分かれた点が現れるようである。)

この事実を基に、上の写真を見返すと、確かに私が知るヤマトカギバよりは、暗い色をしている気がするし、への字状の実線がある。

エゾカギバなのかなと思いたい。

さて、エゾカギバの幼虫の食草は、ブナ科のブナ、ミズナラ、カバノキ科のダケカンバ等との事である。

ちなみに、学名は、Nordstromia griseariaであり、極東ロシアや中国にも生息しているとの事である。一方、ヤマトカギバの学名は、Nordstromia japonica であり、日本と対馬、中国に棲息しているようである。やはり、2種とも誕生は中国と考えるべきであろうか。

ヒメツバメエダシャク 成虫 福島県 標高1200メートル

この蛾は、近隣近所で見た蛾ではないが、敢えて、近隣近所(標高5〜25メートル)の身近な蛾達の比較の意味合いも込めて投稿してみようと思う。

既に死骸であったが、この蛾の特徴は捉えていると思うので、写真に撮っておいた。

大きさは、比較的小さく、前翅長で17ミリぐらいだった。ほぼ白色で、際立った紋様もなく、種にたどり着けるか自信が無かったが、写真を数回眺めているうちに、後翅の先端の特徴からツバメエダシャクの仲間であろうとの予測が立った。

しかし、こんなに小さなツバメエダシャクが居たかなとの不安な気持ちと共に調べてみると、コガタツバメエダシャクとヒメツバメエダシャクという打って付けの種が存在する事を知った。

そして、コガタツバメエダシャクは普通種で、ヒメツバメエダシャクは山地性の蛾であるとの情報をネット上の情報から導き出すことができた。外見的特徴としては、後翅のスジの形で見分けれるみたいだが、この蛾の亡骸を見つけた時に、その情報を知らなかったので、後翅を広げて確かめていない。他には、後翅の先端が、コガタツバメエダシャクは尖っておらず、ヒメツバメエダシャクは尖っている気がする。そうすると、私の撮った写真の個体は、明らかに後翅の先端が尖っているように見える。

この点から、見つけた場所が結構な高地ということもあり、ヒメツバメエダシャクと同定した次第である。

幼虫の食草に関して、コガタツバメエダシャクもヒメツバメエダシャクも、ハイノキ科のサワフタギと書いてある情報が多かったが、日頃から近隣の平地でサワフタギをよく見ている身としては、1200メートルの高地にサワフタギが生えているであろうかと疑問を持った。気になったので、ハイノキ科を調べると、熱帯や亜熱帯の植物であり、概して低地や日本の南西に多い傾向を読みとった。

こうなって来ると、シロツバメエダシャクの食草のマツ科トウヒや辛うじて、イチイ科やイヌガヤ科との類似性が可能性があると感じたが、上の写真の個体は、シロツバメエダシャクではないと思いたい。

このツバメエダシャクの仲間は、標高による垂直分布を調べることにより、進化や枝分かれの背景が見えて来そうな気もする。

ニッコウアオケンモン 成虫 福島県 標高1200メートル

この蛾は、近隣近所で見た蛾ではないが、敢えて、近隣近所(標高5〜25メートル)の身近な蛾達の比較の意味合いも込めて投稿してみようと思う。

最初に、この蛾が目に入った時に、その大きさ(前翅長2センチ弱)と色合いからイラガの仲間(例えば、クロシタアオイラガヒロヘリアオイラガ)に似ているなと感じた。

こんな高山にも、イラガの仲間がいるのかなと思いながら調べたところ、ヤガ科ケンモンヤガ亜科のニッコウアオケンモンという種と分かった。

幼虫の食草は、シソ科のニガクサやクロバナヒキオコシらしい。どちらの植物も、現在の私は知らない。

さて、このニッコウアオケンモンも、山地性の蛾というだけであって、氷河時代の陸続きの土地が多かった時代には、一世を風靡していた予感がする。それを証明するかの如くに、ロシアの極東、台湾、もしかしたらヒマラヤ・チベットにも生息している蛾である。

あんまり出会えない人気種みたいである。

類似種にスギタニアオケンモンという種がいるが、こちらは普通種であり、2種がどういう進化の過程を経て枝分かれしたのか、興味が湧く。