この蛾は、近隣近所で見た蛾ではないが、敢えて、近隣近所(標高5〜25メートル)の身近な蛾達の比較の意味合いも込めて投稿してみようと思う。
既に死骸であったが、この蛾の特徴は捉えていると思うので、写真に撮っておいた。
大きさは、比較的小さく、前翅長で17ミリぐらいだった。ほぼ白色で、際立った紋様もなく、種にたどり着けるか自信が無かったが、写真を数回眺めているうちに、後翅の先端の特徴からツバメエダシャクの仲間であろうとの予測が立った。
しかし、こんなに小さなツバメエダシャクが居たかなとの不安な気持ちと共に調べてみると、コガタツバメエダシャクとヒメツバメエダシャクという打って付けの種が存在する事を知った。
そして、コガタツバメエダシャクは普通種で、ヒメツバメエダシャクは山地性の蛾であるとの情報をネット上の情報から導き出すことができた。外見的特徴としては、後翅のスジの形で見分けれるみたいだが、この蛾の亡骸を見つけた時に、その情報を知らなかったので、後翅を広げて確かめていない。他には、後翅の先端が、コガタツバメエダシャクは尖っておらず、ヒメツバメエダシャクは尖っている気がする。そうすると、私の撮った写真の個体は、明らかに後翅の先端が尖っているように見える。
この点から、見つけた場所が結構な高地ということもあり、ヒメツバメエダシャクと同定した次第である。
幼虫の食草に関して、コガタツバメエダシャクもヒメツバメエダシャクも、ハイノキ科のサワフタギと書いてある情報が多かったが、日頃から近隣の平地でサワフタギをよく見ている身としては、1200メートルの高地にサワフタギが生えているであろうかと疑問を持った。気になったので、ハイノキ科を調べると、熱帯や亜熱帯の植物であり、概して低地や日本の南西に多い傾向を読みとった。
こうなって来ると、シロツバメエダシャクの食草のマツ科トウヒや辛うじて、イチイ科やイヌガヤ科との類似性が可能性があると感じたが、上の写真の個体は、シロツバメエダシャクではないと思いたい。
このツバメエダシャクの仲間は、標高による垂直分布を調べることにより、進化や枝分かれの背景が見えて来そうな気もする。