サトユミアシゴミムシダマシ (ユミアシゴミムシダマシ)Promethis valgipes (MARSEUL,1876) 2

この昆虫も、最近見かけて、写真に撮っていた。

その日の出会いは、半枯れの桜の木を眺めている時から始まる。何か虫でも居ないかなと近付いて見ていると、樹皮の間に顔を突っ込み何かをしている黒い甲虫が目に飛び込んで来た。

こうなったら、引っ張り出して、正体を確認させてもらいたくなり、引っ張り出した。

大きさは、体長で2センチをちょっと超えるぐらいではなかったであろうか。

そして、この虫は、何だっけの無言の凝視の時間が少しあった。暫くして、「あぁ、ユミアシゴミムシダマシかぁ。」と心の中で呟く自分が居たが、少し間があったのは、近隣で時々出会うユミアシゴミムシダマシにしては、小さめであったからであろう。

樹皮の下に顔を突っ込んで、モゾモゾやっていたから、さぞかし立派な顎で木の幹を掘っていたのかと見てみると、予想を反する貧弱さである。科は違うが、似たような黒いゴミムシ達の顎というか牙の機能性とは、違う方向である。

理由は、ゴミムシの仲間達と違って、植物質のキノコとかを主に食べているからであろう。同時に、動きのない餌を捕食していることから、敏捷性も少し衰えた可能性も無きにしもあらず。

このユミアシゴミムシダマシは、国内でも生息している地域によって、微妙な差異がある個体もいるようで、それぞれに学名が付いているみたいである。

最後に、こうした地表徘徊性の甲虫が飛べるのか否か(飛翔能力)に関してであるが、今回の個体はどうなのであろう?

飛べなそうな気はする。科は違うが、マイマイカブリなんかもそうだが、上翅が左右くっ付いている(くっ付いていても、下翅だけで飛べると思うが)ように見える種もいるし、上の個体も、上翅が左右にパカっと開きそうな気はしない。

そうなって来ると、上の写真の個体の尾部の方で下翅が見えているのは、現場でも気になっていた事であった。閉じようと思えば、上翅を綺麗に閉じれるのか、それとも空きっぱなしなのであろうか、空きっぱなしの場合は、その形質は遺伝するのであろうか。

今度、近隣でユミアシゴミムシダマシに出会った時の観察点というか宿題をいっぱいくれた出会いであった。

アヤナミノメイガ 成虫 Eurrhyparodes accessalis (Walker, 1859) 3

この蛾は、シーズン中、我家の外灯下に時々現れる蛾である。

ちなみに、今回の個体の写真自体を撮ったのも、本年6月1日であり、少し投稿との間に期間がある。

大きさは、前翅長8ミリぐらいの小さな蛾である。

種名は、アヤナミノメイガ。

そもそも、アヤナミ(綾波)って、何だろうと、再確認してみようと調べたところ、そのままズバリの解答に辿り着けなかったが、綾=様々な紋様みたいなニュアンスがある事が分かり、なんとなく納得出来た。

幼虫の食草は、イノコヅチらしい。我家の庭にも生えて来る根張りが最強の多年草である。近隣にも、沢山生えている。

さて、ここで、この蛾の世界的分布を調べようと、GBIFのオープンソースを確認すると、そもそも、アヤナミノメイガEurrhyparodes accessalis (Walker, 1859) は、世界基準では、Eurrhyparodes bracteolalis (Zeller, 1852)という学名で認識されていないかということと、この蛾の分布が興味深かった。

というのは、日本、韓国、台湾からの生息情報は多数上がっているのだが、フィリピン、インド南西部、インドネシア、オーストラリア東部、アフリカ東部という風に、南半球にまで進出しているのである。私には、これは、かなり面白い分布に思えた。この蛾の原点と、どうやって、このような拡がりに至ったかが、凄い知りたくなった。

そこで、そもそも、アヤナミノメイガの幼虫が食草にしているイノコヅチ(ヒカゲイノコヅチヒナタイノコヅチ)の学名を調べて、世界分布を探ろうとしたところ、学名にjaponicaが付くぐらいで、分布は、旧日本領土と言える日本、韓国、台湾に限定されていた。

そうなって来ると、海外のこの蛾のシノニムの幼虫は、何を食べてるんだろうと好奇心が湧く。それらの植物とイノコヅチとの繋がりや共通点は………?

コゲチャヒゲナガキバガ? 成虫 Halolaguna sublaxata Gozmány, 1978

数日前に、近隣で、この蛾の写真を撮っていた。

ちょっと暗いところにいて、鮮明に写せなかった。

大きさは、カクバネヒゲナガキバガといった我家の外灯下によく現れるヒゲナガキバガ達と同じぐらいのサイズである。前翅長で7ミリぐらいだったのではないだろうか。

現場でも見た感じ、初めて見るヒゲナガキバガの気がしたが、調べたら、コゲチャヒゲナガキバガが一番似ているのではと感じた。

コゲチャヒゲナガキバガを選んだ理由としては、前脚の色が単色じゃないことと、この写真では分かりづらいが、触角も単色じゃなく、コントラストになっているところである。

この点から絞ると、コゲチャヒゲナガキバガにしたいなというのが、流れである。ただ、写真も不鮮明だし、自信に根拠が持たせられないのも認める。

一応、コゲチャヒゲナガキバガの幼虫の食草は、枯葉らしい。

生息分布を、GBIFのオープンソースで確認したが、日本と韓国から、少しだけ目撃報告が上がっているだけで、あまり認知されている蛾ではないのかもしれない。