本日、家からそう遠くないエリアを散策中に発見して、写真に撮った。
トノサマガエルではなく、トウキョウダルマガエルだと思うのだが……。
そして、近似種のトノサマガエルが多くの県のレッドデータに登録されているのと同様に、このトウキョウダルマガエルも、東京都と千葉県が、絶滅危惧Ⅰ類に、長野県、新潟県、群馬県が、絶滅危惧Ⅱ類に、埼玉県、栃木県、福島県、宮城県が、準絶滅危惧種に指定している。
確かに、昔は、水田の蛙の代名詞であったこれらのトノサマガエル系のカエルも、近隣でも全ての田んぼにいるわけではなく、居ない田んぼの方が圧倒的に多いのではと感じる。
ところで、トノサマガエル系という言葉を使ったのには訳があって、昔は、トノサマガエル一種だと思われていたのだったが、トウキョウダルマガエルとナゴヤダルマガエルの2種が別種として独立したのである。私も、10年ぐらい前までは、トウキョウダルマガエルという名前すら知らなかった。
そして、これらの3種の簡単な地理的棲み分けは、関東近県が、トウキョウダルマガエル……東海地方がナゴヤダルマガエル……それ以外の西の地方や日本海側は、トノサマガエルの領域である。北海道には、本来いないカエルでもある。
上の地理的棲み分けを推理すると、トウキョウダルマガエルやナゴヤダルマガエルの親となるグループが日本へと最初やって来て、日本という環境の中で、日本固有種へと進化していったものと思われる。その後、元々の先祖は同じであろうトノサマガエルという種が大陸から日本へとやって来たと推測できる。ゆえに、後追いしてきたトノサマガエルは、朝鮮半島や中国にも生息しているのであるし、朝鮮半島含む大陸のトノサマガエルと日本のトノサマガエルの間に、それほど差異がないなら、トノサマガエルは、やはり後発の気がするし、移動の歴史の比較的浅さを物語っているような気もする。こういう関係は、淡水魚なんかでも見られる気がする。
そして、この3種は、一応、交雑は出来ることが知られている。交雑したものは、雌は生殖能力が有り、雄は不念となるようである。しかし、そのオスも、戻し交配で元々の親の遺伝子レベルの個体と交配を繰り返すと、生殖能力が復活するらしい。この状況を、素人が普通に考えても、同所に2種が現れると、雑種はどんどんと増えていくのか、そうでもないのか、正直分からないでいる。
ただ、同所に現れると、どうも、弱肉強食の強の個性を身に付けて来ているトノサマガエルが、トウキョウダルマガエルのメスを独占出来る環境が出来てしまい、どんどんとエリアが、トノサマガエル化していくのは事実のようである。
生物の進化や潮流を、凄く長い目で見れば、しょうが無いと言えばしょうがない事のような気もする。
ところで、子供の頃より、トノサマガエル(トウキョウダルマガエル)と言えば、水田に居るといったイメージがあったが、確かに、他のカエル達と比べると、水田依存率が高そうな気がする。ただ、気になるのは、水稲栽培の歴史なんかは、カエル達の歴史から見たら凄く短いものだと思う。
こうなると、アジア系のトノサマガエル群(トノサマガエル、プランシーガエル、ダルマガエル)は、遠い遠い昔は、自然下で、分相応に生息していたのかとも推測したい。それが、人類の進化させた水稲栽培の普及で、急速に勢力を伸ばしていき、今度は、逆に、昨今の日本の米の短期栽培の影響で、オタマジャクシが成長・上陸する前に、乾田となる田んぼが増えて、数が減って来ているカエルなのかもしれない。
長い目で見れば、ひっそり何処かの環境で種が生き延びてくれれば良いだけで、「昔は沢山いたのに……」とめくじらを立てる人達は、どうも人間スパンで物事を結論づけるのが当たり前になっている姿勢に、先ずは謙虚に目を向ける事が、自然を感じる第一歩かもしれない。
“トウキョウダルマガエル Pelophylax porosus porosus (Cope, 1868)” への1件の返信