イネヨトウ 成虫 Sesamia inferens (Walker, 1856)

昨晩、我家の外灯下に来ていた蛾のひとつである。

大きさは、前翅長1センチぐらい。小指の先ぐらいの小さい蛾である。

肩のフサフサのボリューム感が特定の鍵になったが、ヤガ科のイネヨトウだと思う。

ダイメイチュウという別名で、稲の害虫としても知られている。

トウモロコシなんかも食べれるとのことであるが、どうなのであろう。というのは、この蛾の世界的分布域を眺めた時に、圧倒的に稲作地域に集中している気がした。インド北部に分布報告が集中している図も見たが、調べたら、インド北部は、西側の地方がとうもろこし産地、東側の地方が米産地で、この辺りに、この蛾の起源がありそうな気もする。

そして、その図がどれぐらい精度を持っているものなのか疑わしいが、九州と朝鮮半島南部にも分布が集中しているのが見てとれた。

ここで気になったのは、中国の長江流域で約7000年前に稲作文化があったと考えると、そこから隣接地域に浸透して行き、5000年ぐらいの時を経て紀元前300年頃には日本にも稲作文化が到達して来ていると言われているが、この日本への稲作の伝播と一緒にイネヨトウも日本へやって来た可能性があるなという事である。そして、この時代に、朝鮮南部と九州は、結構な交流を持っていた可能性も感じる。

あと気になるのは、インド北部と九州/朝鮮半島南部に、イネヨトウの分布報告が集中しているのは、たまたま気候等の生育環境が適している可能性もあるが、インド北部の稲と日本への稲作伝来時の稲と共通性や交流の可能性はないかという点であった。

人間にとっての単なる害虫が、歴史を紐解くヒントを潜めている可能性も無きにしも非ず。身近な虫達や動物達が教えてくれる事って、まだまだ沢山ありそうな気がする。

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