この秋の鳴く虫の一つは、これからの季節から初冬まで、最も目立ち勢いのある鳴く虫なのではないであろうか。
そして、重要なのは、外来種という事である。原産地は中国大陸なのではとの情報しか無かったが、日本での初確認は、1898年(明治31年)もしくは1908 年(明治41年)、場所は東京赤坂との事である。
以下の写真は、昨晩、我家の外灯下に来ていた個体である。
体長は、2センチちょっと。翅の中央の辺りに褐色が混じっているのがオスであり、メスは緑色一色との事である。ということは、写真の個体は、オスと言うことになる。
自然下で見かけただけだと、大型の緑色のキリギリスやコオロギの仲間の範疇に入れてしまうと思うが、マジマジと見ると、結構唯一無二な形をしており、かなり特異なシルエットをした虫である事に気がつかされる。
このアオマツムシは、我家を中心にした近隣には、物凄く沢山生息している印象である。
とりわけ、大きな道路沿いの高木の街路樹等で、一体何匹いるんだろうばりの大合唱に圧倒されてしまうことが、しばしば起きる。
勿論、小さな庭の庭木なんかでも鳴いている。
鳴き声の方は、単体で聴くと、♪リーリー♪と涼しげで美しい。ただ、和産のコオロギの仲間達と比べると音量は大きめに感じてしまう。まぁ、目下、近所で鳴きまくっているクツワムシの音量には勝てないが……
さて、このアオマツムシが増えて行く理由は、色々と有ると思うが、樹上性の生活形態は大きく関与していると思われる。要するに、10メートル以上とかの高い木の上の方が、地表近くより天敵となる捕食者が少ないのかと思いたくなる。
ところで、このアオマツムシは、昔は今ほど数が多くなかったのか、虫売りの行商の人達は、鈴虫やマツムシなんかの4、5倍の値段で売り歩いていたのを、何故か知っている。
私は、知らない時代だが、東京の路地裏とかには、金魚や鳴き声を楽しむための虫を売りに来る人達(商売人)が居た時代が存在したようである。流石に私は知らない。
因みに、子供の頃に、夕方にラッパの音と共に自転車でやって来る豆腐屋は覚えている。物は溢れてなかったけど、なんか夢が見れる幸せな時代だった気がする。
今となっては、時代の移り変わりは益々早く、もはや遠き過去の伝統や風習も数知れず。
目下、人々は、目に見える表面的な変化に必死に順応しようとしている。ただ、目に見えない内面的な変化には、案外順応どころか気が付いていない人達が殆どである。
もう一度、過去、現在、未来、人間の幸せって、何なのかしっかり分析し直した方が良いと考える。