モンシロチョウ 幼虫 Pieris rapae (Linnaeus, 1758)

ひとつ前で、モンシロチョウの雌雄の違いの投稿をしたが、今回、そのモンシロチョウ達が小乱舞していた場所で、モンシロチョウの幼虫の写真も撮っていた。

付いていたのは、野生のアブラナであった。

大きさは、25ミリぐらい、もうそろそろ蛹になるのではないだろうか。

ここで、疑問に思ったのは、随分と寒くなってきた10月のモンシロチョウの幼虫は、蛹になった後、蛹のまま越冬するのか、それとも羽化した蝶が越冬するのか気になり始めたが、一応、蛹で越冬するというのが通説のようである。今回の写真の幼虫が、今シーズン最後のモンシロチョウの幼虫のサイクルかは分からないが、とにかく、蛹で越冬するようである。(もちろん、寒い時期の屋外で採取した蛹を、暖かい室内に取り入れてしまうと季節外れの羽化みたいな現象が起きてしまう事も想定できるが……。)

さて、話は変わるが、モンシロチョウの幼虫は、当然アブラナ科の野菜もムシャムシャ食べて、それらの野菜の出荷に影響を与えると思うのだが、それを防ぐために農薬が使われるなら、いっそのこと、生で食べる事もある葉物野菜とかは、生物の被害の少なくなる屋内の工場とかで効率的に作るのも有りかと考えるようになって来ている自分がいる。農家の高齢化は顕著であり、一方で、未来の世界事情を反映して食料の輸入や価格維持が、今後、国同士の駆け引きの中で、我が国にとって不利に動く時代も想定しておきたい。

何が言いたいかというと、現在の平和な日本での食糧事情に慣れきってしまっているが、国民が、現代の食糧供給の陰に見え始めている不穏要素(課題)に気が付き、食料の国内自給自立率のアップを真剣に考え、また多収や気候対応に向けて品種改良や、効率的な土地活用によって、アジアの農業先進大国の顔も作っていくことが、日本の未来には必要かなと感じてしまう。

平和って素晴らしい事だが、人間の未来に起こりうる異変を察知する感覚を鈍らせてしまうのも事実のような気がする今日この頃である。

モンシロチョウの幼虫から随分と話が脱線してしまったな。

モンシロチョウ 雄 雌 Pieris rapae (Linnaeus, 1758)

定期的に遭遇するので、決して珍しい事ではないが、最近、近隣で、モンシロチョウが乱舞している場面に遭遇した。

そして、その場で、交尾中のモンシロチョウを見かけて、写真に撮っていた。モンシロチョウに限らず、交尾中の生物は、雌雄の見分け方へのヒントを教えてくれることになる事が多いが、モンシロチョウも例外ではなかった。

大きさは、明らかに黄色っぽい個体の方が小さいが、これは、この写真の構図上、小さく見えてしまった感もある。実際は、ここまで小さくなかった事を証明できそうな写真を以下に。当然、同一個体達である。

モンシロチョウの雌雄の大きさに関する情報だと、それほど性差がないような事を読んだ気がするが、上の写真の個体達では、黄色っぽい個体の方が、現場での肉眼での確認では小さくは見えていた。

では、どちらが雄で、どちらが雌かと言うと、モンシロチョウの交尾は雄が主導で行うようで、上部に位置する白い方が雄である。逆さまになっている黄色いのが雌なのである。現場では、何回か飛んで逃げようと、凄く短い距離を移動したが、この立ち位置が変わることはなかった。

という事で、年に5回ぐらいは発生してそうなモンシロチョウであるが、春の個体達と、今回の10月の個体達だと、少し色合いや紋様に変化があるようである。大雑把に言って、黄色っぽいのが雌と言っても良さそうではある。

また、今回学習したのだが、単独で居て、雌雄の区別が難しい紛らわしい個体に遭遇した場合には、前翅の裏面の前縁側の真ん中辺りに着目して、この場所が前縁側まで白く迫っているのは、雄と判断して良さそうである。上の写真の2枚目の方でも、その特徴はハッキリと見てとれる。

また、今回も白いモンシロチョウが狭い区画で乱舞しているのを見たが、飛んでいるのは殆どが雄で、その中に数少ないメスが混じっていたのかもしれない。ゆえに、モンシロチョウって白い蝶というのは、もしかしたら雄ばかりを目撃している可能性も感じる。

これからも、モンシロチョウには、ウザるほど出会うと思う。今後は、雌雄の違いや雌雄の違いによる行動の違いに着目して、モンシロチョウを眺めてみたく思う。

モンシロチョウの分布等の情報は、過去に投稿したモンシロチョウ蛹の投稿に譲る。そちらをご覧ください。

クワクサ Fatoua villosa

やっと、この植物の名前が分かった。芽生えて間もない頃の瑞々しい薄緑の葉の形状から、これまでシソが野生化していると、正直思っていた。

ただ、大きくなり、葉の表面はザラザラ感が強くなり、茎の先端の方の所々に、紫色の小塊の花を付けるようになると、これはシソではないなと気が付いたのである。シソなら、茎の先端に花穂が出来るはずである。

では、何という植物なのであろうと調べたところ、クワ科のクワクサという一年草だと分かった。

さて、この植物の生息分布は、国内は、本州以南……九州近海を経て、沖縄本島含む南西諸島まで。海外の生息分布の方は、韓国、台湾、中国南東部、フィリピンインドネシア、ニューギニア、オーストラリア東岸とニュージーランド。……所謂、環太平洋のアジア・オセアニア側には、濃く生息している模様である。そして、北アメリカの東半分にも、このクワクサは進出しているのである。他にも、飛び飛びに世界各地で確認されているようである。

ここで気になるのは、この拡がりになるまでに、どれぐらいの時間がかかったのかという点である。もし、近年の急激なものなら、世界的に、侵略的生物として捉えられているはずだが、そのような動きはない気がする。

おそらく、東南アジアの何処かが原産地だと推測したいが、近隣での生え方を眺めると、日向日陰の何処かしこからも生えて来るわけではなく、元々低木や樹木が半日陰を作り、その下で、雑草が繁茂し始めて土壌の表面も風通し悪く常に湿り気味のような場所に芽生えて来る気がする。抜いてみると分かるのだが、根は直根ではなく、フサフサの髭根がモワモワッと存在するタイプである。要は、地表近くの水分量が、この植物には好影響をもたらしてくれている気がする。

また、雑草が繁茂してても、年中日向みたいな強光線が当たるような場所には生えておらず、やはり1日のうちに半日陰や日陰になるような場所に多い気がする。

発芽率の方は、かなり戦略が感じられる。過去に、このクワクサが毎年、適度に生えて来てしまうのを防ごうと、種子が落ちる前に、ほぼ全草抜いた時があったが、休眠種が芽生えて来るのか、あまり発芽率を抑えることが出来ない印象を持っている。

利用法に関しても、あまりネット上に情報のない植物でもあった。