ヒヨドリバナ

7月の終わり辺りから、この白い花を咲かせる植物を限られた雑木林で見かけるようになった。

名前は、ヒヨドリバナというらしい。直射がガンガン当たる場所では見かける事はなく、ちょっと日射しも入る雑木林の中で、所々まとまって咲いている感じである。

続いて、同じ日に殆ど同じ場所に咲いていたヒヨドリバナである。

こちらの個体は、葉に着目してもらいたいのだが、葉脈のところが黄化している。

今回、このヒヨドリバナを投稿するために、ネットを使い調べた副産物として、このヒヨドリバナの葉の黄化の原因にたどり着く事が出来た事がある。

原因は、コナジラミという昆虫が媒介するジェミニウイルスというウイルスが起因しているとのことである。このジェミニウイルスは、古くは万葉集に孝謙天皇がヒヨドリバナの黄葉を詠っていると思われる和歌が存在することから、昔よりヒヨドリバナに寄生していた事が知られている。

そして、研究で、このジェミニウイルスに冒されたヒヨドリバナは、だんだんと小さくなり、光合成に役立つ葉も少なくなり、衰退して死んでいくと言われている。ただ、今もヒヨドリバナは見かける事が出来るし、ジェミニウイルスの圧勝という具合には行っていないのである。

この理由には、ウイルスが生存していくためには、寄主となる植物が全滅する事は、ウイルスが望んでいないとかいう説も興味深いと思った。また、多年草のヒヨドリバナの根には、ウイルスは残るが、産出される種には入り込めないとの事も関係しているのかもしれない。

また、日向で元気良く光合成をしている強い個体では、ウイルスの力は弱まってしまいウイルスが力を発揮出来ないとの事である。この辺りが、ヒヨドリバナが、ジェミニウイルスに負けないで共存して来れている原因のひとつなのかもしれない。

ただ、近隣で、このヒヨドリバナが日射しの強い日向で咲いているのを見た覚えがない。いつも、少し明るい雑木林の中とかである。

この現象にも、何か確実に理由があるに違いないと思う。ヒヨドリバナとジェミニウイルスの攻防含め、近隣でヒヨドリバナと出会うのが楽しみになって来た。

花が咲いている時期しか、私には見分けられないだろうが、今度は、どこの雑木林で出逢えるのかな。

ヒヨドリジョウゴ

数週間前に近所の里山を散歩していた時に、気になった植物である。

この植物に気付くキッカケは、ニジュウヤホシテントウだった。ナス科の植物を食べるこのテントウムシが付いていたという事で、ナス科の植物であることは推測出来たが、明らかに蔦というか蔓というかツタ/ツル植物なのである。

おまけに、ナス科特有のジャガイモのような白い小花も見て取れたし、花から育った緑色の小さな実も確認出来る。

近隣では、ニジュウヤホシテントウが、同じような実を付けるナス科のイヌホオズキやワルナスビといったいった雑草を食している現場を目にする事があるが、では一体ナス科のツル性の雑草って何だとなった次第である。

緑色の実が写っている写真をもう一枚。

帰宅後……実際は、最近だが調べたところ、ヒヨドリジョウゴという植物である事が分かった。

植物名として、ヒヨドリジョウゴという名前は聞いた事があったので、これがヒヨドリジョウゴというのかと小さな巡り合わせを喜ぶ自分が居た。

さて、このヒヨドリジョウゴ……実には、ジャガイモと同じソラニンを含む有毒成分が有るとのことである。

また、緑色だった実も、ゆくゆくは赤色をメインに時たま黄色く熟すらしく、冬枯れの景色の中にハッとした小さな感動をもたらしてくれるに違いないというイメージが、私の頭の中には幸せな気持ちと共に浮かび上がってきた。

今から冬が待ち遠しくなった。ヒヨドリのギーギー鳴く声をバックグランドに、サルトリイバラノイバラやツルウメモドキやトキリマメの色付いた実に癒されながら、近所の里山を散歩するのが……

ところで、ヒヨドリジョウゴという名前の由来を調べていて、ヒヨドリは、鳥のヒヨドリである事が分かる。では、ジョウゴとの結び付きはと言うとすんなりは解釈出来なかった。

じょうご(上戸)は、昔の言葉で、酒を沢山所有している家とかの意味合いがあるらしい。そこから派生して、泣き上戸とか笑い上戸とかの言葉があり、現代では酒が入ると泣き癖や笑い癖が強くなる人とかを表現する言葉として使われている。

では、ヒヨドリとジョウゴが結び付くと、どんな意味になるのであろう?