マナマズ Silurus asotus (Linnaeus, 1758)

先週末、家から車で40分ぐらいの場所で釣ってきた個体である。

大きさは、45センチぐらい。

ナマズと言えば、日本全国、何処にでもいそうな気がするが、沖縄にはいない魚だと分かった。

過去には、福岡県、埼玉県、今回は千葉県で釣った事になるが、これまでに10匹も釣り上げて来ていない気がする。家の近所の小川にも居ると思われるが、数が多くないのか、家の近所で釣ったり、採ったりした事はない。ただ、浅い淀みでクネクネとしなやか過ぎるシルエットを見ると、「あれは、鯉やアメリカナマズではなく、ナマズじゃないかな。」と眺めていたりはする。

さて、今回は、どうしても、釣ったナマズの食味が再確認したかった事もあり、持ち帰って来た。再確認したかった理由は、家の近所の水系に溢れかえっているアメリカナマズが、どうしても美味しく食してあげられず、また、美味しいというまで仕上げる下処理に手間がかかるので、日本の在来のマナマズは、どうなのであろうかと自分自信で再確認したかったのである。

結論から言って、アメリカナマズと在来のマナマズは、別物だと分かった。

今回は、マナマズを食べるに当たって、出来るだけ素材の味が知りたかったので、皮も剥がずに、油で誤魔化すこともせず、蒸した後にタレを付けて焼いて、所謂、九州とかの蒲焼風にしてみた。

感想は、美味しいお魚に尽きる。ちょっと長い時間蒸した事で、生臭みも落ちたのか分からないが、魚それぞれが持つ独特の魚臭さは、ほぼ無い。身質は、ホロホロに柔らかくて、逆に、身割れが激しくて、皮と一緒じゃなかったら、バラバラに解れてしまうかもしれない。

蒸した事で、身の間に入り込んだ水分が滲み出てくるのか、蒲焼というよりは、ちょっとした煮物のような感じになったが、作り方が功を奏したのか、他に類を見ない美味しい魚の煮物が完成した。煮物が美味しい身近な魚として、金目鯛とかナメタガレイとかがあるが、マナマズの方が正直美味しいと思った。丁寧に精米した炊き立ての白米と一緒に食べたら、最高に幸せな気分になると思った。

もちろん、蒲焼という点では、鰻の本来持つ脂の美味さが、ナマズには欠けるが、雑味のない上品な味で柔らかく解れやすい身は、違う方向で美味しい蒲焼だと感じた。きっと、身に色が付くほど煮て煮物にすると、素材本来の旨味をボケさせてしまう可能性もあるので、今回は、偶然だけど、美味しいレシピを発見した感じである。

そんなに美味しいナマズだけど、全く食材として注目していないのが、一般的な日本人の現在の傾向である。身近な環境に美味しい魚を殖やすことの重要性に気が付き始めても良い時代である。食料の輸入事情(未来)が、今後、日本に有利に傾いていくとは、なんとなく思えない時代である。

ところで、このマナマズSilurus asotus (Linnaeus, 1758)は、沖縄含む南西諸島にはいないが、海外では、中国東部や台湾やベトナムの方まで生息しているらしい。日本には、他に固有種として進化したナマズが琵琶湖に2種、中部地方に一種いる。

そして、日本固有種含めて、このナマズのアジアの分布を眺めた時に、マナマズは、元々は、関西以西にしか生息しておらず、江戸時代以降に関東や東北に持ち込まれて来たという推測が、なんとなく真実を物語っている気がしてくる。

たまたま、マナマズの脂の乗った美味しい時期だったのかもしれないが、少し前に投稿したニゴイと共に川魚達も侮れないなと思った。

カガリビコモリグモ Arctosa depectinata. (Bösenberg & Strand, 1906)

昨晩、我家の庭にいた蜘蛛である。

大きさに関してだが、体長は、ちょっと分からない。というのも、腹部の上に、卵を産み付けられ、実際の腹部が見えていないからである。

ただ、卵を産み付けられるのは♂であり、オスの腹部は胸部よりも小さいのを知っているので、ここからこの蜘蛛の昨晩の卵を背負った状態での体長が1センチぐらいだった事を考慮して通常時の体長を予測すると、体長5-6ミリの蜘蛛であろうか。まぁ、実際のところ、蜘蛛は手脚の長さがあるから、体長よりは大きく見えるが……。

また、腹部に卵を産み付けられているために、種名の由来であるカガリビ(篝火)の部分が見えていない。

さて、正直なところ、この蜘蛛が卵を背負っていた状態だったから、コモリグモ科の蜘蛛である予測が付き、種名に辿り着いたが、もし卵を背負ってなかったら、種名に辿り付けたか疑わしい。

このカガリビコモリグモの生息分布は、国内は、北海道から九州を経て、南西諸島まで生息しているようである。海外は、ちょっと分からなかった。

ヤマトエンマムシ Hister japonicus (Marseul, 1854.)

昨晩、我家の庭で捕まえたものを写真に撮ってみた。

大きさは、ちょうど体長1センチぐらいあった。

上の写真だと分かりにくいが、リングみたいな感じの顎牙の特徴からエンマムシの仲間であろうとの予測は付いた。

最初の候補は、コエンマムシだったが、大きくても体長5ミリぐらいの甲虫と知った。すると、ヤマトエンマムシというのが、体長9ミリ-13ミリぐらいであり、ヤマトエンマムシという種なのではないかと結論付けている。

見つけた場所は、最近、庭の一角に故意に料理した魚のアラとかを捨てて、どんな生物が来るかを観察している場所である。今回も、沢山のコブマルエンマコガネが居たが、今回はそれらより大きい甲虫も複数いた。そして、捕まえてみたのが、上の1匹である。

このヤマトエンマムシ含むエンマムシ達の習性で、なるほどと思ったのは、生物の死骸を食べに来ているわけでなく、死骸に発生するハエの蛆等を食べているというものである。そういう意味では、人間の視点では、益虫になるのであろうか。

確かに、エンマムシの牙は、動かぬ食べ物を食べるというよりは、暴れる食べ物を押さえ付けるような機能の目的で、微妙に立派な気がする。昆虫の形状的特徴には、それなりの目的があるという事である。

とにかく、今回、庭に捨てた生物の死骸の一部を餌にする昆虫達が集まり、続いて、それを餌にするエンマムシのような昆虫も現れて、擬似生態系のようなものが作れた事が嬉しい。ちなみに、次に現れるのは、シマヘビなんかの幼体で、次にカラスなんかが現れるのであろうか。

こうした小さな生態系が無数に色々と拡がっているのが自然界だと思う。決して一つのピラミッドで説明できないほどに、末端は、多様な生活環境が絡み合い日々変化している。

そして、人類が、この地球上のマネージャーを自負するなら、末端の生物の複雑な生活環境の絡み合いを読み解けるだけの能力を持っていかなければならないと思うが、自然の大らかさに甘えて、「そんなの無理ー」と人類は未だその域に成長していない。

さて、このヤマトエンマムシの生息分布は、本州以南……九州までで、海外に生息しているのかは、分からなかった。